慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
産業関係論
担当教員名
八代 充史
科目設置 経済学部専門教育科目 授業形態 夏期スクーリング
科目種別・類 単位 2
キャンパス 三田 共通開講学部 法学部「産業関係論」として開講
設置年度 2024 授業コード 62425

授業科目の内容

 この講義では、産業関係論の様々な側面の中で特に人的資源管理について講義を行います。人的資源管理とは、市場経済で最大利潤獲得を目的にした企業がどうしたら従業員を合理的に活用し、また彼らのやる気を高めることができるかを研究する学問です。ここでは、特に日本的雇用制度に関して、下記の側面から講じたいと思います。
 私は1987年から1996年まで雇用職業総合研究所(現労働政策研究・研修機構)に研究員とし勤務しており、労働政策や雇用制度に関する実態調査に従事していました。この講義では、こうした知見を活かして、企業の雇用制度の実態を講じたいと思います。

第1回講義内容
人的資源管理と雇用制度 「人的資源管理とは何か」という基本事項を説明し、合わせて人的資源管理の「外枠」である雇用制度について講じます。

第2回講義内容
日本的雇用制度(1)長期雇用 人的資源管理の外枠である雇用制度のうち、長期雇用について、経済合理性、社会政策、判例法理、という側面から説明します。

第3回講義内容
日本的雇用制度(2)年功賃金 人的資源管理の外枠である雇用制度のうち、年功賃金について、人的資本投資、人のマイレイジ、生活保障賃金、という側面から説明します。

第4回講義内容
人的資源管理の各論(1)初期キャリア 人的資源管理の各論として、募集、採用、初任配属等の初期キャリアについて講じます。

第5回講義内容
雇用制度の各論(2)配置・異動 人的資源管理の各論として、初任配属や配置転換等について講じます。

第6回講義内容
雇用制度の各論(3)昇進・昇格 人的資源管理の各論として、昇進管理の役割、昇進と昇格の違い、新規学卒採用と年次管理について講じます。

第7回講義内容
雇用制度の各論(4)賃金制度 人的資源管理の各論として、総額人件費、賃金制度の機能、賃金体系について講じます。

第8回講義内容
雇用制度の各論(5)人事制度 人的資源管理の各論として、人事制度、特に職務等級、職能資格制度等の等級制度について講じます。

第9回講義内容
雇用制度の各論(6)退職 人的資源管理の各論として、定年制、早期退職優遇制度等の退職制度について講じます。

第10回講義内容
女性化~ポジティブ・アクション 企業の女性活用は如何にあるべきか、女性を活用することが人的資源管理上どの様なメリットがあるかを講じます。

第11回講義内容
高齢化~エイジ・フリー 企業の高齢者活用は如何にあるべきか、高齢者を活用することが人的資源管理上どの様なメリットがあるかを講じます。

第12回講義内容
総括 これまでの講義のまとめを行います。

その他の学習内容
  ・人的資源管理の理論的な側面はもちろん、企業における人的資源管理の実態を詳しくお話したいと思います。

成績評価方法

成績評価は、スクーリングの最後に実施する試験によって行います。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

『ライブ講義 はじめての人事管理(第3版)』/八代充史・南雲智映 泉文堂 2023年。

参考文献

『人的資源管理論ー理論と制度(第3版)』/八代充史 中央経済社 2019年。

受講上の要望、または受講上の前提条件

皆さんの学習意欲にお応えできる様最善を尽くしたいと思いますので、皆さんも事前にテキストに目を通すことで知識の習得に努めて下さい。

講師の実務経験※実務家としての経験があり、その知見が授業に反映されている場合に、「あり」と表示されます

あり