科目名 | |||
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教育社会学 | |||
科目設置 | 文学部専門教育科目 | 授業形態 | テキスト科目 |
科目種別・類 | 第1類 | 単位 | 2 |
キャンパス | - | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2023 | 授業コード | T0EA007103 |
現代日本社会における教育を主たる対象として、社会的背景と関連させて教育的事象を捉える能力を身につけること、これが本科目の目標です。社会学が対象とする教育(現象)の多様さと広がりを確認した上で、それらは一見個々別々の事象ですが、近代社会という共通土台の上に形成され、成立している社会的事象であることを理解することが重要です。
加えて、その近代社会が行き着いた先に現代社会があり、近代の完成・成熟としての現代という時代変化への着目も大切です。教育社会学は教育現象を対象とする社会学ですが、教育という社会現象から現代社会の成り立ちを理解する社会学でもあります。よって、制度としての学校教育に対象が限定されず、若者の生き方、就職(学校から仕事への移行)、子育て、階層の再生産、ナショナリズムなどについても教育社会学の対象となるのです。
序章 教職と教育社会学
第1章 学校という制度と時間・空間
第2章 学校で「教える」とは、どのようなことか
第3章 教師と生徒の関係とは、どのようなものか
第4章 学校教師とはどのような存在か
第5章 若者は今をどのように生きているか
第6章 〈移行〉の教育社会学
第7章 子育て・教育をめぐる社会空間・エージェントの歴史的変容と今日・未来
第8章 学校の階級・階層性と格差社会
第9章 国民国家・ナショナリズムと教育・学校
第10章 教育改革時代の学校と教師の社会学
久冨善之・長谷川裕編『教育社会学(教師教育テキストシリーズ)[第二版]』学文社、2019年
テキストは初版(2008年刊)ではなく、第二版(2019年刊)を使用してください。テキストは複数の研究者によって執筆されていて、テーマも多岐にわたっています。しかし、テキストを通じての問題意識は共通しています。教師については、主としてテキスト第3章および第4章の中で述べられています。これらの2つの章以外にも教師について論じている箇所がありますので、読解してください。教師という用語の他に教員という用語も出てきます。これら両方を視野に入れて読んで下さい。
必修として履修しておくべき科目は指定しませんが、社会学と教育学の基礎知識があるとよい。これら2つの学問に関連する科目をそれぞれ1つ以上履修した上で、本科目を履修することを推奨する。
履修上の注意を参照。
科目試験による。
1.日本教育社会学会編『教育社会学事典』丸善出版、2018年(特に第Ⅲ部第5章)
2.久冨善之『日本の教師、その12章 ─ 困難から希望への途を求めて ─ 』新日本出版社、2017年
3.中 一夫『学校現場かるた ─ 学校の法則・生き抜く知恵 ─ 』仮説社、2012年
4. 油布佐和子編『教師という仕事(リーディングス日本の教育と社会 15)』日本図書センター、2009年
参考文献の4つについては、次のように利用するとよい。日本教育社会学会編(2018)はレポート課題に関連する、第Ⅲ部第5章「教師」以外にも、テキストで論じられている理論や概念の理解に役立つ。久冨(2017)はテキスト編者の単著である。教師を現場に寄り添った視点で捉えている。中(2012)は現役の中学校教師による著作である。具体的な現場の話から、社会学的な視点を知るヒントが得られるだろう。油布編(2009)は日本の教育社会学がどのようなテーマで「教師」をとらえてきたかを概観するのに適している文献である。20本の論文が収められている。
1.課題は3つに分かれていますが、(1) (2) (3)が関連付けられることが求められていますので、一連の課題であると考えてください。また3つは混在させず、個別に記述してください。(1)で学んだ教育社会学の理論や概念を(2)で取り上げる問題と関連づけして記述してください。(3)では(1) の理論や概念に合致する例として、また(2)で論じた問題の例として、具体的な教師を一人取り上げて紹介してください。
2.レポート執筆ではテキストの読解を中心に記述することが求められています。テキストを理解したうえで、さらにテキストの理解を深めるために参考文献で議論の補強を行い、また、関係するデータや実例との照らし合わせをしてください。テキスト各章末にある参考文献も活用してください。これらの作業の成果を含めてレポートを執筆してください。特に社会学の専門用語は理解を曖昧なまま使わないこと。日本教育社会学会編(2018)を参考にすると良い。
3. レポートの書式は次の2点に留意してください。
① テキストおよび参考文献の参照・引用には注をつけて該当箇所の典拠が示されていなければなりません。webからの参照・引用はURLを示したうえで、閲覧年月日をしめすこと。
② 注の付け方や参考文献の挙示のしかたは複数あります。本レポートでは社会学におけるスタンダードな書式に従ってください。https://jss-sociology.org/wp/wp-content/uploads/2022/12/jsr_guide3.pdf
を参考にしてください。特に「2 注」、「3 引用」、「4 文献」についてはよく理解してレポートの書式を整えてください。