科目名 | |||
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保険学 | |||
担当教員名 | |||
内藤 和美 | |||
科目設置 | 経済学部専門教育科目 | 授業形態 | 夏期スクーリング |
科目種別・類 | 単位 | 2 | |
キャンパス | 三田 | 共通開講学部 | 法学部「保険学」として開講 |
設置年度 | 2024 | 授業コード | 62437 |
現代では、個人や企業は多種多様なリスクにさらされており、リスクを合理的に処理する手段として保険の重要性は高まっている。保険は長い歴史の中で誕生し発展してきたが、現代社会においても社会的インフラとして重要な役割を担っている。
本講義では、保険学の理論に基づいて保険を体系的に学ぶことを目的とする。主に対象とするのは、生命保険、損害保険、医療保険などの民間保険であるが、保険制度全体を理解するために社会保険との関係についても取り上げる。最終的には、保険制度が現代社会においてどのような機能や役割を果たしているのかを理解することを目的とする。
主な講義内容および順序は、以下の通りである。
第1回講義内容
【イントロダクション】
本講義の目的および概要、成績評価の方法について説明する。
第2回講義内容
【学問としての保険学】
保険学の生成と発展、保険学の体系、保険学とリスクマネジメント論の関係について説明する。保険学とはどのような学問であるのかを理解するとともに、保険学を学ぶ意義について考える。
第3回講義内容
【保険の歴史】
保険の源泉から、様々な種類の保険が誕生した経緯と背景を説明する。特に、保険の歴史は資本主義経済の発展と密接に関わっていることについて理解を深める。
第4回講義内容
【保険の理論】
保険の基本理論として、大数の法則と二大原則について説明する。次に、保険が果たしている経済的機能と付随的機能について学んでいく。
第5回講義内容
【保険の特性】
保険の基本特性と保険類似制度について説明する。次に、保険可能性と保険加入の合理性について考えていく。さらに、保険取引における情報の非対称性と逆選択およびモラル・ハザードについて理解を深める。
第6回講義内容
【保険の構造】
保険の基本構造について説明し、保険の種目を体系的に理解する。次に、保険料と保険金の構造について、生命保険と損害保険を比較しながら学んでいく。
第7回講義内容
【保険と金融】
保険の二大機能(経済的保障機能・金融的機能)について説明する。次に、保険会社における資産や負債の特性を踏まえた金融リスク管理の重要性について学ぶ。さらに、資産運用環境の変化とともに保険会社において企業リスク管理(ERM)が重視されるようになってきたことを理解する。
第8回講義内容
【保険と経営】
保険事業の特性と保険ビジネスモデルについて説明する。次に、保険企業の経営形態について、株式会社と相互会社、共済事業、少額短期保険業者など多種多様な形態があることおよびそれぞれの特徴や課題について考えていく。
第9回講義内容
【保険と市場】
世界における日本の保険市場の位置付けと生保・損保市場の変遷を説明する。次に、保険市場の発展を支える再保険市場や近年台頭している代替的リスク移転について理解を深める。さらに、保険自由化が保険市場の構造にどのような変化をもたらしたのかを考えていく。
第10回講義内容
【 保険と政策】
保険政策について、戦後の護送船団行政から保険自由化までの変遷を学ぶ。次に、保険自由化のメリットとデメリットについて考える。さらに、保険契約者保護の観点から、保険政策が果たす役割について理解を深める。
第11回講義内容
【保険の将来】
保険の将来を展望し、保険が直面する課題について理解する。人口減少社会、グローバリゼーション、デジタル化といった環境変化が保険業にどのような影響を与えているのか、また、こうした環境変化に対して保険業はどのように対応すべきであるのかを考えていく。
第12回講義内容
【総括】
講義全体の総括を行う。そして、授業内容に関する理解度を試験によって確認する。
その他の学習内容
・課題・レポート
・小テスト
小テスト・レポート(30%)および最終日の授業内試験(70%)により総合的に判断する。
新・保険学/堀田 一吉 通信テキスト 2021(2023年2刷以降は「保険学」)
現代リスクと保険理論/堀田一吉 東洋経済新報社 2014
現代保険学/堀田一吉・中浜隆編 有斐閣 2023
保険学[補訂版]/近見正彦・堀田一吉・江澤雅彦編著 有斐閣 2016
はじめて学ぶリスクと保険[第4版]/下和田功編 有斐閣 2014
通信教育テキストを丁寧に読み込んだ上で、講義に参加して下さい。また、可能であれば、現代社会において、保険制度および保険業がどのような意義を有しており、どのような課題に直面しているのか、問題意識を持ちながら講義に参加して頂きたいと思います。