慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
マス・コミュニケーション論
担当教員名
山腰 修三/烏谷 昌幸
科目設置 文学部専門教育科目 授業形態 夏期スクーリング
科目種別・類 第1類 単位 2
キャンパス 三田 共通開講学部 法学部専門教育科目:マス・コミュニケーション論
設置年度 2023 授業コード 72325

授業科目の内容

 本講義は、現代社会においてマス・コミュニケーションが果たす政治的、社会的機能を理解することを目的とする。
 マス・コミュニケーションは現代社会を成立させる基盤の一つとなっている。この基本原理はインターネットの発達やマス・メディアのプレゼンスの相対的低下が進む中でも変わらない。むしろ、デジタル化によるメディア環境の変化が進展し、メディアと関連した政治現象や社会現象がますます複雑・多様化する中でマス・コミュニケーションの現代的特徴を捉えることはますます必要となっている。
 マス・コミュニケーションを捉えるためにはコミュニケーションという社会過程だけでなく、それを可能にするメディア、そしてそれらを取り巻く社会に関する理解が欠かせない。そこで本講義では教科書を手がかりに、マス・コミュニケーション、メディア、社会の関係性をめぐる基礎知識や概念、モデル、視座を解説する。

第1回講義内容
コミュニケーションの基礎概念:コミュニケーションについて考えるための基礎概念を取り上げて解説する。特に社会心理学的な一方向モデルから社会学的な現実の社会的構築の考え方へとコミュニケーション観が変化したことの意義について論ずる。

第2回講義内容
近代社会におけるマス・メディアの発達と普及:欧米の社会を事例として、マス・メディアの発達と普及のプロセスについて解説する。

第3回講義内容
近代社会におけるマス・メディアの発達と普及:日本社会を事例として、マス・メディアの発達と普及のプロセスについて解説する。

第4回講義内容
効果研究の展開―大衆社会論:マス・メディアの弾丸効果論の学説が力を持った背景について、特に大衆社会論の考え方と共に解説する。

第5回講義内容
効果研究の展開―限定効果論から強力効果論へ:弾丸効果論が限定効果論によって批判され、限定効果論が強力効果論によって批判されていく流れを解説する。

第6回講義内容
効果研究の展開―効果研究の相対化:1980年代以降、効果研究の問題意識そのものを相対化するような学説が次々に登場した。現在にまで続くポスト効果研究の問題意識が、メディア社会学としてどのように出現してきたのかを論じる。

第7回講義内容
政治コミュニケーション論の展開(1):マス・コミュニケーションが有する政治的機能について、効果研究を中心とした主流パラダイムと、それとは異なる批判的パラダイムのそれぞれの特徴を解説する。

第8回講義内容
政治コミュニケーション論の展開(2):マス・コミュニケーションが有する政治的機能をめぐる近年の研究動向について概観する。

第9回講義内容
ニュース研究の視点(1):ニュースやジャーナリズムについて、マス・コミュニケーション論の観点から考察する。ここではニュース分析の基礎概念について説明する。

第10回講義内容
ニュース研究の視点(2):ニュースやジャーナリズムについて、マス・コミュニケーション論の観点から説明する。ここではニュースと政治社会との関係をめぐる議論を紹介する。

第11回講義内容
デジタル社会におけるマス・コミュニケーション論:デジタル社会におけるマス・コミュニケーション論の課題について、現在関心が寄せられているいくつかのテーマについて概説する。

第12回講義内容
試験・総括

その他の学習内容
  ・

成績評価方法

授業内試験(最終回実施)による評価。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

コミュニケーション論/大石裕 通信テキスト 2022

受講上の要望、または受講上の前提条件

講義内容は一見すると難解に見えますが、マス・コミュニケーションやジャーナリズムの実態を踏まえながら、できるだけわかりやすく講義を行うつもりです。受講者は、ニュースにできるだけ問題意識をもって接するようにしてください。教科書に基づく説明や解説が多くなりますので、予習や復習の際に教科書を活用してください。