科目名 | |||
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東洋史概説Ⅱ | |||
科目設置 | 文学部専門教育科目 | 授業形態 | テキスト科目 |
科目種別・類 | 第2類 | 単位 | 2 |
キャンパス | - | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2023 | 授業コード | T0EA005703 |
本科目では、近現代中国の歴史を扱います。近代以前の東アジアは、近代西洋国家とは異なる一定の合理性に基づく制度や理念(華夷秩序や朝貢・冊封体制など)を持っていましたが、西洋諸国の世界進出に伴い、近代西洋の経験から生まれた「国民国家」(ネイション・ステイト)やナショナリズムなどといった価値観が東アジアにももたらされました。これによって、中国も国家の枠組みを再構築していかなければならず、伝統的な王朝から近代的な「国民国家」への転換が試みられました。ただし、19世紀末から20世紀半ばまでの中国は、革命と戦争の世紀といわれるように多くの困難がたちはだかっていました。こうしたなかで、中国をどのように近代化していけばよいのかと模索したリーダーや知識人たちが登場しました。そのなかには、孫文、袁世凱、蔣介石、陳独秀、汪精衛、毛沢東などといった人物たちがいました。彼らの考え方や近代化へのアプローチは異なっていましたが、当時の中国の置かれた様々な危機的な状況に対して、それを乗り越えるために尽力した点では共通点もありました。以上のような視点から、中国の近代化を試みたリーダーや知識人たちに注目して、近現代中国がどのような時代であったのかを分析してください。
指定教科書の附編「研究の手引き」及び参考文献①や②を参照しながら、指定教科書を通読して、現代にいたるまでの中国史の概観を把握してください。その上で、参考文献の③〜⑧などの概説書を読み、近代中国がどのような時代であったか、世界の動きと合せて理解し、⑨〜⑯などの関連書で課題にそったテーマを掘り下げてください。その他の参考文献は、テキスト⑨〜⑯を手掛かりにして自分で探してください。参考文献で紹介したもの以外も積極的に読むことが望ましい。
現代の東アジア世界の枠組みのもとになっている東アジアと中国の近現代についての関心が求められる。
科目試験による。
①礪波護・岸本美緒・杉山正明編『中国歴史研究入門』名古屋大学出版会、2006年。
②岡本隆司・吉澤誠一郎編『近代中国研究入門』東京大学出版会、2012年。
③久保亨・土田哲夫・高田幸男・井上久士・中村元哉『現代中国の歴史 第2版』東京大学出版会、2019年。
④佐川英治・杉山清彦編『中国と東部ユーラシアの歴史』放送大学教育振興会、2020年。
⑤光田剛編『現代中国入門』(ちくま新書)、筑摩書房、2017年。
⑥吉澤誠一郎『清朝と近代世界─19世紀』(シリーズ中国近現代史①)岩波新書、2010年。
⑦川島真『近代国家への模索─1894-1925』(シリーズ中国近現代史②)岩波新書、2010年。
⑧石川禎浩『革命とナショナリズム─1925-1945』(シリーズ中国近現代史③)岩波新書、2010年。
⑨深町英夫『孫文』岩波新書、2016年。
⑩横山宏章『素顔の孫文』岩波書店、2014年。
⑪横山宏章『孫文と袁世凱』岩波書店、1996年。
⑫田中比呂志『袁世凱』(世界史リブレット人78)山川出版社、2015年。
⑬岡本隆司『袁世凱』岩波新書、2015年。
⑭長堀祐造『陳独秀』(世界史リブレット90)山川出版社、2015年。
⑮横山宏章『陳独秀と孫文』平凡社新書、2017年。
⑯野村浩一『蒋介石と毛沢東』岩波書店、1997年。
参考文献を手掛かりに、出来るだけ多くの文献を読んだうえで、自分の言葉で見解をまとめてください。参考文献で紹介したもの以外の文献も積極的に参照されることが望ましい。その際に、どこからどこまでが他人の説で、どこからどこまでが自分の見解(考え)なのかがはっきりわかるような書き方をしてください。一次・二次資料やWEBページを参考にした場合は、その都度、必ず註をつけて、文末に出典(著者、題名、出版社、出版年、頁数など)及び引用ページ(閲覧日時も必ず記載)を逐一示してください。