慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
総合講座
担当教員名
駒村 圭吾/小久保 智淳/倉持 麟太郎/瑞慶山 広大/水谷 瑛嗣郎
科目設置 文学部専門教育科目 授業形態 夜間スクーリング
科目種別・類 第1類 単位 2
キャンパス 三田 共通開講学部 法学部専門教育科目:総合講座
設置年度 2025 授業コード 92501

授業科目の内容

昨今、リベラルは旗色が悪い。リベラル≒左翼、リベラル≒インテリ、リベラル≒外国かぶれ、リベラル≒上から目線、等々。それに対して、保守派は機嫌がいい。洋の東西を問わず、保守派、とりわけ専制君主的な要素のあるそれは、品格や教養に欠け、暴言もしばしば吐くが、となりにいるとオモシロイし、一緒にいるとタノシソウだともっぱら評判である。そして、2024年。辰年のこの年、世界的に「選挙の年」になったが、どうやらデモクラシーという仕組みもリベラル以上にうさんくさいことが明らかになりつつある。炎上商法に似た政治キャンペーン、陰謀論の政治利用、暴言・ヘイト・嘘、しかもこうした言説が「表現の自由」の名の下に堂々とまかり通っている。政治家はアイドル化し、いったん落ち目になれば袋叩き似合う。もう誰もデモクラシーに希望を託せなくなりつつあるのではないか。デモクラシーの主役は「主権者」である。主権者こそは、最終的に憲法自体も変えることのできる絶対的な最高の権力者である。その主権者に対して拘束を課すためのリベラルな仕組みが次々と、デモクラシーが生み出した権力者によって無効化され、いよいよ無制約な主権者が大手を振って世界を統治しようとしているように思える。
主権・主権者というものを絶対的な至高の存在と見なしてきた前提をうたがってかかるには、デモクラシーもリベラリズムも完全に死に絶えていない、今この時代が最後のチャンスかもしれない。本総合講座では、主担当の駒村圭吾(法学部教授)が2023年に著した『主権者を疑う』を教科書にして、上記の問題を考えていく異。大きな柱は、「主権者を疑う」、「民主主義の近未来」、「政治と市民社会」である。これを、駒村を中心に、2名の憲法学者、1名の神経法学者、1名の弁護士が語り尽くす。主権論、民主主義、市民社会と決別し、そして、ふたたびそれら邂逅するための講義にしたい。

第1回講義内容
主権者を疑う①:主権と主権者 駒村

第2回講義内容
主権者を疑う②:民主主義 駒村

第3回講義内容
民主主義の近未来① 水谷

第4回講義内容
民主主義の近未来② 瑞慶山

第5回講義内容
民主主義の近未来③ 瑞慶山

第6回講義内容
民主主義の近未来④ 小久保

第7回講義内容
民主主義の近未来⑤ 小久保

第8回講義内容
主権者を疑う③:市民社会 駒村

第9回講義内容
政治と市民社会① 倉持

第10回講義内容
政治と市民社会② 倉持

第11回講義内容
さらばリベラル 駒村+倉持

第12回講義内容
試験 駒村

その他の学習内容
  ・課題・レポート
  ・適宜、リフレクションペーパーを書いていただくかもしれません。まだ予定です。

成績評価方法

主として「試験」によって判定する(試験は形式や試験範囲をあらかじめ予告する)。リフレクションペーパーを書いてもらう場合は、それを加点事由とする。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

主権者を疑う/駒村圭吾 筑摩書房 2023年

参考文献

参考文献は適宜紹介したい。

受講上の要望、または受講上の前提条件

指定教科書を用いるので、事前に熟読しておいてほしい。また、適宜、レジュメを配布する予定である。教科書やレジュメを活用して、克明にノートを採ってほしい。授業中の私語は厳禁である。

講師の実務経験※実務家としての経験があり、その知見が授業に反映されている場合に、「あり」と表示されます

あり