科目名 | |||
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世界経済論 | |||
担当教員名 | |||
宮﨑 礼二 | |||
科目設置 | 経済学部専門教育科目 | 授業形態 | 夜間スクーリング |
科目種別・類 | 単位 | 2 | |
キャンパス | 三田 | 共通開講学部 | 法学部「世界経済論」として開講 |
設置年度 | 2024 | 授業コード | 62430 |
1990年代半ばから本格化したグローバリゼーションは、第二次世界大戦後の自由貿易体制の全面開花であった。世紀転換の直後から世界は大きく動揺するようになった。21世紀世界は、2001年の同時テロ、2008年サブプライムローン問題に端を発する国際金融危機とその後の世界同時不況、そしてヨーロッパ財政危機を契機とするユーロ解体の懸念など、第二次世界大戦後に経験することのなかった「危機の連鎖的状況」で始まった。さらに、旧植民地の新興国の急速な経済成長による「グローバルサウス」の台頭は、19世紀・20世紀の帝国主義列強諸国・先進工業国中心の世界経済地図を大きく書き換えるようになった。とりわけ、アメリカの覇権に挑む中国の台頭は新たな大国間対抗をもたらし、歴史転換の契機になるかにも見えた。また、イギリスのEU離脱やアメリカでのトランプ政権誕生に象徴されるように、先進国の多くで「グローバル化恐怖症」(globaphobia)が進んできた。それまでのグローバリズムの興隆を凌駕しようとしている。それでも、グローバリゼーションの堅牢さを前提に世界中に張り巡らされた供給網(グローバル・サプライチェーン)は揺らぐことなく、むしろ拡大し続けてきた。
しかし、多様な領域で動揺が生じても揺らぐことのなかったグローバリゼーションは、米中対抗が深刻化するなかで発生した新型コロナウィルスのパンデミックによって、これまでのグローバリゼーション在り方を問い直され始めている。米ソ冷戦の終焉後の世界経済では見られなかった不確実性と不透明性の高まりの時代が進行している。
本講義は今日の世界経済を理解するために、第二次世界大戦後から今日に至る世界経済の展開と変遷を、インターナショナルな経済関係からグローバルな経済への移行とその構造変化に焦点を当てながら、現在の世界経済の到達点、そして何が変わりつつあるのかを明らかにするために、政治経済学的に考察をおこなう。さらに、この変遷過程に現実経済と政治・経済思想との関係性を見出し、思想の具現的手段としての政策面からも世界経済を捉える。講義では、個々の具体的な政治経済事象や政策展開を時系列的に取り上げ、それらの政治経済的な意味とそれらが現実の世界経済にどのような影響をもたらし、またどのような意義をもったのかについて論じる。したがって、本講義は理論を中心とする「学」ではなく、事実を踏まえて解釈する「論」に重きをおく。つまり、定量的ではなく定性的分析が主たるアプローチとなる。しかし、今日の世界における各国経済のあれやこれやの解説が本講義の目的でないことに留意してほしい。
第1回講義内容
講義ガイダンス & イントロダクション
第2回講義内容
戦後世界経済秩序の形成
第3回講義内容
戦後構想と現実との乖離
第4回講義内容
Pax Americanaの基盤確立
第5回講義内容
国民国家を超越する多国籍資本の台頭
第6回講義内容
国民国家の「呪縛」からの解放とグローバリゼーションの胎動
第7回講義内容
戦後世界経済秩序への挑戦─オイル・ショックとその帰結─
第8回講義内容
米国の高金利政策の国際的波及と影響
第9回講義内容
ポスト冷戦とグローバリズム盛隆
第10回講義内容
戦後世界経済の変容とバブル連鎖
第11回講義内容
世界経済秩序を巡る米中対抗の構図
第12回講義内容
グローバリゼーションの行方
その他の学習内容
・課題・レポート
・内容の節目ごとに、リアルタイムで生じている政治経済事象を講義テーマから読み解くための≪歴史と現代との対話≫を挿入することもある。
期末レポート評価ルーブリックに従って評価する。なお、ルーブリック基準については講義で配布する。
『国際経済政策論』/新岡智・板木雅彦・増田正人編 有斐閣 2005年
プリントを適宜配布する
テーマ毎に講義資料を配布する。
参考文献については、講義内で適宜紹介する。
1. 講義は、前回までの内容の積み重ねで全体像を構成するため、欠席することのないようにしてほしい。
2. 日々の政治経済ニュースに関心を持っていることが望ましい。