科目名 | |||
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刑法 | |||
担当教員名 | |||
佐藤 拓磨/橋本 広大 | |||
科目設置 | 法学部専門教育科目 | 授業形態 | 秋期メディア授業 |
科目種別・類 | 甲類・乙類 | 単位 | 2 |
キャンパス | - | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2024 | 授業コード | M2434 |
第1回から第6回までと第12回は佐藤が担当し、第7回から第11回までは橋本が担当します。第1回から第6回までは、刑法総論の基本事項について解説します。第7回以降では、主に近時の刑事⽴法に関するトピックについて解説します。橋本は、外務省総合外交政策局国際安全・治安対策協⼒室テロ対策専⾨員などの職歴があり、第10回・第11回はその実務経験を踏まえた内容になります。
第1回講義内容
【イントロダクション、現⾏刑法の成り⽴ち、⽇本の刑罰、罪刑法定主義】
民法と比較したときの刑法の特徴、現行刑法の成立経緯、日本の刑罰制度および刑法の基本原則の一つである罪刑法定主義について概説します。
第2回講義内容
【犯罪論の体系、故意作為犯の構成要件】
犯罪の成立要件である、構成要件該当性、違法性および責任の概念について概説します。そのうえで、最も基本的な犯罪の形態である故意作為犯(故意をもって、積極的な身体の挙動により罪を犯すもの)の構成要件について概説します。
第3回講義内容
【未遂犯】
未遂犯はなぜ処罰されるのか、刑法43条本文の「犯罪の実行に着手して」とは何か、同条但書の「自己の意思により犯罪を中止した」とは何か、について概説します。
第4回講義内容
【正犯と共犯】
単独正犯、共同正犯、教唆、幇助といった概念について概説します。また、共同正犯の法律効果である「一部実行全部責任」の理論的根拠、教唆および幇助の処罰根拠について概説するほか、共犯をめぐる応用問題をいくつか取り上げて説明します。
第5回講義内容
【過失犯の構成要件、不作為犯の構成要件】
過失犯(社会生活上要求される注意を怠ることにより罪を犯すもの)および不作為犯(法的に期待された行動に出ないことにより罪を犯すもの)について概説します。
第6回講義内容
【違法性阻却事由、責任】
刑法36条の正当防衛を中心に、刑法35条から37条までの違法性阻却事由について概説します。また、刑法39条の心神喪失・心神耗弱のほか、責任に係る要件について概説します。
第7回講義内容
【刑事立法総論】
まず、日本における犯罪の動向について統計資料等をもとに概観します。次に、刑事立法とは何かを概説し、それをふまえて、近時の刑事立法の特徴である刑罰積極主義(犯罪化、重罰化、および処罰の早期化)を取り上げます。さらに、刑事立法の評価・分析枠組みに関する学説を紹介し、刑事立法の今後の展望について示します。
第8回講義内容
【自動車事故をめぐる刑事立法】
まず、自動車事故をめぐる状況について統計資料等をもとに概観します。次に、死傷結果が生じた自動車事故への刑事法的対応の変遷を概観します。そこでは、業務上過失致死傷罪の法定刑の引き上げや、危険運転致死傷罪の新設、自動車運転死傷行為処罰法の立法などを取り上げます。その上で、いわゆる東名高速あおり運転事件を素材に、あおり運転の重罰化をめぐる裁判例や立法の動向を取り上げます。
第9回講義内容
【生活安全をめぐる刑事立法】
まず、「生活安全」という用語の法的意義を確認し、そこにおいてストーカー規制がとりわけ重要であることを確認します。次に、ストーカー行為の刑事規制を概観し、それをふまえて、GPS機器を用いた位置情報取得行為をめぐる最高裁判決やストーカー規制法の近時の改正について取り上げます。その上で、ストーカー行為の刑事規制の今後の課題について示します。
第10回講義内容
【テロ対策をめぐる刑事立法】
まず、テロ(対策)をめぐる動向を概観します。そこでは、国際条約や安保理決議による国際的な義務と国内における刑事立法との関係についても取り上げます。次に、近時新設された、いわゆるテロ等準備罪について概観し、同罪と国際条約との関係や、同罪による処罰の早期化の意義について確認します。その上で、想定事例の検討を通じて、テロ対策をめぐる刑事立法について検討します。
第11回講義内容
【犯罪収益規制をめぐる刑事立法】
まず、そもそも犯罪収益規制とは何かを確認します。次に、「犯罪収益」概念が有する意義を踏まえた上で、近時の法改正による犯罪収益規制の強化について取り上げます。その上で、マネー・ローンダリングの刑事規制についても取り上げ、犯罪収益規制の全体像を示します。
第12回講義内容
【没収・追徴制度の現状と課題】
刑法、麻薬特例法および組織的犯罪処罰法上の没収・追徴について概説します。また、日本の没収制度の問題点について指摘します。
レポート課題(成績評価比率30%)および科目試験(成績評価比率70%)の総合評価による。小テストの受験は任意とし、成績評価には反映させません。
オンライン授業システム内で配布する
講義中に画面に表示するパワーポイント等の資料を講義システム内で配布します。
刑法Ⅰ 総論(日評ベーシック・シリーズ)/亀井源太郎ほか 第2版 日本評論社 2024年
第7回以降については、必要に応じて講義中に案内します。
第7回以降の講義は、テキスト科⽬の学習範囲を超えた応⽤的な内容を含みます(そのため、科⽬試験対策・レポート対策としては必ずしも役には⽴ちません)。その点を留意の上、履修してください。
小テスト1回とレポート1回を実施します。締切日については、 K-LMSの「アナウンス」でお知らせします。
2022年度収録
あり