科目名 | |||
---|---|---|---|
英語(リーディング)C | |||
担当教員名 | |||
伊藤 盡 | |||
科目設置 | 総合教育科目 | 授業形態 | 秋期週末スクーリング |
科目種別・類 | 外国語科目/英語 | 単位 | 1 |
キャンパス | 三田 | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2024 | 授業コード | 22425 |
別世界ファンタジー小説を読みます。ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキンの未邦訳ファンタジー『フーリンの子どもたち』(The Children of Húrin)(2007)を、各回1章ずつ講読しながら、英語の文法、長文読解のコツ、発音(音読)のポイント、別世界ファンタジーの楽しさについて学びます。
履修者はあらかじめ原書を入手して、読み始めることが求められますが、授業の中で読んでいない部分についても解説をするので、安心してください。
使われる英語は平易な部分と難しい部分があります。昔話風の比較的やさしいのは地の文です。比較的難しいのは、想像世界の中の風景描写が英語で説明された場合で、翻訳された日本語とのニュアンスの違いについて、授業内で解説したり、受講生からの質問に答える形で説明します。登場人物の科白には古語的な表現が多いので、そのニュアンスを掴むのも原書を読む醍醐味になります。
第1回講義内容
Chapter 1: The Childhood of Túrin 物語の始まりには、さらなる前日譚があることを学びましょう:オリエンテーション、辞書の紹介、総合的な英文法のポイント、英文を読むためのポイントを学びます
第2回講義内容
Chapter 2: The Battle of Unnumbered Tears 「涙尽きざる戦い」という伝説の戦いは、実際の戦場(ソンムの戦い、第1次世界大戦)を経験した著者の実体験に基づくと考えられることを学びます
第3回講義内容
Chapter 3: The Words of Húrin and Morgoth 神学的な考察が見られるので、著者トールキンの友人でもあったC. S. ルイスの『悪魔の手紙』という作品と比較しながら、意味を考えましょう
第4回講義内容
Chapter 5: Túrin in Doriath 有限の命を持った人間が、無限の命を持つ者たちの間で生きるとはどのようなことかを考えましょう
第5回講義内容
Chapter 6: Túrin among the Outlaws 「無法者」という日本語に相当する英語のoutlawという語彙ですが、実は、世界中の物語に登場するひとつのモチーフでもあります。トールキンの物語ではどのように描かれているか、考察しましょう:米語のoutlawも本来は英語のoutlaw,さらには北欧語のoutlawに遡ます。「法」とは何かを考え、御自身の考えをまとめてください
第6回講義内容
Chapter 7: Of Mím the Dwarf 生き物の第三の種族ドワーフ族が登場します。ドワーフの伝説について理解を深めましょう:課題の中に日本における伝承について、ご存じのことを記すことを含みます
第7回講義内容
Chapter 8: The Land of Bow and Helm 英雄の成功と没落の模様を観ます。物語の展開について考えましょう:長い英文を読みます。予習をしっかりとしてください
第8回講義内容
The Death of Beleg 悲劇的な運命がひとつひとつ明らかになりますが、その結果のひとつは親しい友人の死です。その意味について考察します
第9回講義内容
Chapter 10: Túrin in Nargothrond 第9、10回は第4回と並ぶ、意義深い章です。人生の中で何度か好機に恵まれることはないでしょうか。けれど、その意味を人は必ずしも理解できないものです。「運命」について、また「文明」について考えましょう
第10回講義内容
Chapter 11: The Fall of Nargothrond 西洋の文化・伝統の中で、竜という存在は大きな意味を持っています。東洋とは一見異なるその伝統の中で、人間の伝承とはどのような意味を持つのか、考察しましょう
第11回講義内容
Chapter 13: The Coming of Túrin into Brethil 新たなるトゥーリンの物語。過去を捨てて人はどうなるべきでしょうか。考察しましょう
第12回講義内容
Chapter 14: The Journey of Morwen and Niënor to Nargothrond 総論となります。新たなる悲劇の始まりが語られます。講義はこれで終了ですが、この先の物語の結末について予測してみましょう
その他の学習内容
・課題・レポート
・小テスト
・毎回の授業での答えを評価します。
課題提出物は50パーセントで評価します(課題提出物は、毎日の授業後に提出してもらいます)。
小テストは10パーセントで評価します。
その他の授業内での答えを40パーセントで評価します。
The Children of Húrin/J. R. R. Tolkien HarperCollins 2009
プリントを適宜配布する
その他、補助教材となるプリントは、授業内で適宜配布します。
ネット環境が整う受講生には、オンラインストレージサービスBOXからもダウンロードできるように授業内で告知します。
最新版シルマリルの物語/J. R. R. トールキン著、田中明子訳 評論社 2023刊行予定
終わらざりし物語(文庫版 上下巻)/J. R. R. トールキン著、山下なるや訳 河出書房新社 2022
悪魔の手紙(平凡社ライブラリー565)/C・S・ルイス著、中村妙子訳 平凡社 2006
授業内では物語すべてを読むことは出来ないので、配布プリントや参考文献によって、ストーリーを理解するようにしてください。