慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
生徒指導論(進路指導を含む)
科目設置 教職科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2024 授業コード T0F0005701

講義要綱

〔授業の到達目標及びテーマ〕
 学際的な生活指導の研究成果に学びながら、学校における生徒指導、進路指導及びキャリア教育の理論と方法に関する知識を修得する。市民的自立と職業的自立の両方を含んで子どもの人格の完成を指導するには、どうしたらよいか。そのような指導を進めるために学校内外の連携を構築し、教育活動全体の改善を行うにはどうしたらよいか。これらの問題について、学校と社会の接続に焦点をあて、自ら考えを展開できるようになることを目標とする。
〔授業の概要〕
 個々の生徒の「問題行動」の背後には、しばしば、深刻で多様な矛盾を含む社会の現実がある。この事実は、今日、いかなる具体的様相を呈しているか。また、それらの諸矛盾の克服が課題として提起されるように生徒たちの学習を共同化しようとするとき、教師たちはどのような手だてを講じるべきか。こうした問題に答えを出すべく、学際的な生活指導の研究に視野を広げ、生徒指導・進路指導及びキャリア教育の理論と方法を学びながら、子どもたちのあいだに関わり合いとしての集団が組織されることの意味を検討する。
〔授業計画〕
 テキスト(主として科目試験を受けるのに必要)と参考書(主としてレポートの添削を受けるのに必要)に即して学修を指導する。各書の構成は以下のとおり。
〈テキスト〉
第1章 現代の生活指導と子ども観
第2章 子どもの権利と生活指導
補 論 懲戒・体罰、出席停止、ゼロトレランス
第3章 今日の学級の意義と生活指導─生活集団と学習集団
第4章 学びの共同性と生活指導
第5章 発達障害児の理解と生活指導
第6章 子ども虐待と生活指導
第7章 子どもの生き方と進路指導
第8章 家庭・地域の問題と教育相談
第9章 市民的自立の課題と教師の指導性
第10章 いじめ問題と生活指導
実践編1 子どもたちとの出会いと生活指導
実践編2 思春期の課題とクラスづくり
実践編3 暴力と非行に取り組む
〈参考書(1)〉
第1章 生活指導の原理
第3章 生活指導の展開
第11章 進路指導・キャリア教育と生活指導
〈参考書(2)〉
プロローグ
第1章 子どもと若者の進路をめぐる状況
第2章 なぜキャリア教育が求められるのか
第3章 日本におけるキャリア教育政策の展開
第4章 「政策としてのキャリア教育」の批判的検討
第5章 「権利としてのキャリア教育」の創造へ
エピローグ
〈参考書(3)〉
第1章 生徒指導の意義と原理
第2章 教育課程と生徒指導
第3章 児童生徒の心理と児童生徒理解
第4章 学校における生徒指導体制
第5章 教育相談
第6章 生徒指導の進め方
第7章 生徒指導に関する法制度等
第8章 学校と家庭・地域・関係機関との連携
〈参考書(4)〉
第1章 キャリア教育とは何か
第2章 高等学校におけるキャリア教育の推進のために
第3章 高等学校におけるキャリア教育の実践

テキスト

折出健二編『教師教育テキストシリーズ13──生活指導 生き方についての生徒指導・進路指導とともに』改訂版、学文社、2014年

テキストの読み方

「テキスト」の内容を十分に理解するには、少なくとも、すべての章(巻末の実践編を含む)について、その章の内容を的確に要約するようなノートを作るべきである。印象に残りやすかったところだけを断片的に書き留めるのではなく、章の表題や小見出しも手掛かりにして、各節の内容や複数のキーワードが互いにどう関わっているのかというところまで、しっかり考えるようにするのがよい。また、「参考書・参考資料等」を併せて読む際には、生活指導の原理に照らして生徒指導の限界を考えるようにするとよいだろう。

履修上の注意

生徒指導、進路指導及びキャリア教育においては、その前提として深い生徒理解が必要である。「教育相談論」「特別支援教育論」等の科目で扱われる内容にも関心を持ち、生徒理解のための考え方や方法について積極的に学んでいく姿勢が求められる。

成績評価方法

レポートの合格を要件として科目試験の成績によって評定する。

参考文献

(1) 山本敏郎・藤井啓之・高橋英児・福田敦志『新しい時代の生活指導』有斐閣、2014年。
(2) 児美川孝一郎『権利としてのキャリア教育』明石書店、2007年。
(3) 文部科学省『生徒指導提要』教育図書、2010年。
(4) 文部科学省『高等学校キャリア教育の手引き』教育出版、2012年。

レポート作成上の注意

『塾生ガイド』を読んで所定の字数制限を踏まえるように。本要領の〔授業の概要〕はレポートを書き上げたときにも読み返してみるとよい。なお、レポート課題に答えるには、本要領に掲載されている「テキスト」「参考書・参考資料等」以外にも重要な参考文献があると思って自分で調べるくらいのことが最低限必要である。