科目名 | |||
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倫理学(専門) | |||
担当教員名 | |||
吉田 修馬 | |||
科目設置 | 法学部専門教育科目 | 授業形態 | 夏期スクーリング |
科目種別・類 | 甲類・乙類 | 単位 | 2 |
キャンパス | 日吉 | 共通開講学部 | 文学部専門教育科目:倫理学(専門) |
設置年度 | 2022 | 授業コード | 52205 |
開講期間 | II期 8/15~8/20 | 曜日・時間等 | 3~4限 13:45~17:30 |
「倫理」とは、もともとは、人間がよく生きる上で大切にすべき物事のことであり、人間が社会の中で守るべきルールのことです。倫理には、大ざっぱに言うと、「人間の理想の生き方」、「人間が社会で守るべきルール」、「善悪や正不正の判断基準」という三つの意味があります。
「倫理学」とは、そのような倫理について論じる哲学の一分野です。「哲学」とは、物事(特に世界や人生)について自由に理性的に、根本的に原理的に考える学問です。端的には、哲学は物事をつきつめて考える学問です。そこで、さしあたり倫理学とは、人間の生き方、社会のあり方、善悪や正不正の判断基準について、つきつめて考える学問のことです。
本講義では、(1) 倫理学的な問いの立て方や議論の進め方について「理解」すること、(2) 倫理学史上の代表的な学説や理論の意義や難点について「比較・検討」すること、(3) それらの検討を通じて、倫理学的な問いについて自ら論理的に「思考」し、それを筋道を立てて「表現」すること、の三点を目標にして、西洋倫理学史における代表的な思想家が何を問い、その問いとどう向き合ってきたのかを概観していきます。
現代の社会には様々な課題がありますが、私たちは現代の社会に生きているからこそ、私たちにとって気がつきにくい課題もあります。本講義では、社会の具体的な課題を直接には扱いませんが、倫理学史上の議論を、私たちを映す鏡にすることで、人間や社会や道徳について、より幅広い視点から捉えられるようになることが、本科目の全体的なねらいです。
第1回講義内容
イントロダクション
第2回講義内容
プラトンとアリストテレス
第3回講義内容
デカルトとホッブズ
第4回講義内容
ヒュームとスミス
第5回講義内容
モンテスキューとルソー
第6回講義内容
カントとヘーゲル
第7回講義内容
ミルとベルクソン
第8回講義内容
マルクスとニーチェ
第9回講義内容
サルトルとフーコー
第10回講義内容
ウェーバーとハーバーマス
第11回講義内容
ロールズとセン
第12回講義内容
試験・総括
その他の学習内容
・指定教科書の予習、授業内容の復習を行うこと
第12回の試験に平常点を加味して行う
入門・倫理学の歴史――24人の思想家(第1版)/柘植尚則編著 梓出版社 2016
プリントを適宜配布する
指定テキストを補うプリントを配布する
(1) 予習と復習
・予習として、各日に学習する指定教科書の該当箇所を事前に読んでおくこと(約60分程度)
・復習として、その日に学んだ内容を指定教科書やプリントをもとに整理しておくこと(約60分程度)
(2) 受講上の注意点
・他の受講者に迷惑をかける行為、講義を妨げる行為は厳禁です。あまりに悪質な場合は、退出を求めることもあります。
・あなたにとって繊細な問題を扱うかもしれません。ご了承ください。
・倫理学に関心があるかたを歓迎します。予備知識は必要ありませんが、哲学・倫理学は概念や論理を用いて丹念に思考する営みですので、安易な「わかりやすさ」を期待しないでください。
・様々な考えや議論を批判的に検討しますが、特定の価値や判断を強要したり、否定したりする意図はありません。ただし、趣味や価値観は「人それぞれ」かもしれませんが、倫理学は「人それぞれ」では終わりません。倫理学の議論は、方程式のように正解が決まるわけではありませんが、正しさ・もっともらしさの程度には違いがあります。
・答えが簡単には見つからない問題について、「考え方や価値観は人それぞれだ」で終わるのではなく、粘り強く、かつ柔軟に考えることを厭わないかたを期待します。講義担当者も、答えが簡単には見つからないことを前提に、それでも考えを進める手がかりとなる「枠組み」や「筋道」の材料を提供するように努めます。というのも、哲学や倫理学において重要なのは、結論よりも、「問い」の鋭さ・深さ・広がりであり、結論に至るまでの「論証」の客観性や整合性や緻密さだからです。