科目名 | |||
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文学C | |||
担当教員名 | |||
原田 範行 | |||
科目設置 | 総合教育科目 | 授業形態 | 夜間スクーリング |
科目種別・類 | 3分野科目/人文科学分野 | 単位 | 2 |
キャンパス | 三田 | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2023 | 授業コード | 12318 |
本授業は、人文科学3分野に共通した「文学」の講義です。文学は、言語を用いた人間の想像力と創造力の多様性と力強さ、あるいはそれらの可能性を最もはっきりと示す学問分野で、洋の東西を問わず、また、人類が言語というコミュニケーション手段を獲得して以降、今日に至るまで、人間社会において連綿と受け継がれてきました。この授業では、そうした文学の魅力を、専門的な研究(=文学に限らず、哲学、思想、歴史、文化研究など)への入門的な要素も交えつつお話ししたいと思います。今回のスクーリングでは、1726年にイギリスのロンドンで出版されて以降、約3世紀にわたって世界的な名作として広く親しまれてきたジョナサン・スウィフトの『ガリヴァー旅行記』を取り上げます。この作品は、しばしば諷刺文学として扱われますが、実はこの諷刺という表現手段こそ、言語が本質的に持つ多義性を十分に反映したもので、この作品の傑作としての秘密は、まさにそこにあります。同じ表現でありながら、解釈が幾重にも可能となる――それは、一つの解を信じる近代的精神に重要な疑義を投げかけるととともに、そうした近代精神に行き詰まりを見せ始めた21世紀社会を生きる私たちに重要な示唆を与えてくれるものなのではないでしょうか。この作品が、子供から大人まで、イギリスだけでなく日本を含めて世界中の人々に親しまれてきた理由は、そこにあります。本授業では、2022年に出版された新訳(柴田元幸訳)を教科書にしつつ、この作品の特質と魅力を多角的にそして十分に講じることで、文学の可能性を探究していきたいと思います。(なお、担当者の原田は、高等学校や専門学校での教育経験の他、作家、演出家、翻訳家、挿絵画家、編集者などを招聘したオムニバス講義を担当しており、そうした実務経験をもとに文学の講義をおこないます。)
第1回講義内容
『ガリヴァ―旅行記』の成立事情と作者ジョナサン・スウィフトについて
第2回講義内容
言語の多義性と諷刺文学について
第3回講義内容
『ガリヴァー旅行記』第1篇(小人国リリパット)の前半部について
第4回講義内容
『ガリヴァー旅行記』第1篇(小人国リリパット)の後半部について
第5回講義内容
『ガリヴァー旅行記』第2篇(大人国リリパット)の前半部について
第6回講義内容
『ガリヴァー旅行記』第2篇(大人国リリパット)の後半部について
第7回講義内容
『ガリヴァー旅行記』第3篇(ラピュータと太平洋の島々)の前半部について
第8回講義内容
『ガリヴァー旅行記』第3篇(ラピュータと太平洋の島々)の後半部について
第9回講義内容
『ガリヴァー旅行記』と日本表象の意味について
第10回講義内容
『ガリヴァー旅行記』第4篇(フウイヌムとヤフー)の前半部について
第11回講義内容
『ガリヴァー旅行記』第4篇(フウイヌムとヤフー)の後半部について
第12回講義内容
総活
その他の学習内容
・課題・レポート
学期末試験(50%)および平常点(授業時の課題についての学習や授業への積極的な取り組みなどを総合して50%)によって成績評価をします。
ガリバー旅行記/ジョナサン・スウィフト 朝日新聞出版 2022年
『「ガリヴァ―旅行記」徹底注釈』/原田範行、服部典之、武田将明 岩波書店 978-4007305184
プリントを適宜配布する
上記参考書については、図書館等をご利用ください。その他の参考資料については、授業時にプリントで配布します。
PCリテラシー等は特に求めません。文章を綿密に精読し、知的想像力を働かせることがまず求められます。原文(英語)については、高等学校卒業程度の英語力が確実に身についていれば十分です。
あり