科目名 | |||
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自然科学特論 | |||
担当教員名 | |||
木島 伸彦/瀬口 瑛子 | |||
科目設置 | 総合教育科目 | 授業形態 | 夏期スクーリング |
科目種別・類 | 3分野科目/自然科学分野 | 単位 | 2 |
キャンパス | 日吉 | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2024 | 授業コード | 12451 |
自然科学は大きく分けると物理科学、地球科学、生命科学の3分野があります。このうち、生命科学とは、生命体である有機物を対象とする分野のことで、生物学が代表的な学問と言えるでしょう。本講義では、生命科学の一分野として考えることができる心理学を扱います。2名の講師によって実証科学的手法を用いた具体的な研究を紹介することを通して、自然科学の一端に触れて頂きます。
心理学と言う学問は、一般的には勘違いされることの多い学問ですが、理論とエビデンスに基づいた実証科学的手法を用いた研究分野が基本になります。人の心の機微をデータを用いずに扱うカウンセリングも心理学の一分野であり、とても重要ですが、本講義では実証科学に基づいた心理学をメインに扱います。
また、心理学が扱う「こころ」の形は必ずしも1つではありません。多種多様な動物が存在するように、「こころ」のあり方も種に固有で多様なものです。人間と他の生物種の行動や生態、それらを支える生理学的基盤を比較することで、人間と他の生物種では、何が共通し、何が特殊なのかが見えてきます。第7回以降の講義では、人間以外の動物を対象とした研究の紹介も交えながら、「私たちは何者なのか?」という問いを、ともに考えます。
第1回講義内容
実証科学の基本的な考え方についての概論。
理論、エビデンス等の基本的考え方と心理学に特有な操作的定義等の考え方を説明します。
第2回講義内容
実証科学の効用と限界及び注意点。
実証科学のお陰で数多くの成果が得られているのと同時に、実証科学では扱うことができない事柄の紹介や、
データを用いた研究で陥りがちな線形モデルの注意点を説明します。
第3回講義内容
パーソナリティ心理学の基本的な考え方についての概論。
気質、性格、物語的自己、パーソナリティ等の基本的な用語や、代表的なパーソナリティ理論を説明します。
第4回講義内容
クロニンジャーのパーソナリティ理論の紹介。
特に脳科学や遺伝子研究において良く用いられるクロニンジャー理論の基本的な考え方を説明します。
第5回講義内容
クロニンジャーのパーソナリティ理論に基づいた研究の紹介。
質問紙を用いた基本的な研究と、脳科学や遺伝子研究等の最新の研究を紹介します。
第6回講義内容
第1回から第5回までの総括
第7回講義内容
「こころ」を種間で比較するための基本的な考え方についての概論。
まず、生物の進化とは何であるかを理解します。その上で、私たちヒトと他の動物とで身体のデザインのどこが違い、どこが共通なのかを考えます。
第8回講義内容
情動とストレスが生じる仕組みと古典〜最新研究の紹介。
喜怒哀楽といった情動や感情はいかにして生じるのか。私たちの生活から切っても切り離せない「ストレス」の実態とは何か。いかにしてストレスと付き合っていくかを考えます。
第9回講義内容
社会におけるコミュニケーションの枠組みの説明と、様々な動物を対象とした研究紹介。
私たちの日常生活において、「コミュニケーション」は欠かせないものとなっています。攻撃的なもの・親和的なものといった質的な切り口や、異性間・親子間・同性間といった関係性の種類による切り口で、コミュニケーションの多様性を理解します。
第10回講義内容
他者に共感する心がいかにして進化してきたかの考察。
私たちは、他者がどのような意図や感情を持っているかを推しはかることがよくあります。その基盤となっているのが「共感」という心の機能です。自己と他者をどうやって認識し、自己を他者に同一化させているのか、その仕組みを理解します。また、共感の負の側面についても考えます。
第11回講義内容
ヒト社会の特徴についての理解と考察。
動物の様々な社会のあり方(社会生態)を紹介しながら、ヒトの社会生態の特徴について理解します。
第12回講義内容
第7回から第11回までの総括
その他の学習内容
・課題・レポート
2名の講師による試験の得点を合算して総合的に評価する。
テキストは使用しない。授業内容の一部をネットで公開する予定である。
参考文献は授業内で紹介する。
授業内容の一部をネットで公開する予定なので、授業中、あるいは授業前に、PCあるいはスマホ等でネットにアクセスできることを前提として考えます。