科目名 | |||
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哲学(専門) | |||
担当教員名 | |||
鈴木 優花/山崎 諒 | |||
科目設置 | 経済学部専門教育科目 | 授業形態 | 秋期週末スクーリング |
科目種別・類 | 単位 | 2 | |
キャンパス | 三田 | 共通開講学部 | 文学部専門教育科目:哲学(専門) |
設置年度 | 2024 | 授業コード | 52461 |
「道であって、著作ではない(Wege - nicht Werke)」
ドイツの哲学者M・ハイデガー(1889-1976)は、自身の全集(『ハイデガー全集』)の劈頭にこの言葉を掲げました。
それにあやかるわけではありませんが、本講義ではハイデガーの辿った思惟の道に皆さんとともに足を踏み入れることを目的とします。
その意味で、本講義は「ハイデガー入門」という性格をもちます。
ハイデガーといえば1927年の著作『存在と時間(Sein und Zeit)』で名が知られ、終生「存在(Sein)」について問いつづけた思索家として知られています。
しかしながら、一口に「存在への問い」といっても、ハイデガーがそれと格闘しつづける思惟の道は多岐にわたり、複雑に絡みあっています。
そこで本講義では、時期と範囲を大幅に絞りこみ、担当者ふたりで大きく分けてふたつの道筋を提示することを目指します。
具体的には、(A)『存在と時間』における「死の分析」の追跡(鈴木担当)と、(B)『存在と時間』にいたるまでのハイデガーの道筋の概観(山崎担当)が主要な内容となります。
そのさい、週末スクーリングということもあり、初回に全体的なイントロを行ったうえで、奇数回を山崎、偶数回を鈴木が担当します。
それゆえ、一日とおして同じ内容を聞くのではなく、一日でふたつの話が進むことになります。
(なお、第11回の授業では、それまで歩んできたふたつの道がどのように合流しうるのかを検討することにします)
また、それぞれの大まかな内容については以下のとおりです。
(A)については、『存在と時間』の特に死の分析について、適宜翻訳を参照しながら読み進めます。まず同書の大まかな説明をしたうえで、担当者(鈴木)が作成した資料(レジュメないしスライド)をもとに死の実存論的分析論を読み進めていきます。
『存在と時間』については、あらかじめ該当箇所(第46~53節)の翻訳(熊野訳と原・渡邊訳)を配布する予定です。できれば読んでおくことを推奨します。
(B)については、若き頃のハイデガーの講義録などをもとに、現象学の祖にしてハイデガーの師であったE・フッサール(1859-1938)をはじめ、ハイデガーの思想に影響を与えた哲学者たちの紹介もしつつ、主著『存在と時間』に至る道を追っていきます。
ハイデガーの講義録やその他の文献については適宜資料を配付する予定です。
本講義をつうじて、ハイデガーの『存在と時間』までの道筋、そして同書のもっとも有名な箇所のひとつである「死の分析」を味わうことで、20世紀最大の哲学者ともされるハイデガーの哲学、ひいては哲学そのものに親しむ素地を養っていただければ、と思っています。
第1回講義内容
イントロダクション(山崎・鈴木)
第2回講義内容
(A-1)『存在と時間』の概要(鈴木)
第3回講義内容
(B-1)若き日のハイデガー① 「存在の問い」への助走
第4回講義内容
(A-2)死の実存論的分析論① 人間を全体的に把握するとは?(鈴木)
第5回講義内容
(B-2)若き日のハイデガー② 初期フライブルク期(1919-1923)(1)
第6回講義内容
(A-3)死の実存論的分析論② 実存論的ではない死の捉え方とは?(鈴木)
第7回講義内容
(B-3)若き日のハイデガー③ 初期フライブルク期(1919-1923)(2)
第8回講義内容
(A-4)死の実存論的分析論③ 死へとかかわる存在(鈴木)
第9回講義内容
(B-4)若き日のハイデガー④ マールブルク期(1923-1928)
第10回講義内容
(A-5)死の実存論的分析論④ 死への先駆(鈴木)
第11回講義内容
(B-5)ふたつの道はどのように絡むのか?(山崎)
第12回講義内容
試験および総括(山崎・鈴木)
その他の学習内容
・毎回コメントペーパーを課し、それにたいする返答の時間を設けるほか、2~3名での意見交換の時間などをとる予定です。
(1)最終授業で実施される試験の点数、(2)平常点(出席ならびに積極的な授業参加)をもとに総合的に判断します。
プリントを適宜配布する
『存在と時間』(一)~(四)/M・ハイデガー(熊野純彦訳) 岩波文庫 2013年
『存在と時間』〈一〉~〈三〉/M・ハイデガー(原佑・渡邊二朗訳) 中公クラシックス 2003年
プリントを適宜配布する
※ 授業であつかう予定の邦訳について書誌情報を記載しましたが、該当箇所についてはコピーを配付する予定です。なお、「死の分析」(第1部第2編第46~53節)は熊野訳だと第三巻、原・渡邊訳だと第二巻に収録されています。
特別な哲学的/哲学史的知識は必要としておりません。
そのぶん毎時間思考してもらい、コメントペーパーの作成や議論に積極的に参加していただきたいと思います。