慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
刑法
担当教員名
橋本 広大
科目設置 法学部専門教育科目 授業形態 夏期スクーリング
科目種別・類 甲類・乙類 単位 2
キャンパス 三田 共通開講学部 経済学部「刑法」として開講
設置年度 2025 授業コード 72506

授業科目の内容

 本年度の夏期スクーリング・「刑法」では、特に「刑法総論」と呼ばれる分野について、「犯罪とは何か」、「何のために刑罰を科すのか」、「なぜ刑罰を科すことが許されるのか」といった根本的な問いから出発して、犯罪の成否を判断するための思考方法を学習します。刑法総論に関わる内容はときに抽象的ですが、具体例(※)を多く用い、イメージのしやすい説明となるよう心がけます。
 刑法総論とは、多種多様な犯罪類型に一般的に妥当する「共通項」を扱う学問領域です。本講義では、刑法の条文や判例・学説を手がかりに、因果関係や故意、正当防衛、責任能力、共犯などといった、犯罪の成否を判断する上で必要不可欠な概念の内容を体系的に理解できるようになることを目標とします。また、本講義では、実社会とのつながりを重視し、時事問題などをより専門的な見地から読み解く力を涵養することも目指します。
 担当者の橋本は外務省総合外交政策局国際安全・治安対策協力室テロ対策専門員などの職歴があり、第8回はその実務経験をも踏まえた内容になります。
※刑法は犯罪と刑罰を対象とする学問であることから、殺人罪などの犯罪に関する事例を取り扱うことは避けられません。そのような話題が苦手な方はご注意ください。

第1回講義内容
刑法とは何か 刑罰とは何か 刑法の基本原則 犯罪論総説

第2回講義内容
構成要件該当性(1)因果関係

第3回講義内容
構成要件該当性(2)故意・事実の錯誤

第4回講義内容
構成要件該当性(3)過失犯・不作為犯

第5回講義内容
未遂

第6回講義内容
共犯(1)

第7回講義内容
共犯(2)

第8回講義内容
刑法をめぐる現代的課題

第9回講義内容
違法性阻却(1)

第10回講義内容
違法性阻却(2)

第11回講義内容
責任

第12回講義内容
総括(期末試験を含む)|展望

その他の学習内容
  ・課題・レポート

成績評価方法

期末試験により評価します。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

刑法Ⅰ 総論〔第2版〕/亀井源太郎=小池信太郎=佐藤拓磨=薮中悠=和田俊憲 日本評論社 2024

プリントを適宜配布する

参考文献

入門刑法学・総論〔第2版〕/井田良 有斐閣 2018
刑法の時間/佐久間修=橋本正博=岡部雅人=嘉門優=南由介=森永真綱 有斐閣 2021
講義刑法学・総論〔第2版〕/井田良 有斐閣 2018
刑法総論判例インデックス〔第2版〕/井田良=城下裕二〔編〕 商事法務 2019
刑法判例百選Ⅱ 各論〔第8版〕/佐伯仁志=橋爪隆〔編〕 有斐閣 2020
刑法総論判例50!/十河太朗=豊田兼彦=松尾誠紀=森永真綱 有斐閣 2016

受講上の要望、または受講上の前提条件

・講義資料として、スライドを事前配布(PDFファイル)・投影する予定です。
・条文を参照できる状態で講義に参加する必要があります。六法について初回の講義で説明します。
・参考文献については初回の講義であらためて説明します。
・本講義期間中は講義資料を学習していただければ十分ですので、参考文献については、刑法にご関心を持たれた方が講義期間後に購入されて読まれることを想定して列挙していますが、開講前に予習されたい方は、上記・井田『入門刑法学・総論〔第2版〕』、または、佐久間ほか『刑法の時間』の総論パートを一読することをおすすめします。

講師の実務経験※実務家としての経験があり、その知見が授業に反映されている場合に、「あり」と表示されます

あり