科目名 | |||
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社会学(専門) | |||
担当教員名 | |||
岡原 正幸/小倉 康嗣 | |||
科目設置 | 文学部専門教育科目 | 授業形態 | 夏期スクーリング |
科目種別・類 | 第1類 | 単位 | 2 |
キャンパス | 三田 | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2025 | 授業コード | 52513 |
「生と感情の社会学」をアートベース・リサーチ、ライフストーリー・ワークという手法で受講者と一緒につくりだします。
2011年、本授業を開始した当初の担当者2名、岡原正幸(文学部名誉教授)と小倉康嗣(文学部教授)が担当します。
【履修にあたっての注意】
他者の生、他者の声に寄り添う覚悟と謙虚さをもてない方は、履修しないようにお願いします(出席しさえすれば自動的に単位が来る授業では決してありませんのでご注意ください)。
履修者は50名定員とします(抽選です。5年継続して落選したという声も聞きます。その方々のことを考えると、試験がないから、単位をとりやすいからなどという動機での履修は認めませんので、よく考えてください。実質的には、試験よりもはるかに大きな課題を背負うことが要求される授業です。ライフの語りを本当に欲している学生、その声を敬意を持って聞こうとする学生だけに参加してほしく思います)。
たとえば社会学の基本のひとつである社会調査、否応なく人と関わるこの学的な営みを、どこに位置づけ、その営みのなかで自らをどこに位置づけていくのか、対象を客観化する知が、ただそれだけ評価されるような時代は過ぎ去り、いまや、知の生産と消費を担ってきた大学アカデミズムも現代社会に立ち位置を失いつつある。学問の死を謳うのはたやすい、しかしだからこそ、社会学という営みを再び肯定的に捉える視角が必要ではないのか。生の社会学とは、生を社会学的に説明する営みに還元されるようなものではなく、生きられる社会学であり、生きることを生きようとする、そんな試みだと考えてほしい。
生の多様性をめぐる議論があるとして、それを、いかに自分が生きるのかという問いに、どのように結びつけることができるのだろうか。この授業で参加者と一緒に僕たちが考えてみたいのは、これである。具体的にどうするのかといえば、僕らが教卓に座って講義することはまずない。全員が全員に向けて講義をする。受講者は他の受講者にとってのゲストスピーカーになり得るということである。生を生きるという資格において一人ひとりの参加者がゲスト講師たりえるのである。チームに分かれてライフストーリーを互いに聞き、そのなかからいくつかの生を他の受講者に伝える試みとなろう。
この伝える試みとして、アートを利用した社会学実践をおこなう。アートベース・リサーチと呼ばれ、多種多様なアートワークが利用されるが、ここでは身体的な演劇的な手法を用いる(パフォーマンス・エスノグラフィ)。さらに、詩や文学、映像や音楽なども利用する。
自分が話を聞いて、その人の経験をなぞるという実験的で枢要な試みとなる。
受講の前提として、自分史を3000~5000字程度で、書式自由で書いてきてください。
テキスト『感情を生きる――パフォーマティブ社会学へ』の、第1章(本授業の構え方)、第2章(小倉の自分史)、第5章(岡原の自分史)を、必ず事前に読んで授業に臨むようにしてください。
第1回講義内容
授業全体の構想について、チーム編成
第2回講義内容
自分史のシェア
第3回講義内容
ライフストーリー・ワークとは、アートベース・リサーチとは
第4回講義内容
チーム活動
第5回講義内容
チーム活動
第6回講義内容
チーム活動
第7回講義内容
チーム活動
第8回講義内容
チーム活動
第9回講義内容
チーム活動
第10回講義内容
練習
第11回講義内容
プレゼンテーション(各チーム1回公演)
第12回講義内容
プレゼンテーション(各チーム1回公演)
その他の学習内容
・課題・レポート
・課外授業
・下記のホームページで授業の雰囲気をどうぞ。
https://readyfor.jp/projects/keioabr
試験はおこないません。出席とチーム活動への参加の積極性によって評価します。
チーム活動への影響が大きくなるような欠席回数は成績に大きく響きます。
『感情を生きる――パフォーマティブ社会学へ』/岡原正幸編著 慶應義塾大学出版会 2014年
『アート・ライフ・社会学――エンパワーするアートベース・リサーチ』/岡原正幸編著 晃洋書房 2020年
自分の生について語ることが求められます。
また他者の生について真摯に傾聴し、一緒に考えることも求められます。
なお、他者の生、他者の声に寄り添う覚悟と謙虚さをもてない方は、履修しないようにお願いします(出席しさえすれば自動的に単位が来る授業では決してありませんのでご注意ください)。
事前に、自分史や家族史、自分が生きてきたなかでの特定の記憶や体験について、3000字~5000字程度でまとめておいてください。書式や用紙は自由です。この課題は授業初回に持参してください。
それを土台に皆さんのスピーチを作成してもらいます。
『感情を生きる――パフォーマティブ社会学へ』の、第1章(本授業の構え方)、第2章(小倉の自分史)、第5章(岡原の自分史)を必ず事前に読んで授業に臨むようにしてください。
言うまでもありませんが、受講者間でのやりとり、授業内でのやりとりが個人的なものに関わる以上、当事者の了承なくして外部に公開することは避けてください。