科目名 | |||
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西洋史特殊Ⅰ | |||
科目設置 | 文学部専門教育科目 | 授業形態 | テキスト科目 |
科目種別・類 | 第2類 | 単位 | 2 |
キャンパス | - | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2024 | 授業コード | T0EA002302 |
本科目では、ヘレニズム時代からローマ時代を経てビザンツ時代に至る時代の歴史を南レヴァント地域(現在のイスラエルとその周辺)の視点から概観する。
南レヴァント地域はキリスト教とユダヤ教が成立した地であり、その後の西洋文明はもちろんのこと、全世界の歴史に大きな影響を与えることとなった。しかし、南レヴァント地域はヘレニズム文化の故地ギリシアやそれを引き継いだローマから見ると辺境であり、住民たちもヘレニズム・ローマ文化を抵抗なく受け入れたわけではない。むしろそうした反発や葛藤が新しい文化を生み出す力となり、キリスト教やラビ・ユダヤ教に昇華されたのである。一般的に西洋古代史はヘレニズム・ローマ文化の視点から学ばれることが多いが、本科目ではそれに抵抗感を持った人々が何を問題と感じ、どのような対応が存在し、なぜ最終的にキリスト教がローマ帝国に受け入れられたのかを考察する。西欧世界はヘブルイズムとヘレニズムを二つの柱としているとしばしば言われるが、この学びを通してこのふたつの要素の違いを理解し、それがその後の歴史にどう反映されたのかを考えるきっかけとされたい。
杉本智俊『図説 新約聖書の考古学』河出書房新社、2021年
指定教科書の構成は、大きく以下のようになっている。
1章 ヘレニズム文化とユダヤ人
2章 死海文書の意義
3章 ヘロデの王国
4章 ナザレのイエス
5章 イエス時代のエルサレム
6章 十字架への道とイエスの墓
7章 ユダヤ戦争
8章 すべての道はローマに通ず
9章 ローマ時代の宗教とキリスト教迫害
10章 ビザンツ時代の南レヴァント
まず細かいことにこだわらず、全体の流れをつかむようにざっと読んでください。その上で気なる点やよく理解できなかった箇所をじっくり読みなおしてください。一つの時代にもさまざまな立場の人がいたことを意識しつつ、なぜ彼らはそのような立場を取ったのかを考えながら読んでください。
本科目では通史として古代地中海世界の理解を目的とするが、レポートではそれを踏まえて特定の要素をもう少し掘り下げて理解することを期待する。
「オリエント考古学」では、「西洋史特殊I」の前史となる石器時代から鉄器時代までの西アジアおよび南レヴァント地域の考古学を扱っている。どちらを先に取ってもよいが、関連性を強く意識して学ばれたい。
科目試験
弓削達著『ギリシア・ローマの歴史』講談社学術文庫
論理の流れを意識して記すこと。参考文献表を必ずつけること。