慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
政治学
担当教員名
川口 英俊
科目設置 総合教育科目 授業形態 夜間スクーリング
科目種別・類 3分野科目/社会科学分野 単位 2
キャンパス 三田 共通開講学部 -
設置年度 2025 授業コード 12523

授業科目の内容

いわゆる政治学の基本的内容についてはテキストによる学習を行っているのでこの授業においては現代社会における諸問題の解決(政策など)について政治学的視点からの検討を行いたい。その意味では政治学の応用とも言える。しかし、授業内容は、政治の影響が及ぶ社会との相互影響・授業時に起こっているニュース・時事問題も取り上げ、映像も見せながら政治・社会の実態、そしてそのあり方についても考えていく。その意味では政治学の基礎とも言える。それらについて自分で意見を構築できるようにインターネットで調べ(パソコン教室を希望している、自分でパソコン・本などを持ち込んで調べ・考えてもよい)4名5名程度のグループで意見を言う・話し合うアクティブ・ラーニング的な形も一部、取り入れたい。
時事問題を取り扱うことからシラバス内容の予定を修正する場合がある(基本的にはシラバスに沿って行うが)。また受講者の様子や希望・インフルエンザ等の状況から授業方法について調整する場合がある。

第1回講義内容
ガイダンス 政治とは、公的決定とは、公共政策とは 現代日本の置かれている状況の概観-少子高齢社会-出生率低下、未婚化、晩婚化、経済成長率への悪影響、格差社会、日本型経営の変化 解決が模索されているのは-少子化、格差、安全保障 その意味が問われているのは-民主主義、資本主義、世論形成、第4の権力、インターネットによる変化 問題解決とその障壁は? 経済成長、共生社会、社会のあり方 国際社会の課題の概観-ウクライナ問題、中東問題など

第2回講義内容
民主主義国家と人権、権威主義体制-ロシアと中国を中心に、イスラム教国家、国際社会、国連という組織の機能不全-決議できない国連安保理、5つの常任理事国の拒否権

第3回講義内容
安全保障 安全保障とは、現実主義と理想主義、核抑止、日本をめぐる安全保障環境-尖閣・北朝鮮・中国・台湾、防衛増税、防衛政策の大転換、反撃能力と専守防衛

第4回講義内容
公共政策 目的と手段、公共政策を規定する財政赤字と借金

第5回講義内容
少子高齢社会 概観・問題点について 少子化、社会保障(介護・年金・医療)問題 少子高齢社会2 解決策の模索-社会保障改革、増税、各種保険料値上げ他、介護・年金・医療の改革

第6回講義内容
雇用 雇用、雇用政策、従来の日本型雇用、非正規雇用、雇用と格差、働き方改革  格差のデメリット-社会不安、治安問題、格差解消-ベーシック・インカムは可能なのか?  技術発展と未来 イノベーション25、ドイツのハイテク戦略、産業政策、デジタル庁、デジタル政府ランキング

第7回講義内容
共生社会1 共生とは、政府と共生社会-地域共生社会、共生社会考察、少子高齢化、社会保障、介護 ケーススタディ 技術発展と未来1 デジタル田園都市国家構想、ドイツのハイテク戦略

第8回講義内容
共生社会2 男女共生社会 選択的夫婦別姓制度、育児休暇、イクメン、アファーマティブ・アクション 共生社会3 多文化共生社会 在日外国人の増加、外国人の街、地方自治体と「多文化共生社会」 技術発展と未来2 産業政策、デジタル庁

第9回講義内容
ネット社会と世論形成 世論、言論統制、情報操作、ネット世論の問題-フィルターバブル、エコーチェンバー、ポリティカル・コレクトネス、キャンセル・カルチャー 共生社会4 セクシャルマイノリティと共生社会 セクシャルマイノリティ、同性婚と日本国憲法、トランスジェンダーとスポーツ、アメリカにおけるポリコレ対反ポリコレ

第10回講義内容
大統領制–アメリカ- アメリカの大統領制、アメリカ合衆国連邦議会、トランプ大統領とアメリカ、アメリカの課題 共生社会5 障がい者と共生社会 障がい者、障がい者政策、障がい者と共生社会、点字ブロック、ユニバーサルデザイン

第11回講義内容
日本社会と政治-日本社会、同調圧力、日本政治と村社会、女性と子どもの貧困 世論操作と2016年アメリカ大統領選挙 ケンブリッジアナリティカ、ケンブリッジアナリティカが行ったこと、SNS と民主主義

第12回講義内容
総括

その他の学習内容
  ・課題・レポート
  ・授業方法としてその日のテーマについて講義を受けるだけでなく、自分で調べ(パソコン室が配当されれば各自のPCを用いてネットで、普通教室であればスマホや各自持ち込みの本・資料などで)問題を把握・検討した上で、4名5名程度のグループディスカッションで自分の意見を1~3分程度で発表し議論することで課題に対する知識を深め、解決策と政治、社会のあり方を検討することを学ぶアクティブ・ラーニング方式にトータル30分程度の時間を取りたい。 提出は任意だがリアクションペーパーをグーグルフォームで取る(紙に書いて提出も可)。自分で調べ考えた意見・感想・グループディスカッションで出た意見を踏まえての意見・感想など。希望者はこのリアクションペーパーも加点材料とする。

成績評価方法

評価課題(授業に関連する任意のテーマでのレポートまたは複数テーマについての調査・意見など、1200字から2400字を目安)90%、リアクションペーパー(オンライン、紙でもよい、提出任意)・追加課題(提出任意、レポートなど)、グループディスカッション参加、最終授業での発表などを10%とする。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

プリントを適宜配布する
レジュメ(授業内容を記したもの)をオンラインで配布する。レジュメはグーグルドキュメント(ネット上のWord的なアプリ)リンクを共有した上でパソコン室配当であれば中間モニターに映す、自分でPCで開いて見る。リンクで作成途中のレジュメも事前に確認できるようにする予定。

参考文献

プリントを適宜配布する
レジュメの中に参考文献・参考ホームページリンクを入れる予定。

受講上の要望、または受講上の前提条件

・レジュメリンクより次回授業内容を確認し60分程度の予習をすることが望ましい。
毎回授業最初に前回授業リアクションペーパーを中間モニタで映しながらフィードバックを行う。授業後にこのリアクションペーパー作成(任意)、グループディスカッションでの自分の意見と他者の意見を比較検討するなどの授業内容の復習を60分程度行うことが望ましい。
・上記、その他の学習内容、テキストの欄にあるようにパソコン教室が配当されれば講義後にパソコンのインターネットをを使用して自分で調べる・考えることを行う、その後にグループディスカッションを行うなど、いわゆる普通の大学の講義と異なる方法・授業形態があることに留意する。パソコン・スキルを有していない場合はアナログな対応(リアクションペーパー・課題を紙に書いて提出する、持ち込みの本や資料で調べる)ことを認める。
また授業の最後30分程度を自分で調べる・考える時間と4名5名程度のグループで話す、議論するグループディスカッションがあることにも留意する。
・リアクションペーパー(任意)は次の授業の2日前までに送るようにする。授業最初で前回授業のリアクションペーパーについてコメントする。
・レジュメリンクを共有する。確定は授業当日までされない可能性が高いが、内容の8割程度は授業2日前までに入っていることを目指しているので目を通しておく。
・この授業では政治学の基礎知識・概念といった基礎的な事項より、政治と社会の関わりや政策課題・政治や社会のあり方について考えるという政治学の応用といった事項により焦点をあてていることに留意する。