科目名 | |||
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労働法(J) | |||
科目設置 | 法学部専門教育科目 | 授業形態 | テキスト科目 |
科目種別・類 | 甲類・乙類 | 単位 | 2 |
キャンパス | - | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2024 | 授業コード | T0EC000502 |
労働法とは、賃金を得て生活する者(労働者)と使用者との関係を規律する様々な法律の総称です。大別すると、以下の4つの領域として理解されます。
①雇用関係に入る際の求人と求職に関わる法制度と政策を学ぶ、労働市場法。その中心的なテーマは、求職・求人に関する行政的支援・職業能力開発・雇用安定等で、昨今問題とされることの多い労働者派遣などもこの中で学びます。②労働契約締結からその終了に至るまでの法律問題を考察するのが、個別的労働関係法です。ここでは、労働者と使用者の二者間の契約に基づく様々な労働条件、およびその変更が中心的テーマとなります。③労働者・使用者に加えて労働組合という第3の主体が加わり、憲法28条の労働基本権を三者の間で具体化する領域が、集団的労使関係法です。労働組合・団体交渉・労働協約・争議行為、等を議論します。④最後に現代社会では、労使間の紛争をいかに処理するかも重要な課題です。このような労働紛争の解決にかかる様々な法制度にも目を配る必要があります。
テキストは現代的視点も含め、以上の領域全てを学べるようになっています。
神尾真知子・増田幸弘・内藤恵『フロンティア労働法[第3版]』法律文化社、2024年(3月末出版予定)
伝統的な労働法の論点は、上記の②と③の領域にあります。②は、民法の雇用契約を発展させた領域ですが、現在では労働契約法も施行され、労働法独自の体系が整ってきています。③の領域は、憲法第28条の趣旨を如何に具現化するかを重視します。
また労働法学は、現実社会の紛争から切り離すことの出来ない領域です。労働法学の学習には、総合的かつ体系的な理論を学習することに加えて、具体的な裁判例を学ぶことが必須です。学習に際しては『労働判例百選』などの裁判例に関する参考書も利用し、当該テーマにかかる学説が具体的にはどのような事案として生じているかを学んで下さい。
最後に労働法学は、研究者のスタンスが分かれやすい領域でもあります。1冊のテキストに偏ることなく、特にリポート作成の際には複数の参考文献を読み、相互に比較検討することが求められます。テキストの記述をベースに、さらに複数の文献・教科書・体系書を手にとって学んだ上で、リポートを作成するよう心がけてください。
労働法学は労働関係を対象とする領域ですが、法解釈学を基本とします。社会政策学や労働経済学の隣接領域ですが、それらを主として学ぶ訳ではありません。法律学科生であっても法解釈論が弱く、社会評論のようなリポートを書く学生がいます。これは評価できません。上述の関連領域の知識もあれば幅広く学習することが出来ますが、あくまでも法解釈学であることを意識して学んで下さい。
上述したように法律学としての労働法は、憲法、民法総則、債権各論を基礎としています。加えて社会保障法とは、相互補完的な関係にあります。他学部の科目としては、社会政策学や労働経済学とも関連します。
科目試験による。
注意:労働法は改正が頻繁に行われる領域です。参考文献は最新版を使用して下さい。(下記には、当該シラバス原稿作成時における情報を入れておきます。)
まず最初にテキストを用いて当該テーマの全体像をつかみます。次にテーマに関連する専門書、あるいは法律専門誌や大学紀要に掲載されている専門的論文、そして裁判例の原本に当たって、考察を深めて下さい。
1)指定テキストの他に、入手し易い参考書として、
・別冊ジュリスト・労働判例百選(第10版)有斐閣、2022年
・中窪裕也・野田進『労働法の世界』(第13版)有斐閣、2019年
2)裁判例の概略を学ぶために下記もありますが、これはより簡略なので、労働判例百選の補完として利用してください。
・大内伸哉『最新重要判例200 労働法』(第7版)弘文堂、2022年
・唐津博・和田肇・矢野昌浩編『新版・労働法重要判例を読む1 総論・労働組合法関係』、『同・2 労働基準法・労働契約法関係』日本評論社、2013年
3)さらに専門的に学ぶために
・菅野和夫『労働法』(第12版)弘文堂、2019年
・荒木尚志『労働法』(第5版)有斐閣、2022年
・水町勇一郎『詳解 労働法』(第3版)東京大学出版会、2023年
レポートを作成する前にまず指定テキストを通読して下さい。次にレポートの構成を考える際には、当該テーマに関する専門書・専門論文・裁判例等を収集・比較検討し、論点を整理した上で取り組んで下さい。レポートの末尾に必ず参考文献一覧を明記すること。
特に近年、単なるテキストの要約を提出する学生がいます。これは全く評価できません。大学のリポートとは、ご自身の小論文であることを意識して構成して下さい。なお他の文献から直接引用する場合には必ずその出典を明示すること。その際は、文献や判例の引用方法を確認すること。インターネットの情報を引用する場合には、作成者が明らかにされているもののみを補助的に用い、URLに加えて当該HPの作成者とそのHPの名称を明示して下さい。