科目名 | |||
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文学A | |||
担当教員名 | |||
植松 公彦 | |||
科目設置 | 総合教育科目 | 授業形態 | 夏期スクーリング |
科目種別・類 | 3分野科目/人文科学分野 | 単位 | 2 |
キャンパス | 日吉 | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2025 | 授業コード | 12517 |
唐李瀚撰の『蒙求』は中国古代の著名人の伝記や逸話を集めた、当時の児童向けの啓蒙書で、平安時代にはすでに日本に伝わり、漢文初学者向けの教科書として広く長く用いられて、日本人の中国古代に対する教養の源泉の一つになりました。
『蒙求』という書名は『易経』の「我より童蒙に求むるにあらず、童蒙我に求む」(人の道は先生が生徒に押し付けるものではなく、生徒が先生に教えを請うものである)に基づいていますが、その内容は多種多様で、娯楽的な要素も兼ね備えています。
『蒙求』は伝来当初は貴族に珍重され、中世以降は僧侶や武士にも普及し、近世になると庶民にも流行して、国文学に多くの題材を提供しました。明治時代には夏目漱石も愛読し、彼の筆名の「漱石」は『蒙求』によったことがよく知られています。
本講義では皆さんと『蒙求』の何編かを読んで、中国古代の社会・文化や漢文の文法・語彙を学びながら、その内容を味わい、その根幹をなす中国人の伝統的な物事の見方について考えて、皆さんが今後も漢文を読んでいくための基礎を養います。
また漢文は私たちの言語生活からは一見遠い存在のようですが、漢文が日本語の形成と運用にとって今なお欠くことができないものであることは言うまでもなく、漢文を読むことは日本語を学ぶことでもあると言っても決して過言ではないでしょう。
第1回講義内容
「管寧割席」を読む
第2回講義内容
「管寧割席」「和嶠專車」を読む
第3回講義内容
「和嶠專車」を読む
第4回講義内容
「時苗留犢」を読む
第5回講義内容
「時苗留犢」「羊續懸魚」を読む
第6回講義内容
「羊續懸魚」を読む
第7回講義内容
「樊噲排闥」を読む
第8回講義内容
「樊噲排闥」「辛毘引裾」を読む
第9回講義内容
「辛毘引裾」を読む
第10回講義内容
「孫楚漱石」を読む
第11回講義内容
「孫楚漱石」「郝隆曬書」を読む
第12回講義内容
「郝隆曬書」を読む・試験
その他の学習内容
・課題・レポート
課題(20%)と第12回の試験(80%)によって総合的に判定する。
プリントを適宜配布する
漢文と東アジア-訓読の文化圏-/金文京 岩波新書 2010
毎回講義後は復習すること(90分程度)。漢和辞典(電子辞書を含む)はなくても受講できるが、あれば理解の助けになる。