科目名 | |||
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文学B | |||
担当教員名 | |||
大嶌 健太郎 | |||
科目設置 | 総合教育科目 | 授業形態 | 夜間スクーリング |
科目種別・類 | 3分野科目/人文科学分野 | 単位 | 2 |
キャンパス | 三田 | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2023 | 授業コード | 12317 |
20世紀フランスを代表する小説家マルセル・プルースト著『失われた時を求めて』を広く深く読む講義です。通読することは決して簡単ではない小説ですが、いくつかの重要なテーマだけに焦点を当てて集中的に読み進めることで、この作品の精髄をつかみ取ることはできます。また、この作品の文学史的意義を理解していただくべく、プルーストより前の世代の文学者たち、具体的には、バルザックやフローベール、ゴンクール、サント=ブーヴなどにも言及するので、フランス近代小説の歴史をプルーストの視点から概観することもきるでしょう。
2022年はプルースト没後100周年という記念イヤーでしたが、とりわけこの2020年代は、『ソドムとゴモラ』、『囚われの女』、『消え去ったアルベルチーヌ』、『見出された時』の各巻が次々と出版100周年を迎えることになり、今後プルーストを新たな角度から再評価する試みが世界中でなされることでしょう。この講義がそのような試みの一助となることを目標にいたします。
なお、当講座は基本的に講義形式ですすめますが、毎回の授業でリアクションペーパーを書いていただきますので、それを受けての履修者との意見交換なども(もちろん履修者数次第ですが)積極的に行いたいと思います。
第1回講義内容
イントロダクション:マルセル・プルーストと『失われた時を求めて』についての最低限の情報を提示する
第2回講義内容
文学史のなかのプルースト-反レアリスムの美学について(1)-
第3回講義内容
文学史のなかのプルースト-反レアリスムの美学について(2)-
第4回講義内容
死と再生、反復(1)
第5回講義内容
死と再生、反復(2)
第6回講義内容
小説のなかの芸術(1)-絵画-
第7回講義内容
小説のなかの芸術(2)-音楽-
第8回講義内容
恋と性愛(1)-支配欲と嫉妬-
第9回講義内容
恋と性愛(2)-錯綜する性的指向-
第10回講義内容
プルースト的道徳論-共感と憐憫のメカニズム-
第11回講義内容
『失われたと時を求めて』をどう読むか-プルーストの読書論-
第12回講義内容
総括と授業内試験
その他の学習内容
・課題・レポート
・毎回のリアクションペーパー:50%
・最終回の授業内試験(事前に提示した複数のテーマから1~2つ選び、それについて論述を行うという形式):50%
プリントを適宜配布する
『失われた時を求めて』は大変に長大な小説ですので、事前に全巻通読することは求めませんが、最初の1巻(『スワン家のほうへ』)だけは最低限目を通してから参加してください。翻訳は岩波、集英社、光文社、筑摩書房から出ております。また、原文は用いませんので、フランス語未修者の履修も可能です。