慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
社会思想史
担当教員名
上野 大樹
科目設置 法学部専門教育科目 授業形態 夜間スクーリング
科目種別・類 甲類・乙類 単位 2
キャンパス 三田 共通開講学部 経済学部専門教育科目:社会思想史
設置年度 2023 授業コード 62309

授業科目の内容

経済学を中心とする社会科学全体の思想的・哲学的基礎を探り、現代社会の諸課題を長期の歴史的なスパンで理解しようとするならば、社会思想史の学習は不可欠である。極度の専門分化・機能分化が進み、社会の全体像が把握しにくくなった現代においては、社会の様々な領域を俯瞰し総合的な視座を養うために思想の歴史を振り返ることはとりわけ有益であり、また近現代社会の大きな特徴である経済活動の拡大の歴史的背景を把握するためには、古典的な政治思想をも包含する社会思想の歴史を学ぶことが求められる。本授業では、坂本達哉『社会思想の歴史』を教科書に指定する。受講者は予習として各回指定の章(以下の各回「講義内容」の箇所に章のタイトルを記してある)を事前に熟読してきたうえで、授業時には、それを前提にいくつかのトピックに特に焦点を当て、一次文献の引用を交えながら解説をくわえていくスタイルをとる。なお、序章と終章は時間の関係上取り上げることができないので、第1回の講義までに各自で必ず読んでくるようにしてください。

第1回講義内容
マキアヴェリの社会思想

第2回講義内容
宗教改革の社会思想

第3回講義内容
古典的「社会契約」思想の展開

第4回講義内容
啓蒙思想と文明社会論の展開

第5回講義内容
ルソーの文明批判と人民主権論

第6回講義内容
スミスにおける経済学の成立

第7回講義内容
「哲学的急進主義」の社会思想-「保守」から「改革」へ

第8回講義内容
近代自由主義の批判と継承-後進国における「自由」

第9回講義内容
マルクスの資本主義批判

第10回講義内容
ミルにおける文明社会論の再建

第11回講義内容
西欧文明の危機とヴェーバー/「全体主義」批判の社会思想-フランクフルト学派とケインズ、ハイエク

第12回講義内容
現代「リベラリズム」の諸潮流/試験

その他の学習内容
  ・課題・レポート
  ・予習と復習が必須です。特に予習には(個人差はありますが)最低でも60~120分以上の学習時間が求められます。 教科書の該当章をたんに一読するだけではなく、本文を読み進めていくなかで自分なりにキーワードを抜き出し、事典類や高校世界史教科書・資料集などを活用して重要概念や基本的な史実を下調べしておくことが必要です。インターネット検索だけではなく、参考文献に記載したような事典をぜひ積極的に活用するようにしてください。

成績評価方法

期末テスト、および中間レポートで判断する。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

社会思想の歴史―マキアヴェリからロールズまで/坂本達哉 名古屋大学出版会 2014

参考文献

現代社会学事典/見田宗介・大澤真幸・吉見俊哉・鷲田清一 弘文堂 2012
啓蒙思想の百科事典/日本18世紀学会 丸善出版 2023
社会思想史事典/社会思想史学会 丸善出版 2019

受講上の要望、または受講上の前提条件

上述の通り、十分な予習時間の確保が特に必要となります。また、調べものに際しては、インターネット検索だけでなく、図書館を活用して事典類も積極的に活用する習慣を身につけてください。
本科目は経済学部の専門科目としては対象とする範囲が幅広く、狭義の経済学はもちろん、哲学、思想、歴史、文化、芸術など、関連諸分野への興味・関心がもとめられます。しかし、特定の科目を履修の必須要件とはしません。関連科目としては、総合教育科目では、哲学、歴史(西洋史)、政治学、社会学などが関連深く、経済学部専門科目では、経済原論(ミクロ経済学)、経済原論(マクロ経済学)、経済史、西洋経済史(近世)などが挙げられます。