授業科目の内容

　日本では、しばしばアメリカが「最も重要な外国」といわれ、日々様々な情報が入ってきますが、こと政治については意外と理解されていないように思われます。そこでこの授業では、建国からの歴史の概略と、立法や選挙等の現代の政治過程に分けて、アメリカの政治について政治学の観点から説明していきます。2020年の大統領選挙をめぐる混乱に象徴的に表れているように、民主主義のリーダーを自負するアメリカ合衆国の政治は様々な行き詰まりを迎えているようにみえますが、それがなぜかということも、この授業で扱う主要なテーマの一つになります。

第1回講義内容
イントロダクション・歴史編①建国と二大政党制の登場

第2回講義内容
歴史編②南北戦争とその遺産

第3回講義内容
歴史編③20世紀国家機構の発達

第4回講義内容
歴史編④リベラルの優位から分極化の政治へ

第5回講義内容
政治主体編①政党と選挙

第6回講義内容
政治主体編②様々な利益団体の活動

第7回講義内容
政治主体編③政治的インフラストラクチャーとその働き

第8回講義内容
制度編①：連邦議会と立法過程

第9回講義内容
制度編②：大統領と官僚機構

第10回講義内容
制度編③司法政治

第11回講義内容
制度編④連邦制の作動の仕方

第12回講義内容
結語および試験

その他の学習内容
　　・課題・レポート

成績評価方法

最終回に行う試験の成績に、授業時に書いていただくレスポンスペーパーの内容を加味して評価します。

テキスト（教科書）※教科書は変更となる可能性がございます。

この授業の内容と一対一対応するという意味での教科書はありませんが、以下の書籍は内容上の重なりが大きく、予習の役に立つと思われます。
岡山裕『アメリカの政党政治――建国から250年の軌跡』（中公新書、2020年）…政党政治を軸に政治史および政治制度の働きの基礎を解説する。
岡山裕・前嶋和弘『アメリカ政治』（有斐閣、2023年）…現代政治を重要な主体と政治制度に着目して説明しており、とくに授業後半の内容はこの書物とほぼ対応している。

参考文献

プリントを適宜配布する
授業で用いるスライドに基づいたプリントを適宜配布し、授業の各回でその内容に関わる参考文献を案内します。

受講上の要望、または受講上の前提条件

　時事的な解説をする授業ではありませんが、大統領選挙の時期にもあたるため、関連するアメリカ政治の出来事にも言及しながら話をするので、是非日頃からニュースにふれておいてください。政治学の基本的な考え方が身についていると、説明を理解しやすいでしょう。