科目名 | |||
---|---|---|---|
医事法 | |||
担当教員名 | |||
平野 美紀 | |||
科目設置 | 法学部専門教育科目 | 授業形態 | 夏期スクーリング |
科目種別・類 | 甲類・乙類 | 単位 | 2 |
キャンパス | 日吉 | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2022 | 授業コード | 72209 |
開講期間 | I期 8/8~8/13 | 曜日・時間等 | 1~2限 9:00~12:45 |
高度医療の発達と共に患者の自己決定権という意識への高まりを背景として、医療と法の学際領域は広がりを見せ、現在、さまざまな形で議論が活発化している。担当者は刑事法を専門としているので、本講義では、医療をめぐる法的諸問題の中でも特に刑事法が交錯するさまざまなテーマ、たとえば末期医療をめぐる問題、触法精神障害者の処遇等について、法的問題とその背景を概説する。
第1回講義内容
イントロダクション:医事法とはなにか、医療と法をめぐる総論的な問題について概説する。
第2回講義内容
医療における医師と患者の関係:医師に課された法律上の義務、患者の権利について概観する。
第3回講義内容
人権擁護と患者の自己決定権の尊重:いゆわるICがなぜ重要なのか、患者の自己決定権が重要とされるようになった背景や、患者の人権擁護の必要性 について概観し、近年の臨床研究法における患者の自己決定権重視の方向性などについて学ぶ。
第4回講義内容
患者の自己決定権が制限される場合:患者の自己決定は尊重されなければならないが、自己決定能力が低下している場合や生命の終結に関する場合など一定の場合においては、それが制限されなければ患者の人権を擁護できない場合がある。それらの問題について概観する。
第5回講義内容
精神医療と患者の自己決定:精神科医療においても患者の自己決定は尊重されなければならないが、患者の医療と保護のため、その権利を制限しなければならないときもある。精神保健福祉法を中心に、精神科医療における患者の自己決定と強制入院制度を概説する。【小レポート①】
第6回講義内容
精神障害者と刑事司法:障害者の自己決定とのかねあいが問題となる場面として、刑事司法における責任能力の問題や、触法精神障害者の問題、また、刑務所における精神障害者等の処遇と社会復帰の困難さ、等をとりあげ、概説する。
第7回講義内容
生命の終期における患者の自己決定権①脳死と臓器移植:生命の終期の問題として脳死の問題と1997年臓器移植法(2010年改正法)を取り上げて概説する。
第8回講義内容
生命の終期における患者の自己決定権②尊厳死と安楽死:生命の終期の問題として安楽死尊厳死の法的諸問題や厚労省のガイドライン、2020年の京都ALS嘱託殺人事件について概観する。
第9回講義内容
【小レポート①概説】
生命の終期における患者の自己決定権③海外の事例:終末期医療における患者の自己決定権の問題は、その国における法律、医療、社会福祉などの制度や国民性、さまざまな事情を背景に論じられる。我が国の特徴を、海外の状況と比較しながら、異なる視点から概観する。
第10回講義内容
生命の終期における患者の自己決定権④オランダの事例:オランダにおける実際の安楽死事例のビデオを見て、日本における医師と患者の関係、医療をめぐる法律問題を比較しながら学ぶ。【小レポート②】
第11回講義内容
生命の始期と患者の自己決定権:法律における生命の始期、生殖医療技術をめぐる法的問題と2020年の改正法、人工妊娠中絶の問題、について取り上げる。
第12回講義内容
【小レポート②概説】
総括:withコロナ時代の医療と法
【最終レポート】
その他の学習内容
・課題・レポート
小レポート2回(800字程度)、最終レポート
プリントを適宜配布する
価値観が多様化する社会の中で明確な結論の出ないテーマも多く、法的知識を得たうえで、受講者それぞれが主体的に考察を深めていただきたいと思います。