科目名 | |||
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英文学特殊 | |||
科目設置 | 文学部専門教育科目 | 授業形態 | テキスト科目 |
科目種別・類 | 第3類 | 単位 | 2 |
キャンパス | - | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2024 | 授業コード | T0EA008001 |
〔授業の到達目標及びテーマ〕
17世紀から20世紀までの英文学の歴史を表現・言論の自由とキリスト教信仰という二つの大きな問題意識で分析し、イギリス文学の独自な歴史についての知見を得ることを目指す。
〔授業の概要〕
議会演説や戯曲の抜粋、あるいは有名小説の名場面の引用からなる指定教科書の多種多様な英文を読解しながら、言論と信仰という一見するとつながりのない、しかし熟考すればともに人間生活の根源的な問題として共通に理解されうる二大問題に対するイギリス文人のさまざまな異なった態度と実行の有り様を、受講生が独自の視点で分析する。
〔授業計画〕
本授業では、ひとつには主に17世紀から20世紀までのイギリス作家の足跡を各作家の表現・言論の自由に対する意識という観点で分析すること、もうひとつには19世紀と20世紀のイギリスを代表する三人の巨大な小説家─エリオット、ロレンス、そしてグリーン─の作品及び作家の人生において、キリスト教信仰がどのような姿で影を投げかけているかを考察すること、これら二つのテーマを追究する。具体的には、前者についてはチェスターフィールドの有名な議会テキストを読解したり、あるいは演劇やジャーナリズムでの言論統制の実態についての様々な実例について知識を深める。そして後者については、エリオットからロレンスを経てグリーンに至る過程の中で、作家と登場人物の信仰心が懐疑から放棄、そして復活へと言う道筋をたどるさまを、小説の緻密な読解で明らかにする。指定教科書の構成は次の通り。
序章:人間と言論、そして信仰心
第1章 表現の自由とイギリスの文人たち
第2章 表現の自由と20世紀のイギリス
第3章 出版と演劇の検閲をめぐって
第4章 Chesterfieldの演説
第5章 演劇検閲令の廃止
第6章 年表とともに振り返る近代のイギリス文学
第7章 人の愛と神と、その三代の流れ
第8章 エリオット小説とヒューマニズム
第9章 ロレンス小説とヒューマニズム
第10章 グリーン小説と神の復権
第11章 年譜で学ぶ近現代のイギリス小説家
第12章 言論と信仰という大問題から見たイギリス小説の流れ
まずは、テキストを精読し、第1部で述べられている海保師の見解、第2部で述べられている上村師の作品論、それぞれについて正確に理解することが必要である。その上で、レポート課題などに応じて、参考文献を自分で探し、増やしながら、自分独自の意見を持つことが必要。
テキストもさることながら、小説などの原典をじっくりと読むことが何より大事である。しかし、レポートの執筆においては、単なるテキストの要約や作品の紹介ではなく、研究対象についての自分独自の視点を強く打ち出すことが求められる。その意味で、参考文献を貪欲に読破することが大事。その上で、ただの要約や紹介ではなくて「論」を展開させるように、努力してください。
レポートの合格を前提として科目試験によって評価する。
海保眞男著『文人たちのイギリス十八世紀』慶應義塾大学出版会、2001年
レポート課題を熟読し、その趣旨をよく理解した上で、テキストおよび小説作品をまずはじっくりと読むことが大事である。そのうえで、課題に沿った、自分独自の視点から、論考を深めてゆくことが望まれる。レポートの執筆においては、単なるテキストの要約や作品の紹介ではなく、研究課題についての自分独自の意見をはっきりと述べることが必要である。その意味で、様々な参考文献を貪欲に読破し、謙虚かつ個性的に学習を深めることを期待する。