科目名 | |||
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倒産法 | |||
担当教員名 | |||
高田 賢治 | |||
科目設置 | 経済学部専門教育科目 | 授業形態 | 夏期スクーリング |
科目種別・類 | 単位 | 2 | |
キャンパス | 三田 | 共通開講学部 | 法学部専門教育科目:倒産法 |
設置年度 | 2024 | 授業コード | 72416 |
倒産法とは,主として破産法,民事再生法,会社更生法,および会社法における特別清算などの法律を研究する学問分野を意味します。これらの中で,破産法と特別清算は,清算型手続とよばれるもので,債務者について,総債権者の公平を確保しつつ、債務者の財産の清算を図る手続です。これに対して,民事再生法と会社更生法は,債務者の事業再生や経済生活の再生を図る再生型手続と呼ばれます。
この授業では,4つの手続のうち,主として破産法と民事再生法を扱います。前半は倒産法について存在意義など総論的に検討した上で,倒産手続がそれぞれどのような特徴を持つ手続であるかを概観し,破産法を体系的に講義し,重要問題を検討します。後半は民事再生法について,破産法と対比しつつ,体系的に講義し,重要な問題を議論します。指定した教科書に沿って,教科書をしばしば参照しつつ講義する予定です。これにより,受講者が倒産法における基本的な概念を理解し,具体的な場面において債権者,債務者,破産管財人,再生債務者,裁判所など様々な立場から破産手続・再生手続の重要問題を理論的に検討することができるようになることがこの授業の到達目標です。
第1回講義内容
・倒産法の必要性と存在意義
倒産法はなぜ必要なのか,倒産法がなければどうなるのか,清算型と再生型はどのように異なるのかなど基礎理論について検討します。
・各倒産手続の特徴
倒産法の代表的な手続である破産手続,民事再生手続,会社更生手続の3つを比較しつつ,それぞれの特徴について説明します。さらに,私的整理・倒産ADRと呼ばれる手続についても概観します。
第2回講義内容
・破産手続の開始
破産能力,破産申し立て,裁判所,破産原因,倒産手続の優先順位について講義する予定です。
・破産管財人と破産財団,取戻権
破産管財人の選任,職務などを説明します。また,破産財団の範囲,自由財産の意義,取戻権について講義する予定です。
第3回講義内容
・破産債権
破産債権の要件,財団債権とは何か,債権者平等の原則と債権の優先順位について検討します。
・破産と契約関係
双方未履行の双務契約は破産手続でどのように扱われるのか,賃貸借契約や請負契約の当事者が破産するとどうなるのか,具体的事例を用いつつ説明します。
第4回講義内容
・担保権の処遇
破産手続において担保権はどのように扱われるのか,担保権消滅制度とは何か,別除権として扱われる担保権は何か,非典型担保は別除権として扱われるかについて講義する予定です。
第5回講義内容
・相殺権
相殺権の特徴,相殺禁止の趣旨,相殺禁止の具体例とその例外について説明します。
第6回講義内容
・否認権
詐害行為否認,偏波行為否認,対抗要件否認などについて講義する予定です。
第7回講義内容
・破産手続の終了
破産財団の管理・換価,配当,破産手続の終了,同時廃止と異時廃止について扱う予定です。
・個人破産と免責
消費者破産の特徴,免責の理念,免責不許可事由,非免責債権などを扱う予定です。
第8回講義内容
・民事再生手続の概要
民事再生法の立法の経緯と手続の特徴,再生手続の開始決定について講義します。
第9回講義内容
・再生手続の機関
再生債務者,監督委員などについて法的地位,職務内容,権限と義務について検討します。
第10回講義内容
・再生債権と再生債務者財産
再生債権の特徴と別除権,否認権,相殺権,などについて,破産手続と対比しつつ,講義します。
第11回講義内容
・再生計画
再生計画の作成,提出,決議,認可のプロセスについて,説明します。
・個人再生
小規模個人再生,給与所得者等再生について,通常の民事再生手続と比較しつつ,検討します。
第12回講義内容
試験と総括
その他の学習内容
・小テスト
平常点(50%)および最終時限で行う試験(50%)により総合的に評価します。
倒産法(有斐閣ストゥディア)/倉部真由美ほか 有斐閣 2018
倒産判例百選(第6版)/松下淳一・菱田雄郷 有斐閣 2021
指定した教科書をレジュメの代わりに使用するため,授業に指定した教科書を持参すること。教科書の電子書籍版をすでに持っている場合は紙のものをあらためて購入する必要はない。六法やスマホなどで破産法・民事再生法の条文を参照することができるように準備しておくこと。小テストとして教科書に記載された問題に取り組んでもらうことがある。予習として,上記の毎回の講義内容を参照して教科書を読んでおくことが望ましい。復習として教科書の演習問題に取り組むこと(予習と復習で90分程度)。なお,民法に興味があることが望ましい。