科目名 | |||
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特別支援教育論 | |||
科目設置 | 教職科目 | 授業形態 | テキスト科目 |
科目種別・類 | 単位 | 2 | |
キャンパス | - | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2024 | 授業コード | T0F0005501 |
〔授業の到達目標及びテーマ〕
特別な教育支援を必要とする幼児、児童、生徒の特性を把握し、自分のことばで論述できるようにする。同時に、学習、生活、対人関係が難しくなる要因を理解し、その困難を解消するための教育方法を習得し、自分のことばで論述できるようにする。このような学習を通して、系統的な対応方法を計画し、論理的な文章で提案できるようにする。さらに、通常学級はじめ、様々な学校、学級に在籍している発達障害や知的障害のある幼児、児童、生徒が達成感を持ちながら授業に参加し、学んでいくことができる教育環境について、論理的な文章で提案できるようにする。また、その他の様々な障害、環境要因による教育的ニーズのある幼児、児童、生徒の実情と教育方法を、論理的な文章で提案できるようにする。全体を通じて、他の教員、関係機関、保護者と連携しながら組織的に対応する具体的な方法を、論理的な文章と概念図で提案できるようにする。
〔授業の概要〕
テキストを読み込むことで、以下の観点から、全ての学習項目を確実に習得していく。特別支援教育の理念と仕組みについて学ぶ。発達障害、知的障害について、その特性、困難さを、具体的な授業や学校場面で正確に把握するための方法と、教育支援方法を習得する。その他の様々な障害、環境要因による教育的ニーズのある幼児、児童、生徒について考察を深める。個別指導計画・個別教育支援計画の作成方法を学ぶ。他の教員、関係機関、保護者と連携する方法について、具体的に理解する。
〔授業計画〕
特別支援教育には、以下の点の理解と習得が必須である。幼児、児童、生徒の特性。学校での学習、生活、対人関係のあり方の把握とアセスメント方法。実際の場面での具体的な教育支援方法。他の教員、関係機関、保護者との連携方法。本授業では、その基本を習得し、様々な場面で応用、活用できるように学習を深める。常に具体的な例を思い浮かべながら自分のことばで論述できるようにする。そのため、指定教科書を、詳細にわたって読み込み、理解するのと同時に、その内容を自分のことばに置き換えてまとめる学習が必要である。指定教科書には、「学校生活チェック表」「気になる子どもシート」など、学校で活用するためのシートが掲載されている。テキストに書かれている事例などを参考にして、実際の学校場面を想定し、書き入れる練習を繰り返す。指定教科書で扱う本授業の学習項目は、次のとおりである。学習項目の記載順序は、コアカリキュラムの到達目標の記載順序に準じている。( )内は各学習項目を扱う指定教科書の節、指定教科書収録のシートの名称である。
1.特別支援教育・インクルーシブ教育の理念
(特別支援教育の現状と応用行動分析)
2.特別支援教育・インクルーシブ教育の仕組み
(支援を支えるシステム)
3.発達障害の理解
(個人と環境の相互作用をみる、通常学級における特別な教育ニーズの理解:「学校生活チェック表」の活用)
4.様々な障害の理解
(個人と環境の相互作用をみる:「学校生活チェック表」の活用)
5.特別支援教育の教育課程と支援方法
(特別支援教育の流れ:「学習評価シート」の活用、「学校生活チェック表」の活用)
6.特別支援教育(学習)の支援方法
(授業における学習の評価と支援、ABC教育技法、よい行動を伸ばす教育支援技法:「学習評価シート」の活用)
7.特別支援教育(生活・対人関係)の支援方法
(生活・対人関係についての支援、ABC教育技法、よい行動を伸ばす教育支援技法:「学校生活チェック表」の活用)
8.様々な指導形態:「通級による指導」と「自立活動」
(支援を支えるシステム、支援を支える人々との連携)
9.個別指導計画・個別教育支援計画の作成の意義
(個別指導計画の作成とモデル:「個別の指導計画シート」、「個別の教育支援計画シート」の活用)
10.個別指導計画・個別教育支援計画の作成の方法
(個別指導計画の作成とモデル:「個別の指導計画シート」、「個別の教育支援計画シート」の活用)
11.特別支援教育コーディネーターとの連携
(特別支援教育コーディネーターの役割と実際の活動)
12.関係機関・家族との連携
(支援を支える人々との連携:「気になる子どもシート」、「校内用子どもの基礎情報シート」、「保護者との個別相談表」「家庭生活チェック表」)
13.様々な教育ニーズへの支援の実際:障害のある幼児・児童・生徒への支援
(ABC教育技法、よい行動を伸ばす教育支援技法:「気になる子どもシート」、「校内用子どもの基礎情報シート」)
14.様々な教育ニーズへの支援の実際:障害以外の教育的ニーズのある幼児・児童・生徒への支援
(ABC教育技法、よい行動を伸ばす教育支援技法:「気になる子どもシート」、「校内用子どもの基礎情報シート」)
15.様々な教育ニーズへの支援の実際:問題解決の技法
(問題行動への対応と支援:「問題行動分析シート」、「問題行動解決シート」)
注)視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、病弱など、および環境要因による教育ニーズ、ならびにインクルーシブ教育に関しては、基本的な教育支援方法はテキストの内容と共通であり、その内容を理解することで習得できるが、上記の各障害特性のアセスメント、各障害に対応した支援方法、最新の知見については、下記にあげる参考書やその他の本を参考に学習をすすめていただきたい。
山本淳一・池田聡子(2005)『応用行動分析で特別支援教育が変わる:子どもへの指導方略を見つける方程式』図書文化社
テキストに出てくる専門用語を、実際の教育場面を想定しながら、自在に使えるようにすることが目標のひとつである。具体的な教育場面を頭に描きながら、自分が担当の教員であったら、児童・生徒を具体的にどう支援するか、どのように工夫するか、問題をどう解決するか、どう連携するか、など考えながらテキストを読み進めていただきたい。事例を想定しながら、テキストに掲載されている各種「シート」に実際に書きこむことで、アセスメント方法、教育方法、問題解決方法を整理していただきたい。
特別支援教育の習得のためには、心理学、障害学、福祉学、教育学などの幅広い知識が必要である。これまでに学んだ様々な知識をフルに活用しながら学習を進めていただきたい。
レポートの合格を前提として科目試験によって評価する。
柘植雅義(編)(2017)『特別支援教育の到達点と可能性─2001~2016年:学術研究からの論考』金剛出版
山本淳一・池田聡子(2007)『できる!を伸ばす行動と学習の支援:応用行動分析によるポジティブ思考の特別支援教育』日本標準
具体的な学校の様子を思い描きながら、作成していただきたい。「先行刺激(見通しなど)、具体的な行動、強化刺激(次の活動につながるほめ方・認め方、達成感を持たせる工夫)」を、具体的に考え、論述することが必須である。