科目名 | |||
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教育学特殊 | |||
担当教員名 | |||
森 祐亮 | |||
科目設置 | 文学部専門教育科目 | 授業形態 | 夏期スクーリング |
科目種別・類 | 第1類 | 単位 | 2 |
キャンパス | 三田 | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2023 | 授業コード | 52311 |
この科目ではドイツ近現代の教育思想について学ぶ。教育学において、「主体」及び「主体性」は極めて重要な概念である。その意味において教育という営みはある側面からみると近代特有のものであり、また教育学は近代の落とし子であるとさえ言える。本科目では、「主体」及び」「主体性」という概念に焦点を当てつつ、近代的な意味での教育学が成立し発展した重要な場所としてドイツに着目する。狭い意味での「教育学」に限定されない思想をみることで、教育や人間形成を支える背景をしっかり理解することを目指す。担当者の見立てでは、近代の教育学及び人間形成論の成立において決定的な役割を果たしたのは、18世紀に生まれた思想家たちであった。その一方がカントであり、そしてその後継者たちであるフィヒテやヘーゲルといったいわゆるドイツ観念論の思想家たち、そして教育学の「創始者」とも言われるヘルバルトなどである。他方、彼らとは少し異なる形で人間形成の思想を展開したのがヘルダーやフンボルトといった思想家であり、あるいはロマン主義者たちであった。無論この両者は明白に二分できるものではないが、本科目ではさしあたりの思想の見取り図としてこのような区分を用いる。このように18世紀に生まれた教育・人間形成の理論が、20世紀においてどのように受け継がれ論じられてきたのか、そして今日でもなお効力を持ちうるのかということを本科目では考えていく。
本科目は基本的に、科目「教育思想史」の発展的理解を目指すものとして位置付けることができる。文献も基本的には「教育思想史」のテキストとして指定されているものを中心に取り扱うが、それ以外にも積極的に取り入れ、適宜紹介する。本科目を通じて、教育思想史の変遷を一層深く理解することを履修者には目指してもらう。
第1回講義内容
イントロダクション: 講義の概要と目的の説明
第2回講義内容
カント2: 主体の発明
第3回講義内容
カント3: 自由と教育のパラドックス
第4回講義内容
カントの後継者たち1: ドイツ観念論の思想と人間形成論
第5回講義内容
カントの後継者たち2: シラーと美的教育
第6回講義内容
カントの後継者たち3: ヘルバルトと教育学の誕生
第7回講義内容
ドイツ人文主義の人間形成論とベルリン大学の創設
第8回講義内容
ロマン主義の思想: 無限への憧憬
第9回講義内容
ここまでのまとめ
第10回講義内容
戦後ドイツの教育学の展開1: 教育と人間形成に対する批判
第11回講義内容
戦後ドイツの教育学の展開2: 教育と人間形成の擁護、「教育への勇気」という標語
第12回講義内容
まとめ
その他の学習内容
・課題・レポート
・基本的に文献(とりわけ眞壁宏幹編『西洋教育思想史』lの第二版)を読むこと。
授業参加態度とレポート。
『西洋教育思想史』第二版/眞壁宏幹 慶應義塾大学出版会 2020年
プリントを適宜配布する
テキストを指定しているが、完全にテキスト通りに進めるわけではない。テキストは通信教育の科目「教育思想史」の指定テキスト「教育思想史」と同じものである。
『啓蒙・革命・ロマン主義: 近代ドイツ政治思想の起源 1790–1800』』/フレデリック・C・バイザー 法政大学出版局 2010年
『ロマン主義:あるドイツ的な事件』/R・ザフランスキー 法政大学出版局 2010年
特に特別な機材は必要ありません。PCは講義中使っても使わなくても大丈夫です。基本的に講義形式を考えていますが、状況によっては発表形式に変更する可能性もあります。参加者の興味、関心にあわせて内容を多少変動させて進めることもあります。参考文献に関しては適宜紹介します。教育学に限らず思想全般に興味のある方の参加を歓迎します。