慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
国語科教育法
担当教員名
中地 譲治
科目設置 教職科目 授業形態 夏期スクーリング
科目種別・類 単位 3
キャンパス 日吉 共通開講学部 -
設置年度 2024 授業コード 82402

授業科目の内容

「読む」「書く」「話す」「聞く」の実践を通して、言葉の適切な表現と正確な理解とを目指します。「よむ」は「かぞえよみあげる」ことであり、「はなす」は「てばなす」、「きく」は「からだでうけとめる」、さらには「ききかえす=とう」ことです。そこに「あとをのこす」ことである「かく」が加わると、「読む」「書く」「話す」「聞く」の言語活動が総合的に展開します。この言語活動を通して言葉に対する認識が更新され、言葉を大切にする気持ちが自ずと表情に現れます。
 教科教育法の授業では、履修者が教員になってみて、生徒にもなってみて、実際の教室と同じ体験をすることが求められます。そのためには授業は参画的でなければなりません。履修者それぞれが18回にわたる授業の参画者となって、「国語」の成り立ち、教材研究、指導方法、評価の問題等々を協働して考え、実践しましょう。話題にしたいことを挙げておきます。
(1)「国語」とは?
(2)アクティブ・ラーニングとICT教育
(3)実践に生かせる指導案づくり
(4)言語活動としての「読む・書く・話す/聞く」
(5)PISA型学力とは?
 教育実習を前提にした模擬授業を行うこともこの授業に求められています。履修者の人数によって時間配分は変わりますが、計画―実践―反省というサイクルを二回は経験できるようにしたいと思います。模擬授業を行うために考えるべきことを挙げておきます。
(1)「教材選択」と「教材研究」
(2)生徒が主体になるための「言語活動」
(3)「質問」と「発問」―問うことの意味
(4)「形成的評価」のためのテスト問題
(5)学びの継続性と「自己啓発」
 授業計画を次に示します。講義とラベルワークと模擬授業とが一体になって進みます。
 多年にわたる中学校・高等学校での国語教員としての実務経験をこの授業にも生かして、机上の空論ではない講義を心がけたいと思います。

第1回講義内容
 言語行為の成り立ち―国語教育の基盤を考える   ①読む・書く・話す・聞く(ラベルトーク入門)

第2回講義内容
  ②発問の意味と方法―自己形成的な国語力とは

第3回講義内容
  ③知識創造と参画教育

第4回講義内容
 国語教育の現在―今を生きるための言葉を求める   ①「生きる力」「PISA型学力」「ICT教育」

第5回講義内容
  ②「見る」ことの学力観―映像テキストに即して

第6回講義内容
  ③私の授業実践(1)―ゲストを招いて

第7回講義内容
 現代文テキストに即して―論理と共感とを取り結ぶ   ①現代文テキストでの模擬授業

第8回講義内容
  ②現代文テキストでの模擬授業

第9回講義内容
  ③現代文テキストでの模擬授業

第10回講義内容
 言語活動―“言葉を生きる”ための身体技法   ①言語活動の実践

第11回講義内容
  ②言語活動の実践

第12回講義内容
  ③私の授業実践(2)―ゲストを招いて

第13回講義内容
 古典テキストに即して―この風土に生かされる   ①古典テキストでの模擬授業

第14回講義内容
  ②古典テキストでの模擬授業

第15回講義内容
  ③古典テキストでの模擬授業

第16回講義内容
 まとめと課題―“経験知”を形にする   ①自己評価項目づくり

第17回講義内容
  ②「学びのプロセス図解」作製

第18回講義内容
  ③「自己評価レポート」の作製

その他の学習内容
  ・課題・レポート
  ・※ゲストの都合などにより若干の変更があります。

成績評価方法

平常点(毎回の「ラベルワーク」への取り組み)と模擬授業(教案作成も含む)の内容、および課題(「学びのプロセス図解」「自己評価レポート」の作成)を総合して評価します。教員からの一方的な評価ではなく、相互評価を通して自己評価を行えるような授業ができるように、履修者自身もその方法を経験していきます。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

オリジナルテキストを準備します。『中学校学習指導要領解説「国語編」(平成29年告示)』と『高等学校学習指導要領解説「国語編」(平成30年告示)』文部科学省(文部科学省のホームページからもダウンロードできる)を準備しておいてください。

参考文献

実践国語科教育法「楽しく、力のつく」授業の創造〔第四版〕/町田守弘編 学文社 2024
中学校・高等学校 国語科教育法研究/田近洵一・鳴島甫編 東洋館出版社 2013

受講上の要望、または受講上の前提条件

教科教育法という科目は、知識の蓄積・整理という側面と、授業実践という側面とがバランスよく配列・展開されなければなりません。したがって個々人ではなく履修者全員で学び合うことになります。参画的に学ぶこと(スクーリング)を、豊かな協同経験=言語経験に高めることが大切です。そのためには、授業への主体的な参画意欲がなければなりません。また、週一回の授業であれば宿題は翌週までにこなせばよいのですが、6日連続1日105分×3時間の授業では、毎回連続で課題をこなさなくてはなりません。体調を整え、集中して取り組んでください。また、授業参画のために「ラベルワーク」の手法を用います。

講師の実務経験※実務家としての経験があり、その知見が授業に反映されている場合に、「あり」と表示されます

あり