科目名 | |||
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政治思想論 | |||
担当教員名 | |||
堤林 剣/梅澤 佑介/原田 健二朗 | |||
科目設置 | 経済学部専門教育科目 | 授業形態 | 春期メディア授業 |
科目種別・類 | 単位 | 2 | |
キャンパス | - | 共通開講学部 | 法学部専門教育科目:政治思想論 |
設置年度 | 2024 | 授業コード | M2440 |
本講義は3名の教員が共同担当し(堤林→梅澤→原田の順番で講義する)、政治思想の理論と歴史について多角的に考察することを目的とする。初回では鼎談という形で政治思想(史)研究の方法論について検討するが、その際に3名の教員が各々の担当講義の主題と方法について説明する。第2回から第5回までは堤林が担当し、国家論の生成と展開の過程について論じる。第6回から第9回までは梅澤が担当し、シティズンシップ論の批判的継承の歴史について論じる。第10回から第13回までは原田が担当し、政治思想史における民族、文化、宗教・信仰といった問題の所在を考察する。
第1回講義内容
イントロダクション 鼎談 政治思想(史)の主題と方法について
堤林・梅澤・原田担当
政治思想(史)の主題と方法について3人の担当者が議論する。
第2回講義内容
「死なない王」の誕生
堤林担当
(1)オピニオン論とフィクション論
基本的枠組みとしてのオピニオン論とフィクション論について説明する。
(2)中世における宗教的言説と法的言説の権力作用
13世紀から16世紀までの王権論に注目しつつ、「死なない王」という擬制の生成と展開について論じる。
第3回講義内容
「死なない国家」の誕生(1)
堤林担当
(1)ジャン・ボダンの主権論
モナルコマキ(暴君征伐論)との関連で、ボダンの主権論について論じる。
(2)トマス・ホッブスの国家論・主権論
ホッブスの国家論と主権論の特徴を明らかにする。
第4回講義内容
「死なない国家」の誕生(2)
堤林担当
(1)ジャック=ベニーニュ・ボシュエの王権神授説
プロテスタントの抵抗理論との関連でボシュエの王権神授説について論じる。
(2)「死なない王」から「死なない国家」へ
フランス革命とナショナリズムの台頭に注目しながら、近代国家の特徴について論じる。
第5回講義内容
「死なない国家」の現在と未来
堤林担当
国家の現在と未来について考える。
第6回講義内容
「忠実な臣民」と「知的愛国者」
梅澤担当
(1)シティズンシップ論前史
ヴィクトリア時代のイギリスの思想潮流とJ・S・ミルの政治思想を概観する。
(2)T・H・グリーン
19世紀のイギリスにおいて、「抵抗の義務」論が登場することになった背景を概観する。
第7回講義内容
自己統治のパラドックス
梅澤担当
ヴィクトリアニズムとグリーンの観念論を結合したバーナード・ボザンケのシティズンシップ論を紹介し、彼がいかなるロジックで国家による貧民救済に反対したのかを論じる。
第8回講義内容
進歩の形而上学
梅澤担当
ボザンケを真っ向から批判したL・T・ホブハウスの福祉国家論を取り上げ、シティズンシップ論の観点から、ホブハウスの歴史観に潜む問題を明らかにする。
第9回講義内容
市民の義務としての反乱
梅澤担当
(1)前期ラスキ
ホブハウスのボザンケ批判を受容したハロルド・ラスキのシティズンシップ論について論じる。特にグリーンの「抵抗の義務」論の批判的継承であるラスキの「反乱の義務」論に注目し、彼がホブハウスの「進歩の形而上学」をいかに乗り越えようとしたのかを見ることを通じて、「政治」と「歴史」の関係について考える。
(2)中期ラスキ
マルクス主義を受容したラスキがいかなる形で自らの政治思想を発展させたかを論じる。
(3)後期ラスキ
ラスキの政治思想の発展がいかなる形で晩年の計画民主主義論に結実したかを論じる。
第10回講義内容
ネーションとナショナリズム
原田担当
nationという概念の歴史をたどった上で、近現代におけるナショナリズムをめぐる論点や思想について解説する。
第11回講義内容
政治と文化――多文化主義をめぐって
原田担当
人々の持つ文化的アイデンティティが政治に対して持つインパクトを歴史的に考察する。今日の西洋諸国における多文化主義政策についても概観する。
第12回講義内容
政治と宗教――キリスト教を中心に
原田担当
宗教という非政治的な要素が政治に対して及ぼすインパクトを考察する。政教関係の思想と制度に関する歴史的変遷をたどり、現代政治における宗教問題への理解を深める。
第13回講義内容
戦争と平和――政治思想における国際関係
原田担当
古代のポリスから近現代の国家にいたる政治共同体同士の関係のあり方に着目しつつ、戦争のあり方や戦争倫理に関する思想的変遷を歴史的にたどる。
科目試験の結果、課題(レポート・小テスト)および授業の視聴状況による総合評価。
なお、小テスト、レポート、科目試験の三種すべての課題をこなすことが単位取得の条件となります。いずれか一つでも欠如している場合、単位取得の資格を失いますのでご注意ください。
『「オピニオン」の政治思想史』/堤林剣・堤林恵 岩波新書 2021
『市民の義務としての〈反乱〉――イギリス政治思想史におけるシティズンシップ論の系譜』/梅澤佑介 慶應義塾大学出版会 2020
『ここから始める政治理論』/田村哲樹ほか 有斐閣 2017
『現代政治理論』新版/川崎修・杉田敦(編) 有斐閣 2012
授業期間中、K-LMS上で担当者が資料やレジュメを適宜配布します。
予習 配付資料や参考文献等の情報を必要に応じて予習してください(30分程度)。
復習 講義の内容をノートにまとめるなどして復習を行ってください(60分程度)。
それぞれ1回ずつ実施。K-LMSの所定の画面にて、4月下旬と5月上旬に締切日と課題内容をお知らせいたします。
2020年度収録