科目名 | |||
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刑法 | |||
担当教員名 | |||
山内 竜太 | |||
科目設置 | 経済学部専門教育科目 | 授業形態 | 秋期週末スクーリング |
科目種別・類 | 単位 | 2 | |
キャンパス | 三田 | 共通開講学部 | 法学部専門教育科目:刑法 |
設置年度 | 2024 | 授業コード | 72407 |
本講義は、現役の弁護士が、実務経験をもとに、刑法各論のうち、理論的にも実務的にも重要な財産犯について講義するものです。財産犯は実務上よく問題となる犯罪類型です。しかし、物権法等の民法の知識も必要となるうえ、財産犯相互の棲み分け等が問題となることから、技術的かつ細かな解釈論が展開される傾向にあります。そのため、苦手意識を持っている学生さんも多いのではないでしょうか。現に、私も未だに財産犯の解釈等をめぐって頭を悩ませる日々を送っている一人です。そこで、本講義は、財産犯に特化し、皆さんと一緒に考えることを通じ、財産犯の理解を深め、今後の学習の一助とすることを目的としています。また、財産犯の検討を通じて、刑法総論や民法に関しても別の視点から見つめなおし、その理解も深められたらと考えています。上記の趣旨から、本講義では以下の流れで進めたいと考えています。
初回では、本講義の全体の流れ等を説明したうえで、刑法各論の全体像を示し、そのなかで財産犯がどのように位置づけられているかを解説いたします。第2回では、財産犯を学ぶ際に必要となる刑法総論の基本知識を確認しつつ、財産犯の全体像を示し、各犯罪類型の具体的なイメージを持ってもらいたいと思っております。そのうえで、第3回から第8回では、財産犯の代表的な犯罪類型に関する基本的な事項を解説していきます。これらの講義を通じ、財産犯の基礎をしっかりと理解してもらうことを目的とします。
そして、第9回から第11回では、より応用的な問題について受講者の皆さんと検討し、さらに理解を深めていきたいと考えています。すなわち、第9回では、近時、理論的にも実務的にも関心の高い特殊詐欺やキャッシュカード詐欺盗をめぐる諸問題を取り扱いたいと思います。また、第10回では、実務上、講義等で学んだ知識を実際の事例にどのように適用して解決していくかを理解してはじめて意味があることから、事例演習を通じ、事例解決に至るまでの思考プロセスを学んでもらいたいと考えています。さらに、第11回では、実務でよく問題となる窃盗罪や詐欺罪に関して、実際の実務の現場ではどのような事項が問題とされているのかを弁護士の視点から解説する予定です。最後に、第12回では、試験を実施し、その後に本講義の総括を行いたいと思います。
上述のとおり、本講義は、基本的な事項から応用的な事項という構成を意識しています。また、各回の講義においても、基本的な事項を一通り解説したうえで、応用的な事項を取り上げるという構成を心がける予定です。たとえば、第3回の窃盗罪を例にあげれば、同罪の構成要件を一通り解説したうえで、各要件で問題となる論点を深堀りして解説するというようなスタイルを考えています。このように、基本的な事項から応用的な事項へと進むことで、皆さんがより理解しやすくなるような工夫をしていきたいと考えています。
第1回講義内容
ガイダンスと刑法各論の全体像
第2回講義内容
刑法総論の基本知識と財産犯の全体像
第3回講義内容
窃盗罪の概要
第4回講義内容
強盗罪と恐喝罪の概要
第5回講義内容
詐欺罪の概要
第6回講義内容
詐欺罪における欺罔概念と財産的損害
第7回講義内容
横領罪と背任罪の概要
第8回講義内容
盗品関与罪と器物損壊罪の概要
第9回講義内容
特殊詐欺とキャッシュカード詐欺盗をめぐる諸問題
第10回講義内容
事例問題演習
第11回講義内容
実務から見た窃盗罪と詐欺罪
第12回講義内容
試験・総括
その他の学習内容
・課題・レポート
・各回の講義では、必要に応じて基本的な理解を確認するために正誤問題を出題する予定です。ただし、その点数が成績評価に直接反映されるわけではありません。復習等のツールとして考えていただければと思います。
最終日の試験の成績で評価します。
刑法Ⅱ各論(2024年2月に改版予定あり)/亀井源太郎ほか 日本評論社 2020
刑法各論判例50!/十河太朗ほか 有斐閣 2017
プリントを適宜配布する
本講義ではPowerPointのスライドを使って解説します。そのスライドは、Box等を通じて配布する予定でいます。詳細は、初回講義等で説明します。
定義 刑法各論/飯島暢ほか 法律文化社 2021
講義刑法学・各論3版/井田良 有斐閣 2023
徹底チェック刑法/嶋矢貴之ほか 有斐閣 2022
財産犯バトルロイヤル/高橋則夫ほか 日本評論社 2017
刑法と民法の対話/佐伯仁志ほか 有斐閣 2001
刑法Ⅰ総論(2024年2月に改版予定あり)/亀井源太郎ほか 日本評論社 2020
刑法や財産犯に関する解釈論等に興味のある方の履修を歓迎いたします。なお、本講義では、必要となる刑法総論や民法(とくに物権法)の知識はなるべく基礎から解説するようにしますので、これらの分野の前提知識を必須の条件とはしない予定です。ただ、これらの分野をある程度理解していた方が理解しやすいとは思います。そのため、刑法総論や物権法の入門書等を読んだうえで本講義を受講されることを推奨いたします。
本講義では、講義中に必要に応じて正誤問題を出題してパソコンまたはスマートフォンで解答する時間や解説する時間を設け、能動的に学習できるようにしたいと考えています。そのため、パソコンまたはスマートフォンを講義に持参することをおすすめいたします。なお、授業後は、講義内の正誤問題を活用して講義内容をよく復習するようにしてください。また、本講義は、教科書等の記述を理解しやすくすることを目的としています。したがって、単に講義を聴くだけではなく、自ら教科書等を読んで勉強していくことも大切となってきます。講義前でも講義後でもかまいませんので、教科書等を読んで自主的に勉強することを期待します。さらに、本講義では、各回で授業改善のためのアンケートを行う予定です。その際、講義等に関するご質問をいただければ、Box等を通じて回答したいと考えています。これらも活用して自ら疑問を解消する姿勢で勉強することをおすすめします。
あり