慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
ロシアの政治
科目設置 法学部専門教育科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 甲類・乙類 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2024 授業コード T0EC009601

講義要綱

現在のロシアは、国力から見て、もはやソ連時代のような超大国ではありません。それでも国際政治に大きな影響を与える国家として、世界の多くの国で関心を持たれています。その一方で、ロシアは隣国でありながら、昔から日本と経済的関係も文化的関係もそれほど密接ではないので、なかなか理解が難しい国であることは確かです。ロシアの政治を客観的に理解するためには、感情的に好きか嫌いかで判断するのではなく、どこがどのように変わってきたのか、あるいはどこが歴史的に見てあまり変化していないと言えるのか、具体的に見ていく必要があります。特にこの講義では、欧米諸国の政治制度をモデルにすることを意識的に避けるようになった2000年以降(プーチン登場以降)に注目し、以上のような変化の問題を考えたいと思います。指定教科書の構成は次の通りです。
 歴史編
 1 自然環境と国土
 2 宗教と民族
 3 ツァーリ(皇帝)の支配
 4 被支配者としてのナロード(民衆)
 5 近代化
 6 革命
 7 スターリン時代
 8 フルシチョフとブレジネフ
 9 ゴルバチョフの改革
 10 ソ連の崩壊
 政治編
 1 市民生活の傾向
 2 経済改革から新政治体制へ
 3 一九九三年憲法体制
 4 連邦制 
 5 選挙と政党
 6 大統領と立法過程
 7 マスメディア
 8 地方自治体レベルの政治
 9 司法と保安機関
 10 プーチン時代の内政
 対外政策編
 1 地理的要因
 2 対外的イデオロギー
 3 対外政策の決定システム
 4 外務省
 5 軍部と国防省
 6 対外経済関係
 7 世論
 8 政治文化
 9 プーチン時代の対外政策

テキスト

この科目は2016年4月に改訂されました。改訂後の新しいテキストによって履修してください。

テキストの読み方

まず全体を読み通して、ロシアについてイメージを描いてください。現状を理解するには、ソ連時代の政治はもちろん、その前の時代の政治について知識を持つことが必要です。次にもう一度、今度は日本の政治とはどこが違うのか考えながら読んでください。理解が深まるはずです。

履修上の注意

特にありませんが、地域研究の一部門ですから、「地域研究基礎」もしくは「政治学基礎」を予め学習しておくと、内容がよくわかると思います。関連する本や教科書を読んでください。

関連科目

「歴史学」「政治学」「東洋史概説」「西洋史概説」「ロシア文学」

成績評価方法

科目試験による。

参考文献

比較的新しい政治の概説書は、横手慎二『ロシアの政治と外交』放送大学教育振興会、2015年。歴史の概説として、田中陽兒、倉持俊一、和田春樹編『世界歴史大系:ロシア史』1─3巻、山川出版、1994─1997年と和田春樹編『ロシア史』(世界各国史22)山川出版社、2002年。なお、現代に関しては、新聞、インターネットなどを通して政治、経済に関する情報を収集し、得られたものを相互に比較しつつ、利用してください(新聞やインターネットによる情報は、しばしば異なる解釈が付されているので、複数の新聞や情報源を利用してください)。

レポート作成上の注意

レポートはたんなる感想文ではないので、論点を整理して論じるよう心がけてください。予め論点を箇条書きにしておくなど、書くべきポイントをきちんと整理してから書いてください。これは努力すれば、誰でもかなり身につくものです。ワープロを利用するときは、変換ミスのないように注意してください。