慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
アメリカ文学
担当教員名
佐藤 光重
科目設置 文学部専門教育科目 授業形態 夏期スクーリング
科目種別・類 第3類 単位 2
キャンパス 日吉 共通開講学部 -
設置年度 2024 授業コード 52452

授業科目の内容

アメリカン・ルネサンス期の作家ヘンリー・デイヴィッド・ソロー(H. D. Thoreau, 1817-62) の著作『森の生活』(Walden; or, Life in the Woods, 1854)の解説・解釈を中心としながら一九世紀アメリカ文学、社会、歴史への洞察力を養う。授業は講義を中心とするが、毎回、抜粋の音読や感想、解釈、質疑応答など受講生にも発言を促しながら進めていく。テキストには原書を用いるが、各章の概略を理解したり、予習、復習の手助けとして邦訳(飯田実訳、岩波文庫版)を使用して構わない。ただし自分が興味を持った部分や邦訳では意味がよく分からないところなどを中心に原書で内容を確認することは予習として求められるので、現代作品でもよいので普段から辞書を片手になんらかの原書を読んでおり、辞書の助けを借りれば原書で作品の筋が追えるくらいの英語力が必要となる。一日目にはイントロダクションにつづいて第一章の講義を開始するので、事前に「経済」("Economy")の章の半ばくらいまでは邦訳で一読しておくこと。最終回は筆記テストを実施する。

第1回講義内容
イントロダクション  ソローおよび『森の生活』について

第2回講義内容
「経済」 ソローの反骨精神とユーモア

第3回講義内容
「住んだ場所と住んだ目的」  目覚めのメタファー

第4回講義内容
「読書」 なぜ古典を読むのか?

第5回講義内容
「音」  遍在しつつ気付かないものとは何か?

第6回講義内容
「孤独」  現代人の孤独と一九世紀文学での孤独

第7回講義内容
「マメ畑」  なぜ食べもしない豆を育てるのか?

第8回講義内容
「湖」 森の透明な眼球 『ウォールデン』の創作過程とテクスト

第9回講義内容
「ベイカー農場」 神話と史実 「より高い法則」から「動物の隣人たち」  『ウォールデン』の転換点

第10回講義内容
「暖房」と「先住者たち」  市場主義、重商主義と『ウォールデン』

第11回講義内容
「冬の湖」から「春」   

第12回講義内容
総括 

その他の学習内容
  ・課題・レポート
  ・ここでいう課題・レポートとは予習のことです。毎回の授業範囲にあたる章は少なくとも邦訳で一読し、興味深いところは原書にあたるよう予習が必要です。授業中に音読を指示する場合があります。各回、扱う章について感想や意見を求めることがありますので端的に答えられるよう準備をしておいてください。初見の英語でもある程度は音読できる力が必要です。

成績評価方法

筆記試験の成果(合格基準は100点満点で60点以上)で評価する。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

Walden; or, Life in the Woods (Dover Thrift Editions))/Henry David Thoreau Dover 1995

参考文献

The Days of Henry Thoreau: A Biography/Walter Harding Dover  (0486242633) 1982
『ウォールデン』入門講義/佐藤光重 金星堂 2019年

受講上の要望、または受講上の前提条件

あくまで要所要所は英語で作品を理解することが主眼ですが、邦訳『森の生活』(岩波文庫)やハーディングのソロー伝『ヘンリー・ソローの日々』(山口晃訳、日本経済評論社)といった邦訳も補助手段として使って構いません。ハーディングの原書は平易な美しい英語で書かれているので原書で勉強するのがお薦めです。