科目名 | |||
---|---|---|---|
政治思想論 | |||
担当教員名 | |||
板倉 圭佑/田上 雅徳 | |||
科目設置 | 経済学部専門教育科目 | 授業形態 | 夏期スクーリング |
科目種別・類 | 単位 | 2 | |
キャンパス | 三田 | 共通開講学部 | 法学部専門教育科目:政治思想論 |
設置年度 | 2025 | 授業コード | 72527 |
「移動」という観点から、政治を考え直します。
考えてみると、私たちの政治生活は、人びとが「定住」していることを前提にして成り立っているようです。たとえば、地球上の特定地域に定住している人びとを「国民」と見なす「国家」にしても、あるいは、国内の特定地域に定住している人びとを「都民」「県民」「町民」「村民」等々と見なす「自治体」にしても、私たちの多くは国民として あるいは市民として、これらの政治共同体から一定の権利を認められ、そして義務を課されて、日々の政治生活を送っています。
しかし、人類の歴史において、少なからぬ人びとは移動しながら生活してきました。また、現在もなお移動を余儀なくされている人びとが、世界には数多くいます。
これら既存の政治共同体の枠を越境しようとする人びとを、国家ないし地方レベルの政府はどのように取り扱おうとしてきたのか/取り扱おうとしているのか?そこに、どういう意味とどういう課題があったのか/あるのか?
ここでの問題は、グローバル化の時代にあって「帰化」「難民」「移民排斥」といったキーワードが各メディアで頻出するようになった今日、あらためて理解し直す必要があるようです。事実、2024年度の日本政治学会の機関誌は「『移動』という思考」をテーマに特集を組みました。また、授業ではヒトの移動が主たる考察対象になるはずですが、そこで得られた視座は、グローバル化を特徴付ける「カネの移動」という論点にも応用が利くのではないでしょうか。
何より、人びとが定住していることを大前提にして成り立っている政治理解を相対化することで、私たちの共同体生活の新たな可能性を考えてみたいと思います。
第1回講義内容
イントロダクション & ユダヤ・キリスト教の伝統における「移動と政治」
第2回講義内容
ユダヤ・キリスト教の伝統における「移動と政治」
第3回講義内容
西欧中世における「移動と政治」
第4回講義内容
西欧近世における「移動と政治」
第5回講義内容
交通と平和: 近代における「移動と政治」
第6回講義内容
交通と平和: イマヌエル・カントの歓待論①
第7回講義内容
交通と平和: イマヌエル・カントの歓待論②
第8回講義内容
歓待と政治: ジャック・デリダの歓待論①
第9回講義内容
歓待と政治: ジャック・デリダの歓待論②
第10回講義内容
歓待と贈与: 「移動」をめぐる諸相
第11回講義内容
現代における「移動と政治」: 移動の自由をめぐる課題と展望
第12回講義内容
総括 & 授業内試験
その他の学習内容
・履修者の数によって、レスポンスペーパーの提出を求めることも考えています。
最終日の授業内試験で評価を行います。
教科書は指定しません。
プリントを適宜配布する
プリントに参考文献のリストを記します。
授業では毎回、レジュメと呼ばれるプリントを配布する予定です。
配布の仕方については、初回の授業で決定しようと思います。