科目名 | |||
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日本史特殊 | |||
担当教員名 | |||
米山 忠寛 | |||
科目設置 | 文学部専門教育科目 | 授業形態 | 夏期スクーリング |
科目種別・類 | 第2類 | 単位 | 2 |
キャンパス | 日吉 | 共通開講学部 | 法学部専門教育科目:法制史特殊 |
設置年度 | 2024 | 授業コード | 72422 |
法制史特殊:日本近現代憲政史 法と政治の視点から
概要
日本近現代には、大日本帝国憲法(1889年公布)と日本国憲法(1946年公布)という2つの憲法典が存在する(どちらも公布の翌年に施行された)。改正・被改正の関係にあるこの2つの憲法典の関係を、単なる「断絶」として考えることは困難であろう。
加えて重要なことは、昭和の戦前から戦時期と占領期という政治変動・社会変動の激しい時期にあっては、しばしば政治体制の根幹のあり方が問われてしばしば憲法と政治が共振する形で政治課題を発生させてきた。単純に言えば、平穏な時代には関心が持たれずに済む憲政(憲法政治・立憲政治)のあり方が危機の時代には問われることになったということである。
2つの憲法をまたぐ変動は、戦時体制において問い直された「立憲政治」のあり方を踏まえて、敗戦の結果生じた連合国による占領管理という特殊な権力関係の下で、様々な「学知」に支えられて生じたものである。戦争と占領という極めてシビアな時代状況は、近現代の日本にとって憲法とはそもそも何なのか、また、
どのように運用されるべきものなのかという本質的な問いを日本国民に投げかけることとなった。その過程を分析することは私達が歴史学的に昭和の戦前戦後の変化を考察する上でも重要な要素となる。
そこで本講義では、法学と政治学の双方の視点から、1930年代から1950年代までの時期に焦点を絞って、日本近現代の憲法と政治のあり方についての歴史的なアプローチを試みることとしたい。
事前の予習や予備知識が必要ということではないので初学者も歓迎するが、「古い(悪い)帝国憲法」から「新しい(良い)戦後憲法」といった古典的な構図とはほとんど関係がないので、発想の柔軟さは必要である。法学(法制史)・政治学(政治史)・歴史学(日本史・近現代史)など関連する分野に興味のある受講生の受講を歓迎する。
第1回講義内容
憲法の役割と議論①
第2回講義内容
憲法の役割と議論②
第3回講義内容
政党政治・議会制度・翼賛会①
第4回講義内容
政党政治・議会制度・翼賛会②
第5回講義内容
政党政治・議会制度・翼賛会③
第6回講義内容
戦時体制・内閣制度・企画院①
第7回講義内容
戦時体制・内閣制度・企画院②
第8回講義内容
戦時体制・内閣制度・企画院③
第9回講義内容
占領統治と戦後憲法の諸問題①
第10回講義内容
占領統治と戦後憲法の諸問題②
第11回講義内容
戦後政治の展開と憲法体制
第12回講義内容
試験・総括
その他の学習内容
・小テスト
最終日にレジュメ持ち込み可の形で論述形式の試験を実施する。各回のリアクションペーパーを適宜加点材料として用いる。
プリントを適宜配布する
昭和立憲制の再建 1932~1945年/米山忠寛 千倉書房 2015
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プリントを適宜配布する
最終日にレジュメ持ち込み可の形で論述形式の試験を実施する。
また、各回の最後にリアクションペーパー・質問カードを受け付けて、必要に応じてその次の回の冒頭で応答・解説を行う予定である。
1930年代から1950年代の日本の近現代史を扱うので、講義に臨むにあたっては、取り扱う時代の大まかな歴史の流れについて事前に用語などを含めて確認・理解しておくと理解の助けにはなるだろうが、必須とはしない。初学者も歓迎する。