慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
社会学特殊
担当教員名
竹ノ下  弘久
科目設置 経済学部専門教育科目 授業形態 夏期スクーリング
科目種別・類 単位 2
キャンパス 三田 共通開講学部 法学部専門教育科目:社会学特殊
設置年度 2022 授業コード 72221
開講期間 III期 8/22~8/27 曜日・時間等 1~2限 9:00~12:45

授業科目の内容

 本授業では、社会階層論をベースにして、どのように実際にテーマ設定を行い、データの収集、分析結果の整理、考察を行っていくのかを一通り体験する。社会階層論は、不平等の形成メカニズムを考察・検討する社会学の1領域である。不平等形成メカニズムに重要な集団・制度として、家族、学校教育、労働市場がある。その中で、教育機会の不平等と労働市場における不平等の形成メカニズムが、社会階層論における重要な検討課題とされてきた。教育と労働市場の不平等を考えるとき、家族の果たす役割だけでなく、ジェンダーや人種・民族も重要な考察対象となる。そして、地域レベルで起こる不平等も重要である。授業の冒頭では、こうした社会階層論の基本的な概要を把握し、具体的な論文について紹介、検討する。社会階層論では、多くの研究が量的社会調査データを用いた統計分析を行っている。そのため、研究を進めるうえで最低限必要な基本的な統計学や統計分析の技法について、確認する。統計分析を学習する際には、Rという統計ソフトを用いる。分析を進めるために、受講生自らが、研究計画を立て、論文を読み、仮説を設定する。分析に必要な統計データは教員が用意する。教員から提供された統計データを使って、受講生が立てた仮説が正しいかどうか検証する。検証結果を最終的に文章としてまとめて、レポートとして提出する。レポートの内容をパワーポイントにもまとめて、何人かの受講生には、その結果を授業で報告してもらう。このように、本授業では6日間という非常に短い期間で、社会階層論のテーマについての統計分析実習の授業を行う。分析実習を行うため、履修人数を最大で60名に制限するとともに、履修にあたって、下記のように受講上の前提条件をおくこととする。

第1回講義内容
授業のねらい 社会階層論の概要 社会階層論における論文・レポートの書き方の紹介

第2回講義内容
統計学の基本的な考え方について紹介 先行研究の検討・

第3回講義内容
統計学についての講義とRを用いた実習 先行研究の検討と仮説の整理

第4回講義内容
統計学についての講義とRを使った実習 仮説の構築

第5回講義内容
Rを用いた仮説の検証

第6回講義内容
統計分析を進める

第7回講義内容
分析結果のまとめ方についての解説

第8回講義内容
統計分析を進める

第9回講義内容
統計分析を行う

第10回講義内容
分析結果を文章にまとめてレポートとして作成する

第11回講義内容
分析結果を報告する

第12回講義内容
分析結果を報告する 授業内容の総括

その他の学習内容
  ・課題・レポート

成績評価方法

授業への参加と最終的に作成した課題レポートで評価する。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

プリントを適宜配布する

参考文献

Rによる計量政治学/浅野正彦 オーム社 2018

受講上の要望、または受講上の前提条件

本授業を履修するにあたっては、竹ノ下が通信教育部メディア授業(E-スクーリング)で開講している社会学特殊を事前に履修することが望ましい。メディア授業で、社会階層論を理解していることを前提に授業を行う。また、通信教育部のいずれかの授業で、統計学の授業を事前に履修していることも望ましい。これまでに何らかの統計学に関わる授業を履修していることを前提に、授業を進めていく。この授業は、講義形式の授業ではなく、履修者自らが、論文を読み、仮説を設定し、教員が提供したデータを使って統計分析を行い、分析結果をレポートとしてまとめることで、社会階層論をテーマとする計量社会学の一連の研究プロセスを経験することを目的とする授業である。授業内で課題遂行することを前提としているため、そのことをふまえて履修してほしい。