科目名 | |||
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文学A | |||
担当教員名 | |||
香田 芳樹 | |||
科目設置 | 総合教育科目 | 授業形態 | 夏期スクーリング |
科目種別・類 | 3分野科目/人文科学分野 | 単位 | 2 |
キャンパス | 日吉 | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2023 | 授業コード | 12315 |
シカゴ大学の哲学者マーサ・ヌスバウムは、人生の重要な価値を人は芸術を通して学ぶとし、芸術の教育的意義を強調しました。確かに、愛や優しさ、正義や勇気といった生きていく上で大切なものは教科書に書かれた理屈から学ばれるのではなく、「感動」を通して実感されます。その感動を伝えてくれる最大のものが「物語」です。ドラマチックという言葉がありますが、物語は単なる娯楽ではなく、人が人となるための指針を感動的に与えてくれるものなのです。
この講義の目的は主としてドイツ語圏の文学を読みながら、1)「物語から感動を学ぶこと」と、2)それによって、「自分にとって本当に大切なものが何かをもう一度考えてみること」です。貴重な読書体験を通して、忘れていたものを思い出せるかもしれません。
下にあげる授業で使用する作品から少なくとも2作品を講義前に読んでおいてください。6日間の授業は大きくAからFの6つの「群」からなりますが、課題の2作品は別々の群から一冊ずつ選んでください。この2作品をもとにレポートを作成していただきます。
*なお、あげられたすべての文学作品を授業中に解説するわけではありません。
第1回講義内容
序 「文学とは何か?」
ゴッホの「ひまわり」事件。文学を読む意義。「外国文学離れ」現象。宗教、文化、歴史の違和感。翻訳の限界。
第2回講義内容
A群「神話から文学へ:オルフェウスとナルシス」
『ニーベルンゲンの歌』、ゲーテ『ファウスト』、ヘッセ『アウグストゥス』
第3回講義内容
B群「不道徳の愉しみ」
ゴットフリート・フォン・シュトラースブルク『トリスタンとイゾルデ』、トーマス・マン『トリスタン』、ムージル『愛の完成』、ゲーテ『親和力』
第4回講義内容
B群「水辺の恋」
シュトルム『みずうみ』『インメン湖』、フーケー『水妖記』『ウンディーネ』、トーマス・マン『ヴェニスに死す』
第5回講義内容
C群「無気味なもの」
ホフマン『砂男』、ホフマン『ファールン鉱山』、ホーフマンスタール『ファールン鉱山』、アイヒェンドルフ『大理石像』、ゴットヘルフ『黒い蜘蛛』、クライスト『ミヒャエル・コールハース』
第6回講義内容
C群「見知らぬ客」
デュレンマット『貴婦人の訪問』、ケラー『馬子にも衣装』、ゴーゴリ『検察官』、ホフマン『短編集』
第7回講義内容
D群「魂深き人々」
クリスタ・ヴォルフ『引き裂かれた空』、ベーツァ・カネッティ『黄色い街』、ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』、ツヴァイク『書痴メンデル』、エリアス・カネッティ『眩暈(めまい)』
第8回講義内容
D群「戦争と文学」
グリンメルスハウゼン『阿呆物語』、ル・フォール『無辜の子供ら』、ブレヒト『肝っ玉おっかあとその子どもたち』、レッシング『賢人ナータン』、ハンス・ファラダ『ベルリンに一人死す』、アリストパネス『女の平和』
第9回講義内容
E群「ホモ・サケル 聖なる人」
ヨーゼフ・ロート『ヨブ』、ロート『聖なる酔っ払いの伝説』、ハルトマン・フォン・アウエ『哀れなハインリヒ』、トーマス・マン『選ばれし人』、石牟礼道子『苦界浄土』
第10回講義内容
E群「アンチ・ヒーロー」
ヘッセ『デーミアン』、エンデ『モモ』、プロイスラー『クラバート』、ル=グウィン『ゲド戦記』、ラーゲルクヴィスト『バラバ』
第11回講義内容
F群「人生の半ば」
トーマス・マン『トニオ・クレーガー』、バッハマン『三十歳』、ヘッセ『春の嵐』、ケストナー『ファービアン』
第12回講義内容
総括
その他の学習内容
・課題・レポート
授業で使用する作品から少なくとも2作品を講義前に読んでおいてください。6日間の授業は大きくAからFの6つの「群」からなりますが、課題の2作品は別々の群から一冊ずつ選んでください。この2作品をもとにレポートを作成していただきます。
プリントを適宜配布する
『はじめて学ぶドイツ文学史』/柴田翔 ミネルヴァ書房 2003
『魂深き人びと』/香田芳樹 青灯社 2017
『ドイツ文学の道しるべ』/畠山寛 ミネルヴァ書房 2021
ドイツ語の知識は必要ありません。