科目名 | |||
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ギリシア文学 | |||
担当教員名 | |||
小林 薫 | |||
科目設置 | 文学部専門教育科目 | 授業形態 | 夏期スクーリング |
科目種別・類 | 第3類 | 単位 | 2 |
キャンパス | 日吉 | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2025 | 授業コード | 52514 |
ホメロス『イリアス』・『オデュッセイア』を中心に、古代ギリシアの英雄叙事詩の伝統について学びます。
『イリアス』、『オデュッセイア』は紀元前8-7世紀頃に成立したと考えられ、古代ギリシア語で歌われた英雄叙事詩です。いずれもトロイア戦争の伝説に取材し、『イーリアス』は主人公アキレウスの怒りを、『オデュッセイア』は主人公オデュッセウスの帰郷を主題としています。これらの作品は、古代ギリシア社会で深く愛され、ギリシア悲劇などの後の文学作品に強く影響を及ぼしただけでなく、古代ローマのウェルギリウス『アエネイス』やダンテ『神曲』はもちろん、ジョイス『ユリシーズ』からハリウッド映画『トロイ』に至るまで、三千年近い時を越えて西洋の文芸作品のあり方を規定してきました。シュリーマンが『イリアス』に魅せられトロイアの遺跡を発見、発掘した経緯も『古代への情熱』でよく知られています。
この科目では、トロイア戦争伝説のあらましを概観し、『イリアス』『オデュッセイア』を双璧とする英雄叙事詩の世界について学びます。英雄叙事詩特有の語りの様々な特徴について具体例を見ながら学習します。これらに影響を受けた後代の作品についても時間の許す限り触れていきたいと思います。
第1回講義内容
古代ギリシアの歴史を概観します。シュリーマンによるトロイア遺跡の発掘について学びます。
第2回講義内容
英雄叙事詩の成立と伝承について、口誦詩としての特徴を中心に学びます。
第3回講義内容
トロイア伝説について、その概要を学びます。「叙事詩の環」についても学びます。
第4回講義内容
『イーリアス』における「アキレウスの怒り」についてその変遷を学びます。『イーリアス』の語りの特徴についても学びます。
第5回講義内容
『イーリアス』における人物造形について、アキレウス、ヘクトールを中心に学びます。
第6回講義内容
『イーリアス』24巻のアキレウスとプリアモスの場面について学びます。
第7回講義内容
『オデュッセイア』の語りの構造について学びます。
第8回講義内容
『オデュッセイア』における「帰郷」のモチーフについて学びます。
第9回講義内容
『オデュッセイア』における人物造形について、テーレマコス、ペーネロペイアを中心に学びます。
第10回講義内容
ウェルギリウス『アエネーイス』における『イーリアス』『オデュッセイア』の影響について概観します。
第11回講義内容
ジョイス『ユリシーズ』や森鴎外『長宗我部信親(叙事詩)』など、『イ—リアス』『オデュッセイア』の影響を受けた内外の作品を紹介します。
第12回講義内容
試験・総括
その他の学習内容
・授業ごとにリアクションペーパーを提出していただきます。
・各回のリアクションペーパー 50%
・試験 50%
『イリアス』上・下(松平千秋訳、岩波文庫 赤102-1, 2)/ホメロス 岩波文庫 1992
『オデュッセイア』上・下(松平千秋訳、岩波文庫 赤102-4, 5)/ホメロス 岩波文庫 1994
『ギリシャ・ラテン文学 韻文の系譜をたどる15章』/逸身喜一郎 研究社 2018
『イリアス ギリシア英雄叙事詩の世界』/川島重成 岩波書店 2014
『ホメロス叙事詩の世界 イリアス オデュッセイア』/川島重成 ピナケス出版 2023
『イリアスへの招待』/川島重成・古澤ゆう子・小林薫編 ピナケス出版 2019
『オデュッセイア』(中務哲朗訳)/ホメーロス 京都大学出版会 2021
『アエネーイス』(岡道男・高橋宏幸訳)/ウェルギリウス 京都大学出版会 2001
『アエネーイス 神話が語るヨーロッパ世界の原点』/小川正廣 岩波書店 2009
『オデュッセイア 戦争を後にした英雄の歌』/西村賀子 岩波書店 2012
『オデュッセイア 伝説と叙事詩』/久保正彰 岩波書店 1983
・授業期間が始まる前に『イリアス』『オデュッセイア』を2回以上通読しておくこと。
・『アエネイス』も読んでおくことが望ましい。
・固有名詞が頻出するので、人間関係をノートに整理しながら読むことをお勧めします。