科目名 | |||
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東洋史概説Ⅱ | |||
科目設置 | 文学部専門教育科目 | 授業形態 | テキスト科目 |
科目種別・類 | 第2類 | 単位 | 2 |
キャンパス | - | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2025 | 授業コード | T0EA005703 |
本科目では、第一次世界大戦などを背景として生じた変化などをふまえて、1910年代から1920年代の中国の政治や社会について扱っていきます。1914年6月のサラエボ事件をきっかけに、ドイツとオーストリア=ハンガリー帝国といった同盟国側とロシア帝国、フランス、大英帝国らの連合国との間で第一次世界大戦が勃発しました。第一次世界大戦は人類が初めて体験した世界規模の戦争であり、少なからず世界各地に影響を及ぼすことになりました。それは成立したばかりの中華民国も例外ではなく、中国の国内政治や社会にも様々な影響を与えることになりました。その戦争の勃発によって、北京政府による中央集権化の試みが岐路に立たされ、地方の分権化が強まることで南方政府を無視できなくなりました。また、日本が北京政府に21ヵ条要求を突きつけるなど、国際環境も大戦勃発前と様変わりしました。それに加えて、この大戦中に勃発したロシア革命も中国を含めた国際社会に様々な影響を及ぼしました。この戦争の講和会議の一つであったパリ講和会議の結果に対して、中国国内で不満が噴出し、抗日・反帝国主義運動であった五・四運動が発生し、それが中国全土に普及することになりました。
以上のような背景や展開をふまえて、成立当初の中華民国における政治と社会の変化やそれに対する第一次世界大戦の影響などに注目して第一次世界大戦前後の時期の中国について分析してください。その際に、ロシア革命なども視野に入れてみてください。
指定教科書の附編「研究の手引き」及び参考文献①や②を参照しながら、指定教科書を通読して、現代にいたるまでの中国史の概観を把握してください。その上で、参考文献の③〜⑨などの概説書を読み、近代中国がどのような時代であったか、世界の動きと合せて理解し、⑩〜⑭などの関連書で課題にそったテーマを掘り下げてください。その他の参考文献は、参考文献の⑦〜⑭を手掛かりにして自分で探してください。参考文献で紹介したもの以外も積極的に読むことが望ましい。
現代の東アジア世界の枠組みのもとになっている東アジアと中国の近現代についての関心が求められる。
科目試験による。
①礪波護・岸本美緒・杉山正明編『中国歴史研究入門』名古屋大学出版2006年
②岡本隆司・吉澤誠一郎編『近代中国研究入門』東京大学出版会2012年
③中西竜也・増田知之編『よくわかる中国史』ミネルヴァ書房、2023年
④佐川英治・杉山清彦編『中国と東部ユーラシアの歴史』放送大学教育振興会、2020年
⑤久保亨・土田哲夫・高田幸男・井上久士・中村元哉『現代中国の歴史 第2版』東京大学出版会、2019年
⑥光田剛編『現代中国入門』(ちくま新書)、筑摩書房、2017年。
⑦吉澤誠一郎『清朝と近代世界─19世紀』(シリーズ中国近現代史①)岩波新書2010年
⑧川島真『近代国家への模索─1894-1925』(シリーズ中国近現代史②)岩波新書2010年
⑨石川禎浩『革命とナショナリズム─1925-1945』(シリーズ中国近現代史③)岩波新書2010年
⑩山室信一ほか編『現代の起点―第一次世界大戦』全4巻(1.世界大戦、2.総力戦、3.精神の変容、4.遺産)岩波書店 2014年
⑪笠原十九司『第一次世界大戦期の中国民族運動:東アジア国際関係に位置づけて』汲古書院 2014年
⑫中央大学人文科学研究所編『民国前期中国と東アジアの変動』中央大学出版部 1999年
⑬川島真『中国近代外交の形成』名古屋大学出版会 2004年
⑭小野寺史郎『中国ナショナリズム:民族と愛国の近現代史』中公新書2017年
参考文献を手掛かりに、出来るだけ多くの文献を読んだうえで、自分の言葉で見解をまとめてください。参考文献で紹介したもの以外の文献も積極的に参照されることが望ましい。その際に、どこからどこまでが他人の説で、どこからどこまでが自分の見解(考え)なのかがはっきりわかるような書き方をしてください。一次・二次資料やWEBページを参考にした場合は、その都度、必ず註をつけて、文末に出典(著者、題名、出版社、出版年、頁数など)及び引用ページ(閲覧日時も必ず記載)を逐一示してください。