慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
社会科・地理歴史科教育法Ⅰ
科目設置 教職科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2024 授業コード T0F0005001

講義要綱

〔授業の到達目標及びテーマ〕
 本授業科目テーマは、社会科とはどういった科目であるのかを、教科の特徴と教科教育法についての具体的な内容から学修するものである。
〔到達目標〕
①社会科の成立から地歴科・公民科導入及びその後の教科の特質を理解する。
②社会科教育に関する代表的な論争について理解し、社会科授業の構想に生かせる。
③社会科及び地理歴史科教育の授業科目に関する学習指導案を作成できる。
④授業構想に際して、情報通信技術の活用ができるようになる。
〔授業の概要〕
 本授業は、社会科の成立からその解体(小学校低学年、高等学校)、そして今日に至るまでの社会科に関する論争を中心に社会科の特質について考察する。特に、勝田・梅根論争などから問題解決学習と系統学習に関する理解を深めることによって、受講者自らが社会科の授業を構想し、学習指導案を作成できるようになることを目指す。また、学習指導案作成に際しては、情報通信技術の活用など、多様な方法を理解し、活用できるようになる。
〔授業計画〕
 社会科教育を考えるうえで、教科の特質を理解することが重要である。特に、社会科に関しては、「社会」という総合科目として理解する立場と地歴と公民といった系統性、専門性に分ける立場があり、それが指導法にも影響を与え、多様な教育法が展開されてきた。これらを整理したうえで、自らが社会科教育において、多様な学習内容に対して適切な教育法を考えられるようになることを目的としている。指定教科書の構成は下記のとおりである。なお、現行学習指導要領の確認も行う。
 第1部 社会科の基礎論
  第1章 社会科の性格
  第2章 社会科の成立と展開
  第3章 地理教育論
  第4章 歴史教育論
  第5章 公民教育論
 第2部 社会科の実践論
  第1章 社会科の授業論
  第2章 社会科の実践
 第3部 現代社会からの発信
  第1章 新しい時代の学校像と社会科
  第2章 諸外国の社会科の動向
  第3章 社会科と関連諸科学

テキスト

日本社会科教育学会編『新版 社会科教育事典』ぎょうせい、2012年。(新版ではなく、旧版でも可)
文部科学省『中学校学習指導要領解説 社会編』。
文部科学省『高等学校学習指導要領解説 地理歴史編』。
※『学習指導要領解説』は、廉価で市販されているが、文部科学省ホームページからダウンロードもできる。

テキストの読み方

    テキストは、『新版 社会科教育事典』と文部科学省の『学習指導要領解説』(中、高)である。
 『新版 社会科教育事典』は、社会科に関する主要な項目を網羅的に取り上げ、見開き頁で学べるようになっている。また、社会科の基礎論と実践論を1部、2部に分かれて記述されているので、章ごとに学んでいくと理解しやすい。レポートの作成に関連して言えば、例えば授業に関することは、基礎論、実践論共に述べられているので関係すると思われるところをつなげて読むと理解しやすい。なお、新版ではなく、旧版を使用しても構わない。
 『学習指導要領解説』(中、高)は、国の法規である学習指導要領の原文が枠内に記載され、それについての解説が続けて述べられたものとなっている。
    本講義において利用するのは、中学校学習指導要領のみとし、さらに公民的分野は除くものとする。

履修上の注意

テキストを読んで社会科のついての一定の理解ができた後、レポートを作成する際(1について)には、参考文献についても関連個所について目を通すのが望ましい。

成績評価方法

レポートの合格を前提として科目試験によって評価する

参考文献

勝田守一『勝田守一著作集』第1巻~第7巻、国土社。
梅根悟『梅根悟教育著作選集』第1巻~第8巻、明治図書出版。
上田薫『上田薫社会科教育著作集』第1巻~第5巻、明治図書出版。

レポート作成上の注意

1について:系統学習と問題解決学習とは社会科教育における最大のテーマであるといえる。これに関して、勝田守一および梅根悟がどういった立場であったのか。すなわち一方の社会科論の立場なのか、どちらの立場も否定しないのかなど、よく理解してほしい。より内容を深めるには、参考文献にある勝田や梅根の著作集などを図書館で調べるとよい。
2について:学習指導案の作成については、明確な基準といったものはなく、皆さんが教育実習に参加される学校や教育委員会ごとに作成の様式が異なっている。そこでインターネットなどで学習指導案の例を調べて参考にしてください。
 本レポートでは、「調べ学習」や「見学・観察」を行う授業を求めているので、一般的な50分授業にこだわらずともよい。