慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
物理学
科目設置 総合教育科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 3分野科目/自然科学分野 単位 4
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2024 授業コード T0AC000103

講義要綱

物理学はテキスト学習とスクーリングにおける実験からなる合計6単位の科目です。テキストと実験を通じ、現代物理学の基本的な知識と考え方を学びます。単にテキストの内容を理解するだけではなく、興味を持った問題に関し、自分で調べ、考えて理解できる能力を身に付けることを目指しています。このような能力は物理学にとどまらず、あらゆる分野で力を発揮するでしょう。
 テキストは、20世紀の物理学を中心にして、いくつかの分野を深く学ぶ内容となっています。前半では量子力学とミクロの世界について考えます。後半では宇宙の物理と相対性理論について学びます。理論だけではなく、具体的な物理現象の仕組み、そして、理論が正しいと考える根拠を明らかにしていきます。テキストの内容はスクーリングで行う実験の内容とも密接に関連しています。
 スクーリングの実験は、1人か2人一組で行います。配布される実験テキストに手順の詳細な説明があるので、誰でも結果を得られます。実験ではその持つ意味を考え、理解することが重要です。実験結果を得て実験レポートを提出する際に、必ず教員と質疑応答を行い、実験内容の理解を確かめます。実験を通じて、物理学テキストでも強調した、自然科学における実証の持つ意味を実感できると思います。また、理論と現実とのつながりも実感できるでしょう。実験スクーリングはインフォーマルで充実感があり、楽しい経験だと思います。
 通信教育課程の物理学は高校での物理学の履修は前提としていません。また、使う数学は中学程度です。ただ、これは簡単という意味ではありません。新しい概念を学ぶのは誰にとっても難しいものだからです。テキストでは、必要な基礎的概念は適宜に導入し、説明しています。テキストを理解することを目指して下さい。科目試験の問題もテキストの内容を理解すれば解けます。
 物理学は様々な現象がなぜ起きるかを考える大変面白い学問だと思います。物理学を楽しんで欲しいです。「物理学の学び方」も参考にしてください。

テキストの読み方

テキストは前に説明した考え方を後で使う場合が多いので、1章から読んでいくことを勧めます。テキストは文章を読むだけではなく、論理的に内容を理解しましょう。理解すれば、物理現象が生じる仕組みがイメージでき、「なるほど」と感じたり、当たり前に思えるはずです。記憶する必要は少ないはずです。「理解」したかを判断するのは難しいですが、「理解する」ことの意味を実感するのも重要な目的です。わからない箇所がある場合は、少し先まで読んでもう一度戻ってくるとわかる場合もあるでしょう。テキストで理解できない箇所があった際に、他の参考文献を読むのは良いですが、わからなかった箇所が最終的には理解できたか確認しましょう。

履修上の注意

レポート提出、実験スクーリングのどちらから始めても良いです。ただ、実験スクーリングを履修する前に軽くでも良いのでテキストに目を通しておくことを勧めます。なお、スクーリング期間中は、テキストの内容はもちろんですが、それ以外の内容に関しても物理学の様々な質問を教員にする良い機会ですのでご活用ください。実験スクーリングの内容も、テキストの内容と密接に関係しています。実験をすることにより、テキストの理解が深まり、そしてその逆の効果もあります。10の累乗の計算法(テキスト付録参照)は、レポートとスクーリングの実験の両方で使うので、しっかり理解しておきましょう。
 科目試験は資料持ち込み不可で行います。テキストで扱った物理学の内容の理解度を問います。試験の内容はレポートと同レベルです。

成績評価方法

レポート(3回)、実験スクーリング、科目試験の評価をそれぞれ1/3の割合で総合して最終評価とします。

参考文献

特に指定しません。テキストを理解するとともに、自分で興味を持った本や記事を読んで考えることを勧めます。

レポート作成上の注意

テキスト学習では3回のレポート提出が求められています。レポートは物理学テキストの内容を理解すれば解答できる課題です。解答は内容を消化して、自分の言葉でわかりやすく表現して下さい。物理学では課題に的確に答えられれば字数は気にする必要はありません。提出する前に、論理的に書けているか、問に答えているか、といった点を必ず確認しましょう。数式や図は必要に応じて使って下さい。計算をする場合には、必ず途中過程を記して下さい。計算する際は、求める物理量を変数を用いた式で表し、数値を代入して計算すると楽です。単位を含めて計算をしましょう。正しい計算をすれば必ず単位は自動的に合います。3回分のレポートをいきなりまとめて提出するのではなく、まず1回分を提出し、評価とコメントを見てから残りを提出することを勧めます。
  重要な点の理解が不足している場合には、再提出をお願いしています。その際、足りない点について必ずコメントしていますので、参考にしてください。