科目名 |
ACADEMIC WRITING Ⅰ |
科目設置 |
文学部専門教育科目 |
授業形態 |
テキスト科目 |
科目種別・類 |
第3類 |
単位 |
2 |
キャンパス |
- |
共通開講学部 |
- |
設置年度 |
2024 |
授業コード |
T0EA009102
|
講義要綱
〔授業の到達目標及びテーマ〕
本科目は、英語を学術的に書くことにおいて必要となる様々な知識とスキルを習得することを目的としています。また、英語を学術的に書く訓練をする過程において、さまざまな分野の英文を読むことや、英語で話してやりとりをすることなどの技能も同時に向上させることになるでしょう。
〔授業の概要〕
「アカデミック・ライティング」と一般的に呼ばれている作文技術が単なる「英作文」と異なっているのは、前者が「英語で書く」ということに加えて「学術的に書く」必要があるという点です。つまり、文法的・構文的に正確な文を作成するだけでなく、アカデミックな研究の性質や作法を十分に理解した上で論理的議論を構築し、それに応じた論文作成を行う能力が必要となります。本科目の使用テクストは、「パラグラフ」、「topic sentence」、「thesis statement」「アウトライン」、「論証」、「引用」、「剽窃」などいくつかの重要なテーマに焦点を当てることで、受講者の皆さんがこれらの技術を学び、レポート課題と科目試験で実践することを目指しています。
〔授業計画〕
学術的な論文を書くための基本的な知識と技術を一つ一つ身につけてもらうことを目的として、まずはアカデミック・ライティングとは何であるかについて概観したのち、論文の最小単位と言えるパラグラフ (段落) を書く技術を習得し、徐々に長い文章が書けるように誘導します。その過程で、長い文章の構造を俯瞰的に眺める視点も導入し、また、アカデミック・ライティングにおいて避けては通れない文献の引用の仕方や剽窃を避ける方法についても扱います。
指定教科書の構成は以下の通りです (括弧内は section のタイトルです)。履修者は、各章に記載された例文(英語)を読み込むとともに、練習問題を解きながら学習を進めます。
Chapter 1: アカデミック・ライティングとは
(アカデミック・ライティングの特色、剽窃、アカデミック・スタイル、書式の一貫性、英語で書くために)
Chapter 2: パラグラフとは
(パラグラフと Main Idea、パラグラフの構造、Topic Sentence, Supporting Sentences, Concluding Sentence, Unity と Coherence, Review Exercise)
Chapter 3: エッセイの構造 (1)
(エッセイの3大要素、パラグラフとエッセイの関係、エッセイの Unity と Coherence、モデル・エッセイを読もう)
Chapter 4: エッセイの枠組みを構想する
(問いを立てる、なぜ「調べる」ことが必要なのか、エッセイの骨組みを作成する)
Chapter 5: 文献資料の扱い方
(文献資料について、文献資料を集める、文献資料の情報管理、引用、出典の示し方)
Chapter 6: エッセイの構造 (2)
(Introduction, Body Paragraphs, Conclusion, Review Exercise)
Chapter 7: 完成に向けて
(書式、推敲、チェックリスト、モデル・エッセイ)
Appendix
(エッセイ作成のスケジュール、ブレインストーミングのサンプル、エッセイの構想を練る、アウトライン、文献資料記録ページ、チェックリスト、解答)
テキストの読み方
テキストは、受講者の皆さんに学術的な論文を書くための基本的な知識を技術を一つ一つ身につけてもらうことを目的として執筆されています。まずはアカデミック・ライティングとは何であるかについて概観したのち (Chapter 1)、論文の最小単位と言えるパラグラフ (段落) を書く技術を習得し (Chapter 2)、徐々に長い文章が書けるように誘導します (Chapters 4 & 7)。その過程で、長い文章の構造を俯瞰的に眺める視点も導入し (Chapters 3 & 6)、また、アカデミック・ライティングにおいて避けては通れない文献の引用の仕方や剽窃を避ける方法についても時間を割く予定です (Chapter 5)。
履修上の注意
本科目は、英語で言いたいことを辞書を使いながら表現できる学習者を対象としています。したがって、英文法の知識がおぼつかない方や辞書を使って一般読者向けの英文が読めない方は、事前に市販の書籍で最低限の知識と英語力を身につけてから履修するようにしてください。
成績評価方法
レポートの合格を前提として、科目試験によって評価する。
参考文献
〈アカデミック・スキルズ解説書〉
・佐藤望編著『アカデミック・スキルズ─大学生のための知的技法入門(第3版)』慶應義塾大学出版会、2020年 (論文作成だけでなく、大学での学び全般に役に立つスキルや知識習得を目指した入門書。)
〈アカデミック・ライティング学習書〉
・アンドルー・アーマー、河内恵子、松田隆美、ウィリアム・スネル『アカデミック・ライティング応用編─文学・文化研究の英語論文作成法』慶應義塾大学出版会、1999年
・上村妙子、大井恭子『英語論文・レポートの書き方』研究社、2004年
・佐渡島紗織・吉野亜矢子『これから研究を書くひとのためのガイドブック─ライティングの挑戦15週間』ひつじ書房、2008年 (英語ライティングに特化したものではないが、大学で研究を行い、その研究成果を効果的かつ正確に著すのに必要な作法や手順が丁寧に説明されている。)
・崎村耕二『英語論文によく使う表現』創元社、1991年
・ポール・ロシター、東京大学教養学部英語部会編First Moves: An Introduction to Academic Writing in English、東京大学出版会、2004年 (8章構成。各章で短い学術的テキストを土台に、アカデミック・ライティングの諸要素 (英語表現の詳細も含む) を学ぶことができる構成になっている。練習問題と解答例あり。)
・Robyn Najar and Lesley Riley (2004). Developing Academic Writing Skills. Tokyo: Macmillan Language House. (5ユニットから成る大学生向け入門書。英語で書かれているが、文字が大きく、図表も多いので読みやすい。)
・Alice Oshima and Ann Hogue (2006). Introduction to Academic Writing (3rd edn). New York: Longman. (アカデミック・ライティング執筆に不可欠な知識、作法や手順が網羅されている。)
・Dorothy E. Zemach and Lisa A. Rumisek (2005). Academic Writing: From Paragraph to Essay. Oxford: Macmillan.
〈MLAスタイルの解説書〉
・Modern Language Association of America (2009). MLA Handbook for Writers of Research Papers (7th edn). New York: Modern Language Association of America.
・『MLA英語論文の手引第6版』北星堂書店、2005年 (MLA Handbook第6版の翻訳版。上記の第7版と異なる事項があるので注意すること。)
・Charles Lipson (2011). Cite Right: A Quick Guide to Citation Styles-MLA, APA, Chicago, the Sciences, Professions, and More (2nd edn). Chicago: University of Chicago Press. (様々な論文スタイルのガイド。)
・‘MLA Formatting and Style Guide’.
http://owl.english.purdue.edu/owl/resource/747/01/ (MLAスタイル解説のページ。)
〈アカデミック・ライティング学習のためのウェブサイト〉
・http://owl.english.purdue.edu/ (アメリカPurdue大学で運営されているサイト。ライティングにおける重要事項を具体的、丁寧に解説。専攻分野ごとの説明もある。英語学習者むけ情報、練習問題も豊富。)
・http://www.uefap.com/ (‘Using English for Academic Purposes: A Guide for Studentsin Higher Education’.イギリスの英語教育コンサルタントが運営するサイト。分野ごとに練習問題が豊富に掲載されている。オンラインで取り組むことができ、ほとんどの問題に解答がついているので、自習に最適。)
レポート作成上の注意
教科書のチェックリストは、レポート課題に多く見られる問題点と本科目の学習事項をもとに作成されています。各項目と照合しながら、最低二回は論文を読み直してください。
特に、以下の問題のあるレポートが多いので注意してください。
・英語の誤り (主語と動詞の一致、冠詞、品詞、構文、時制等において) が目立つ
・議論の構成に問題がある (論文のthesisが曖昧、論理的一貫性不足、客観的な立証不足)
・論文の構成が練られていない (パラグラフの構造、イントロダクションの役割と構造)
・書式、引用方法、文献リストに不備がある