慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
近世英文学史
科目設置 文学部専門教育科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 第3類 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2024 授業コード T0EA006201

講義要綱

〔授業の到達目標及びテーマ〕
 16世紀から19世紀のイギリス文学の代表作を歴史的流れのなかに位置づけることで、その特徴およびそのなかで描かれている英語圏文化の特性について理解し、作品中の多様な英語表現を具体的に理解する。
〔授業の概要〕
 指定テキストの熟読により、イギリス文学の各ジャンルが同時代の社会といかなる関係を結んでいるかを理解しつつ実際の作品を読み込んだうえで、論述レポートに解答することで、枠組みと実際とを結びつけて考える。また定期試験ではテキストで扱われている思潮や作家・思想家に関する記述問題を出題し、テキストの理解が定着しているかを確認する。
〔授業計画〕

 指定教科書の構成は次の通り。

I.16世紀前半

I.ルネサンス概説 II.英国の古典学者の思想 III.宗教制度改革と聖書翻訳 IV.詩歌の傾向 V.SATIREの文学流行 VI.散文作品 VII.一般大衆文学 VIII.劇文学 IX.ルネサンスの思想回想

II.エリザベス時代

I.一般情勢 II.EDMUND SPENSER III.WILLIAM SHAKESPEAREと劇文学 IV.詩歌 V.散文文学 VI.エリザベス朝の文学回想 

III.17世紀

I.一般情勢 II.JAMESⅠ世時代 III.CHARLESⅠ世及びCOMMONWEALTH時代 IV.JOHN MILTON V.RESTORATION時代 VI.JOHN DRYDEN VII.清教徒派の文学 VIII.演劇 IX.散文 X.詩文 XI.17世紀回想(1) XII.17世紀回想(2) XIII.17世紀回想(3)

IV.18世紀

I.一般情勢 II.詩文 III.散文 IV.演劇 V.旅行記 VI.後半期の一般情勢 VII.SAMUEL JOHNSON VIII.散文 IX.小説の発達 X.ロマン派の詩文 Ⅺ.18世紀回想(1) Ⅻ.18世紀回想(2)

V.19世紀(1)

I.一般情勢 II.ロマン主義文学 III.小説、随筆、批評 IV.19世紀回想(1)

VI.19世紀(2) 
V.ヴィクトーリア時代一般情勢 VI.実利主義と自由主義 VII.一般風潮に反対した批評家 VIII.MATTHEW ARNOLD IX.新しい宗教運動 X.文芸批評 XI.論説その他 XII.詩 XIII.小説 XIV.世紀末文学 XV.劇文学 XVI.19世紀回想(2)

テキストの読み方

「近世英文学史」のテキストは、16世紀から19世紀末までのイギリス文学の流れを、時代を追ってジャンル別に概説している。本書で指摘されている各時代の背景や作家の特徴は、一国の文学の伝統を理解するために本質的なものばかりである。より専門的な学習・研究のためには文学史の知識は不可欠であり、細部までテクストを熟読し、自らの手でも系統的に整理することを薦める。また、下記の参考文献も併せて参照しつつ、可能な限り言及されている作品を実際に読んでみることが、知識を空疎なものにしないために重要である。

履修上の注意

個々の作品を実際に読むほか、下記の参考文献に挙げてあるような他の英文学史にも目を通し、「文学史」というものに様々な語り方があることを知ってほしい。しかし一方で、レポートの作成に当たってはそれらの知識をいたずらに引用するのではなく、自身の議論の助けとして使用する必要がある。

関連科目

「イギリス文学研究Ⅰ~Ⅲ」「英文学特殊」「シェイクスピア研究」「ACADEMIC WRITING II」

成績評価方法

レポートの合格を前提として科目試験によって評価する。

参考文献

斎藤勇『イギリス文学史』(研究社、1974年)
神山妙子編著『はじめて学ぶイギリス文学史』(ミネルヴァ書房、1989年)
パット・ロジャーズ編『図説イギリス文学史』青木健ほか訳(大修館書店、1990年)
橋口稔編著『コンパクトイギリス文学史』増補版(荒竹出版、1991年)
三ツ星堅三『イギリス文学史概説 社会と文学』(創元社、1993年)
関裕三郎『作品が語るイギリス文学史』(開拓社、2000年)
河内恵子・松田隆美編『ロンドン物語─メトロポリスをめぐるイギリス文学の700年』(慶應義塾大学出版会、2011年)
白井義昭『読んで愉しむイギリス文学史入門』(横浜市立大学学術研究会、2013年)
石塚久郎編『イギリス文学入門』(三修社、2014年)

レポート作成上の注意

レポートの作成にあたっては、他の文献から引用した箇所、他の文献の記述を自分なりにパラフレーズして使用した箇所には、正確に注をつけること。また、レポートの末尾に、使用した文献を一次資料(引用した作品そのものやその他の原典資料)と二次資料(研究書、研究論文など)に分けて列挙すること。注や参考文献の書式は本書「学習の手順」などを参考に正確に記すこと。また、「ACADEMIC WRITING Ⅱ」のテキスト(通信教材)には、注の付け方や書式についての解説が含まれている。注、参考文献が不正確なレポートは再提出となる。