慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
国語科教育法特論Ⅲ
担当教員名
鈴木 彩
科目設置 教職科目 授業形態 夏期スクーリング
科目種別・類 単位 2
キャンパス 三田 共通開講学部 -
設置年度 2024 授業コード 82403

授業科目の内容

 本科目は、模擬授業の実施とフィードバック、および授業実践や教材研究に関する講義を通じて、実践的な視点から国語科教育について考えるものです。
 2021年度(中学)・2022年度(高校)より本格的に実施された新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」を実現する「アクティブ・ラーニングの視点に立った授業改善」が推進されていますが、同時に「基礎的・基本的な知識及び技能」の確実な習得も重視されています。
 こうした状況をふまえて教育現場では、従来の講義型学習と、協働学習を主体としたアクティブ・ラーニングをどう組み合わせるか、また新たな教育ツールをいかに採り入れるかなど、さまざまな試行錯誤が行われています。受講生の皆さんには、この授業を通じてそうした試行錯誤の一端にふれていただきたいと思います。
 詳しくは下記スケジュールにありますが、本科目では「授業準備をする」「授業を行う」「評価方法を考える」などの活動がどのように行われているか、また皆さんが教壇に立つ時にはどのように行なえばよいのかを、国語科教員として勤務した私自身の実務経験をふまえつつお話をし、共に考えていきます。
 中心となるのは、模擬授業の実践とフィードバックです。下記の「受講上の要望または受講上の前提条件」によく目を通し、任意の教材を選んで事前に指導案を考えましょう。(指導案の書き方は、事前に受講生の皆さんが確認できる形で公開・配布します。)授業期間の中盤からは模擬授業を実施し、教員から/受講生同士で、その場でフィードバックを行います。
 また、授業期間の前半と終盤では、実際の授業実践の良い点や改善点を考えること、教材を分析して効果的な発問・導入を考えること、共通の教材について試験問題を作成することなどを行い、時には受講生間の意見も共有しながら、国語科教育への理解を深めます。
 現在のスケジュールは下記の通りですが、受講生の人数や関心に応じて順番や回数が変化する可能性があります。詳細は初回の授業でお伝えします。

第1回講義内容
ガイダンス―授業内容の説明など―

第2回講義内容
学習指導要領概説―国語科教育のこれまで・これから―

第3回講義内容
授業研究Ⅰ―教育実践論文の検討―

第4回講義内容
授業研究Ⅱ―教育実践論文の検討―

第5回講義内容
模擬授業と相互評価・教員からのフィードバックⅠ

第6回講義内容
模擬授業と相互評価・教員からのフィードバックⅡ

第7回講義内容
模擬授業と相互評価・教員からのフィードバックⅢ

第8回講義内容
模擬授業と相互評価・教員からのフィードバックⅣ

第9回講義内容
教材研究Ⅰ―定番教材への視点さまざま―

第10回講義内容
試験問題研究・作成―実際に作問してみましょう―

第11回講義内容
教材研究Ⅱ―非・定番教材への視点さまざま―

第12回講義内容
総括および試験

その他の学習内容
  ・コメントペーパーまたは短い課題の提出

成績評価方法

①模擬授業(学習指導案を含む)、②平常点(参加態度、各回のコメントペーパーの提出など)、③試験、を総合して評価します。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

プリントを適宜配布する

参考文献

プリントを適宜配布する

受講上の要望、または受講上の前提条件

 初回の授業までに、中学校または高校の授業で扱うことを想定した任意の教材(目安として授業が4~5時間で完結するもの)を選び、学習指導案を考えていただきます。
 具体的には「1:その教材で授業を何回行うか」「2:それぞれの回でおおまかに何を行うか」「3:そのうち1回ぶんの具体的な内容」です。模擬授業では「3」の部分を実践していただきます。指導案のフォーマットは事前に配布しますので、それに沿って作成しましょう。
 初回の授業では、記入した指導案と、扱う教材のコピーを提出してください。ただし指導案は3日目以降の模擬授業実施日までに修正しても構いません。作成上の不明点があれば、初回の授業でご質問・ご相談ください。
 教材のコピーは、教科書が最も望ましいですが、全集や文庫本のコピー、青空文庫(著作権の消滅した文学作品の無料閲覧サイト)をコピー&ペーストしたものなど、教員や他の受講生が内容を確認できるものであれば、形式は問いません。
 なお、新学習指導要領は文部科学省のウェブサイトで公開されています。目を通しておくと授業がさらに理解しやすくなることと思います。
 加えて、スクーリングの各授業の要点はプリントを元に整理・復習しておきましょう(目安として各40分程度)。

講師の実務経験※実務家としての経験があり、その知見が授業に反映されている場合に、「あり」と表示されます

あり