科目名 | |||
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科学哲学 | |||
科目設置 | 文学部専門教育科目 | 授業形態 | テキスト科目 |
科目種別・類 | 第1類 | 単位 | 4 |
キャンパス | - | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2024 | 授業コード | T0EA010401 |
科学哲学は科学についての哲学で、それを概説したのがこのテキストです。テキストは第一部の総論、第二部の各論からなっており、第一部はテキストの順序通りに読んでください。第二部は順序通りでなくても構いません。
テキストでは科学的な知識がどのような特徴をもっているかが中心課題の一つになっており、それを「自然の変化」をめぐって考察する仕方で議論が進んでいきます。実際には各論から話を始める方が具体的なのですが、まず全体像を把握してもらうために科学史、思想史から始まっています。
科学を知った上で科学哲学を研究するのが普通ですが、テキストには科学的な事柄も必要なものは入っています。ですから、科学に関心さえあれば、テキストを読み進めていけるはずです。
テキストをどのように読み進めるかはきわめて重要です。そこでこのテキストの読み方について説明します。このテキストは論証の部分と、歴史的経緯や状況の説明の部分とからなっています。事件や事実を叙述する場合と、その背後のからくりや原因と結果の関係を推理する場合は大きく違っています。叙述の代表は小説や報道記事です。何が何時どのようになったかという報告は、素直に読むだけで事の経緯がわかりますから、考えながら読む必要はありません。映画やテレビドラマが面白いのは筋の展開や心理描写にあり、それらは考えなくてもわかります。一方、論証の代表例は数学の定理の証明です。シャーロック・ホームズの推理も論証の一つです。数学の定理や名探偵の推理はしっかり考えないとわかりません。このテキストはこれら二つの異なる部分、つまり論証部分と叙述部分からなっていることに注意してください。
読んでいる部分が論証なのか、叙述なのかをまず確認してください。いずれの部分かによって読み方が違ってきます。論証部分はかつて数学のテキストを読んだときのことを思い出しながら、その時と同じように読んでみてください。時間をかけてゆっくり読まなければなりません。途中でわからなくなったら先に進むのではなく、前に戻らなければなりません。何度も前のページを見返すことが必要になります。一人で読む場合、このような読み方は一方的に辛抱強さを要求しますから、ついいい加減になったり、読み飛ばしたりしてしまいます。辛抱強く、何度も読み返す、わかるまで頑張る、といった根気が求められます。これに対して、叙述の部分は日本語さえわかれば大抵苦労なしに理解できます。正確に理解することを心掛ければまず心配は要りません。用語や人名が不明ならそれを調べる程度で済みます。でも、自分が正しく内容を理解したかどうかの確認は叙述の部分の方が厄介で、誤解しないよういつも注意しなければなりません。論証部分はわからない場合にはわからないという自覚が必ずあり、わからないことがはっきりわかります。
さらに、このテキストのもつ特徴は(問)があちこちにあることです。問は必ず解答してください。テキストの内容が理解できたかどうかの目安になります。テキストが二つの異なる部分をもつことを念頭に置きながら丁寧に読み進め、必ず「わかった」、「理解した」という確信がもてるまで頑張ってください。
また、テキストはページ数が多くて最初から読みたくないという気持になりそうですが、第二部の各章は半ば独立していますので、好きな章から読み始めて構いません。
科学的な知識を多くもっている必要はありませんが、科学に関心・興味をもっていることが必要です。
科学の哲学ですから、科学のどの科目も関連科目ということになります。しかし、伝統的に科学哲学は自然科学の哲学として研究されてきました。ですから、まずは自然科学が関連する科目であると考えてください。それらの多くは総合教育科目のはずです。社会科学や歴史の科目であっても、研究の方法や対象に関する哲学的な考察が含まれていれば、十分に関連科目と言えます。
科学に関するニュース、記事等は実に多いですから、それらに関心を寄せ、気にするようにしてください。
科目試験による。
科学に関する啓蒙書、科学雑誌、科学的なエッセイ、伝記等、科学に関するあらゆる本が参考文献になります。科学についての知見を広めるためにいろんな文献を貪欲に読んでください。
西脇与作編著『入門 科学哲学』慶應義塾大学出版会、2013年
森元良太・田中泉吏『生物学の哲学入門』勁草書房、2016年
テキストや参考文献を写すのではなく、自分で推論した内容を書いてください。