慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
マス・コミュニケーション論
担当教員名
烏谷 昌幸/山腰 修三
科目設置 文学部専門教育科目 授業形態 秋期メディア授業
科目種別・類 第1類 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 法学部専門教育科目:マス・コミュニケーション論
設置年度 2022 授業コード M2230

授業科目の概要

 この授業は、現代社会においてマス・コミュニケーションが果たす政治的、社会的機能を理解することを目的としている。
 マス・コミュニケーションは現代社会を成立させる基盤の一つとなっている。この基本原理はインターネットの発達やマス・メディアのプレゼンスの相対的低下が進む中でも変わらない。むしろ、デジタル化によるメディア環境の変化が進展し、メディアと関連した政治現象や社会現象がますます複雑・多様化する中でマス・コミュニケーションの現代的特徴を捉えることはますます必要となっている。
 マス・コミュニケーションを捉えるためにはコミュニケーションという社会過程だけでなく、それを可能にするメディア、そしてそれらを取り巻く社会に関する理解が欠かせない。そこで本講義では教科書を手がかりに、マス・コミュニケーション、メディア、社会の関係性をめぐる基礎知識や概念、モデル、視座を解説する。
 なお、この授業は、2021年度の夏期スクーリングの授業動画をそのままメディア授業として転用している。
そのため、映像の中で2021年度の夏期スクーリング受講者に向けて語りかけている事務的な説明については無視してほしい。

授業科目の内容

第1回講義内容
コミュニケーションの基礎概念:マス・コミュニケーションについて理解するために、「コミュニケーション」の捉え方やその定義について説明する。

第2回講義内容
コミュニケーションと社会構造:コミュニケーションと社会との関係性を捉える上で重要な分析概念を説明する。また、そうした視座に基づく代表的な研究アプローチを紹介する。

第3回講義内容
近代社会とマス・コミュニケーション:マス・メディアが近代化の流れの中で登場し、それによって担われたマス・コミュニケーションがどのように展開してきたのかを論じる。

第4回講義内容
マス・コミュニケーションの効果・影響モデルの変遷(1):マス・コミュニケーションの効果研究の展開について、初期の「弾丸効果モデル」および「限定効果モデル」を中心に説明する。

第5回講義内容
マス・コミュニケーションの効果・影響モデルの変遷(2):マス・コミュニケーションの効果研究の展開について、現代にいたる「強力効果モデル」や近年のいくつかの研究を紹介する。

第6回講義内容
政治コミュニケーション論の展開(1):コミュニケーションの政治的機能について、「批判的コミュニケーション論」の観点から概説する。

第7回講義内容
政治コミュニケーション論の展開:政治コミュニケーション研究はメディアやコミュニケーションに関わる現象を、権力の問題として読み解いていく。その基本的な視座をもとにしながら、権力論の発展に伴い政治コミュニケーション研究が対象領域を拡張させながら発展してきた経緯を論じる。

第8回講義内容
メディアの表象と言説:政治コミュニケーション研究が研究領域を拡大させるに伴い、政治シンボルとしての「言葉」に大きな注目が集まるようになった。メディアが生産する言葉を分析していくために重要な基礎概念である表象と言説について説明を加える。

第9回講義内容
報道と公共の利益:現代社会における報道は、どのような形で公共の利益と関わっているのか。報道について考えるための基礎的な用語とともに解説していく。 (*映像の中でEスクーリングのための映像をつくるという説明をしていますが、無視してください)

第10回講義内容
メディアイベント:東京2020のオリンピック、パラリンピックを事例としながら、メディアイベント論について取り上げ紹介していく。

第11回講義内容
技術と人間:情報化の概念について批判的に検討を加えながら、技術と人間の関わりを考えるための基礎的な学説を取り上げて紹介する。

第12回講義内容
情報化とメディア:インターネットの影響力が大きくなる今日の社会において、陰謀論が民主政治に及ぼす影響が深刻化しつつある。Qアノン現象をとりあげながら、インターネットと政治の危うい関係について議論する。

成績評価方法

科目試験をもとに総合的評価を行う。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

コミュニケーション研究/大石裕 慶應大学出版会 2016

参考文献

テキストの中で紹介されている文献を適宜参考とすること。

受講上の要望、または受講上の前提条件

特になし。

課題(レポート・小テスト)

課題レポート1回、小テスト1回をそれぞれ行う予定である。

講師の実務経験※実務家としての経験があり、その知見が授業に反映されている場合に、「あり」と表示されます

あり