慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
イタリア文学
担当教員名
藤谷 道夫
科目設置 文学部専門教育科目 授業形態 夏期スクーリング
科目種別・類 第3類 単位 2
キャンパス 日吉 共通開講学部 -
設置年度 2022 授業コード 52257
開講期間 I期 8/8~8/13 曜日・時間等 1~2限 9:00~12:45

授業科目の内容

ギリシャ神話を講じます。ギリシャ神話は西洋の文学・美術・思想に大きな影響を与えてきました。従って、西洋のことを学ぶ上で、必須の基本的教養です。ギリシャ神話に、ギリシャ・ローマ人の思考の原型を見いだすことができるため、法や政治思想の理解にも立ちます。本講義は、個々の神話のストーリーを単に再話して終わるという授業ではありません。神話が誕生するには、神話が結晶化していくための現実の経験(核)が必ずあります。この核を中心に枝葉が付いて物語へと進化していきます。そこで、この講義ではまず神話の基となった核を探って行きます。そして、神話の真の意味やメッセージを読み解いていくという形を取ります。受講者の皆さんは、ギリシャ神話の深さと古代人の洞察力や想像力の素晴らしさに心打たれることでしょう。端的に、面白いと感じてもらえれば、講義は成功です。まったく皆さんが思いもしなかった発想が授業の中で明かされて、驚かれるはずです。なお、本講義に参考書はありません。すべて、私のこれまでの発見と研究のオリジナルです。まだ書籍化していませんから、授業でしか知ることができません。本講義を通して様々な切り口、アプローチをお見せしますので、神話の読み方、引いては、文学テキストの読み方を学んで、ご自身の研究の参考になさって下さい。

第1回講義内容
はじめに:グライアイ・ダナエーの神話 自然の擬人化①怪物たち(キュクロープス・プレゲトーン・カリュブディス・テューポーン・ヘカトンケイル・)

第2回講義内容
自然の擬人化②怪物たち(ケルベロス・八岐大蛇・アンドロメダーとペルセウス神話・ギリシャ神話と天文学) 抽象名詞の擬人化①(メーティス・勝利の女神・テミス)*ギリシャ神話の特徴

第3回講義内容
抽象名詞の擬人化②神話の文法、ムネーモシュネー、古代の詩人とギリシャ神話の世界観

第4回講義内容
アレゴリーとしてのギリシャ神話(心の視覚化) メドゥーサ、フォルトゥーナ、インウィディア、寓意画の読み解き方

第5回講義内容
ルクレーティウスのウェヌス賛歌 哲学的アレゴリーの読み解き方

第6回講義内容
プロメーテウス神話①

第7回講義内容
プロメーテウス神話②

第8回講義内容
プロメーテウス神話③(アイスキュロスとプラトーン)

第9回講義内容
ミダース王の神話①(倫理的神話)

第10回講義内容
ミダース王の神話②(霊的神話) 舌切り雀

第11回講義内容
植物神話①(ドゥリュオペー・ヘーリアデース・ナルキッソス)

第12回講義内容
植物神話②(ナルキッソス) 警告神話(アンタイオスほか)

その他の学習内容
  ・課題・レポート

成績評価方法

出席およびレポートによる評価。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

プリントを適宜配布する
プリントを毎回配布します。それが教科書となりますので、まとめて綴じて一冊の本のようにして下さい。

受講上の要望、または受講上の前提条件

特にありません。ギリシャ神話を楽しむことができれば、それで十分です。そのためには毎回授業に出席して下さい。