授業科目の内容

日本近代文学において、演劇的な設定や状況が小説とどのようにかかわっていたかを具体的な事象を取り上げて分析する。演じられた舞台や戯曲のドラマツルギーそのものを扱うというよりは、演劇をモチーフにした小説の分析や、記録された演劇を周囲の文化状況の中でどのように読み取るかを中心とする。そのため、扱う作品は近代戯曲の王道というわけではないが、分析を通じてジャンル横断的な分析の視野を身につけたい。新劇を中心とし、文芸協会から芸術座、文学座の周辺、戦中の団体の動向などに目配りする予定である。なお、対象作品については、授業の進度によって若干の変更をすることがある。

第1回講義内容
近代の演劇概況

第2回講義内容
イプセン「人形の家」の日本上演（文芸協会）

第3回講義内容
トルストイ原作「復活」と林芙美子「放浪記」

第4回講義内容
岸田國士の演劇論（1）

第5回講義内容
岸田國士の演劇論（2）

第6回講義内容
シェイクスピア「ハムレット」の移入

第7回講義内容
「ハムレット」と久生十蘭「刺客」

第8回講義内容
戦中の演劇状況（1）

第9回講義内容
戦中の演劇状況（2）

第10回講義内容
森本薫「女の一生」（文学座）（1）

第11回講義内容
森本薫「女の一生」（文学座）（2）

第12回講義内容
試験・総括

その他の学習内容
　　・課題・レポート

成績評価方法

平常点（修業中のコメントシートなど・30％）と期末試験（70％）の総合評価。

テキスト（教科書）※教科書は変更となる可能性がございます。

プリントを適宜配布する
授業ではあらすじ・抜粋を使って説明しますが、以下は全文〈青空文庫〉で読めるので、予習などにお使いください。
イプセン（島村抱月訳）「人形の家」　https://www.aozora.gr.jp/cards/001028/files/4797_31829.html
林芙美子「放浪記」　https://www.aozora.gr.jp/cards/000291/card45649.html
岸田國士「チロルの秋」https://www.aozora.gr.jp/cards/001154/card52088.html
岸田國士「古い玩具」　https://www.aozora.gr.jp/cards/001154/card52085.html
森本薫「女の一生」　https://www.aozora.gr.jp/cards/000827/files/4332_21415.html

参考文献

授業中に指示する。

受講上の要望、または受講上の前提条件

提示された作品をあらかじめ読むことが必要です（毎回60分程度）。