慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
経済地理
担当教員名
花島 誠人
科目設置 法学部専門教育科目 授業形態 夜間スクーリング
科目種別・類 甲類・乙類 単位 2
キャンパス 三田 共通開講学部 経済学部専門教育科目:経済地理
設置年度 2022 授業コード 62233
開講期間 10月3日(月)~12月26日(月) 曜日・時間等 月曜日、18:20~20:05

授業科目の内容

 この講義では、経済地理学の概念枠組を理解し、基礎的な理論と分析手法を知ることによって、現実の社会・経済的課題に取り組むための経済地理的視点を学ぶことを目的とする。
 地理学は、地表に生起する事象(地理的事象)に関する学問である。経済地理学は、その中でも特に人間の経済行動に焦点を当てた分野であり、経済学はもちろんのこと、社会学、経営学、歴史学、行動科学、情報学など多様な学問とクロスオーバーする広い領域を対象としている。特に近年は、地理情報システム(GIS)をはじめとする高度な情報ツールを誰もが容易に利用できるようになり、社会・経済的課題に対して空間的視点からアプローチが試みられるようになってきている。地理学は、それらの取組における理論的バックグラウンドとして、重要な役割果たしているといえよう。この講義では、以下に示すように、理論だけでなく地域統計データや地理空間情報の基礎知識と使い方、先端的な地理情報科学の概要、さらに防災分野における地理学の役割などについても紹介する予定である。
 国の防災研究機関に所属し実際の災害対応に携わっている経験にもとづいて、防災における地理学の役割についても講義する。

第1回講義内容
「イントロダクション」 本講義の概要と経済地理学のフレームワーク(概念枠組)について述べる。

第2回講義内容
「経済地理学の理論と方法」 地理学の成り立ち、よく知られている理論の概要、現代における方向性などについて学習する。

第3回講義内容
「日本の地理空間情報」 主に地図に焦点をあてて日本の地理空間情報の概要を紹介し、その利活用の方法について学習する。

第4回講義内容
「日本の地域統計情報」 日本の公的統計の全体像を概観し、地理学の学習・研究に不可欠な地域統計情報の概要、入手方法などについて学習する。

第5回講義内容
「地理情報分析の基礎①」 地域統計情報を用いて、地理学的分析を行うための理論的基礎について学習する。

第6回講義内容
「地理情報分析の基礎②」 実際のデータを用いて、地域統計情報を用いた地理学的分析の初歩を学習する。

第7回講義内容
「地理情報科学と地理情報システム(GIS)」 地理学から地理情報科学への学問的展開を概観し、地理情報科学と不即不離の関係で発展してきた「地理情報システム」の成り立ちと今日のあり方について学習する。

第8回講義内容
「地理情報科学の展開」 地理空間情報の観測・分析・利活用に関する科学技術の最新動向と、それらの技術がもたらす地理情報科学の新たな可能性について学習する。

第9回講義内容
「自然災害と地理情報科学①」 大規模な自然災害に対して地理学が果たし得る役割について、実際の災害情報にもとづいて学習する。

第10回講義内容
「自然災害と地理情報科学②」 防災における地理空間情報の役割、地域防災における地理学的方法の活用等について学習する。

第11回講義内容
「歴史地理学への招待」 歴史的事象を地理的視点から研究する歴史地理学について、講師の専門である近代日本における研究事例を紹介する。

第12回講義内容
「まとめにかえて:地理学と地球社会」 今期講義を振り返り、地理学が現代社会において果たすべき役割について考察する。

その他の学習内容
  ・課題・レポート

成績評価方法

出席状況、レポートにより評価する。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

プリントを適宜配布する
講義資料はPDF化して授業開始前までにアップロードする。

参考文献

『人文地理学』/武山政直・松原彰子(編著)、杉浦章介・河端瑞貴・花島誠人(著) 通信テキスト 2019年、文学部・経済学部・法学部Ⅱ年度配本
『グローバル化時代の人文地理学』/小林茂・宮澤仁 放送大学教材、NHK出版 2012年
『地理空間分析』/杉浦芳夫(編) 朝倉書店 2003年
『地理的情報の分析手法』/菅野峰明・高坂宏行・安仁屋政武 古今書院 1987年
『立地と空間(上・下)』(2001年改訂版)/ピーター・ディッケン/ピーター・E・ロイド 古今書院 1997年

受講上の要望、または受講上の前提条件

講義の中でインターネット上の情報リソースに言及することが多いので、インターネットにアクセスする手段を有していること、一般的なインターネットやWEBサイト関連の用語やコンピュータに関する基本的な知識があることが望ましい。

講師の実務経験※実務家としての経験があり、その知見が授業に反映されている場合に、「あり」と表示されます

あり