慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
哲学
担当教員名
小関 健太郎/佐藤 広大
科目設置 総合教育科目 授業形態 秋期週末スクーリング
科目種別・類 3分野科目/人文科学分野 単位 2
キャンパス 三田 共通開講学部 -
設置年度 2024 授業コード 12401

授業科目の内容

 この授業で扱うテーマは「分析形而上学」です。「分析形而上学」という語は、「形而上学」という語と「分析」という語に分けることができます。「形而上学」とは、世界の根本的なあり方の「そもそも」を問うことです。たとえば、そもそも、何かが存在するとはどういうことかとか、世界には何が存在しているのかとか、何かが必然的であるとか可能であるとはどういうことかとか、何かが何かを引き起こすとはどういうことかとか、現在の私と過去の私が同一人物だと言えるのはなぜかとか、私たちの行為は本当に自由なのかと問うことです。「分析」は、分析哲学という手法を指しています。分析哲学の特徴の一つは、過去の哲学者たちが問題にどう取り組んできたかを明らかにするだけでなく、自分たち自身で問題に対してできるかぎり明確で厳密な答えを与えようとすることです。
 授業は、第1回~4回の担当は小関で、第5~11回の担当は佐藤で、第12回の担当は二人です。この授業で問題にしたいのは、今日における分析形而上学の意義と限界です。第1回~9回の授業では、分析形而上学における各テーマの意義と限界について考えていきます。そして、第10~11回の授業では、分析形而上学は、責任の問題をどこまでうまく扱えるのか(あるいは、扱えないのか)を見ていきます。

第1回講義内容
イントロダクション:存在論からの哲学

第2回講義内容
フィクションの存在論

第3回講義内容
可能性と不可能性

第4回講義内容
過去の対象と未来の対象

第5回講義内容
行為の存在論

第6回講義内容
科学の存在論

第7回講義内容
因果性

第8回講義内容
人の同一性

第9回講義内容
自由と決定論

第10回講義内容
自由と責任

第11回講義内容
非難とは何か

第12回講義内容
試験・総括

その他の学習内容
  ・課題・レポート
  ・小テスト

成績評価方法

最終日の試験に加え、授業内で行う課題もしくは小テストも加味して成績を決定します。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

プリントを適宜配布する

参考文献

日常世界を哲学する:存在論からのアプローチ/倉田剛 光文社 2019
ワードマップ現代形而上学:分析哲学が問う、人・因果・存在の謎/秋葉剛史・倉田剛・鈴木生郎・谷川卓 新曜社 2014
責任と自由/成田和信 勁草書房 2004

受講上の要望、または受講上の前提条件

 哲学についての予備知識は前提にしません。
 上記の参考文献を読むと授業内容をより深く理解できるはずですが、読んでいなくてもまったく問題ありません。